個人事業を始めたばかりの方や、確定申告を控えている方にとって
「これは経費にできる?」
「これはダメ?」
と悩む場面があるかもしれません。
今日は、個人事業主として経費にできないケースを一つひとつ丁寧に解説したいと思います。
税務署に指摘されないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
経費の基本をおさらい:何が経費になるのか?
まず、経費とは事業に直接関係する支出のことです。これが基本ですが、「事業に関係しているかどうか」は判断が難しい場合があります。税務署の目線では、「事業目的以外の支出」や「プライベートな支出」は経費にはならないとされています。以下に具体例を挙げていきますので、ぜひ参考にしてください。
1. 家族や友人とのプライベートな食事代
仕事の打ち合わせや接待での食事は「会議費」や「接待交際費」として(要件を満たしていたら)個人事業主でも経費にできますが、
家族や友人と楽しむための食事代は経費にできません。
仮に取引先の方も同席していたとしても、明確な事業目的が証明できなければ税務署に否認される可能性が大です。
経費にする場合は、誰とどのような目的で食事をしたのか具体的で詳細に、メモを残しておいて下さい。
2. 自宅家賃の全額はNG!按分で経費計上しましょう
在宅で仕事をしている方は、家賃を経費に含めることが可能ですが、全額は経費になりません。仕事で使っているスペースの割合を計算して、その分だけを経費として申告する必要があります。
具体例:
• ワンルームの一部を仕事スペースに使用している場合
→ 面積比を計算し、例えば「30%が仕事用」と判断すれば家賃の30%を経費に計上します。
3. 仕事でもプライベートでも使う車の維持費
車のガソリン代や保険料も、事業に使用する割合のみが経費対象です。完全に仕事専用で使用していない限り、プライベート使用分を差し引いて計算しましょう。
注意点:
車両の購入費用やリース料も同様に按分が必要です。記録をしっかり残しておくことが必須と思っておいて下さい。
4. 趣味に近い支出
例えば、イラストや写真撮影を副業としている方が高額なカメラや機材を購入した場合、事業に直接必要であることを証明できなければ経費として認められません。趣味と事業が曖昧なケースでは特に注意が必要です。
判断基準:
• 購入目的が「事業のため」であることを説明できるか?
• 趣味の割合が多い場合は按分が適用される可能性あり。
5. 贈り物の中でも経費にならないもの
お中元やお歳暮は「接待交際費」として経費に計上できる場合がありますが、明らかにプライベートな贈り物はもちろん経費にはなりません。
補足:
取引先への贈り物でも、税務署が「高額すぎる」と判断すると否認されることもあります。適正で常識的な範囲で申告しましょう。
6. 事業に関係ない保険料や税金
個人事業主として事業に関連する保険(業務用車両の保険など)は経費になりますが、国民健康保険や国民年金、所得税などは経費に含めることができません。
例外:
従業員の給与や福利厚生費に関わる支出は経費にできる場合があります。
7. 自分へのお小遣いや生活費
当たり前ですが、事業とは無関係な個人的な生活費や自分へのお小遣いは経費にできません。事業用口座とプライベート用口座を分けておくことで、支出の管理がしやすくなります。
8.レンタルオフィスなど借りた場合の敷金
最近、自宅で仕事をするのでは無く、格安なレンタルオフィスを契約して仕事場にしている人も多くなってきました.その契約の際、家賃以外に保証料や礼金など請求される場合がほとんどですが、礼金や保証料の取り扱いは返金されるか?されないのか?に左右されます。
不思議に思われるかもしれませんが、敷金や保証金など後で戻ってくるものを支払った場合には、原則として支払い年度の必要経費として計上することはできません。しかし、礼金は入居時に支払い、返金されませんので経費として計上出来ます。
なぜ敷金や保証金が経費計上出来ないか?というと、敷金や保証金は借主が『万が一賃料を支払えなかった場合のために担保するお金』である要素が多いからです。敷金は、家賃の未払いに充当されたり、賃貸借が終了した際の入居中に発生した部屋の原状回復のため退去時の修理代や清掃代に充てられます。そして、退去時に残額は返金される場合がほとんどです。
ですから、退去時の精算後、入金された際に経費計上することになります。
詳しくは国税庁のリンクを貼っておきますのでご確認ください。>>国税庁「礼金、敷金」
まとめ:経費の適切な管理が事業成功のカギ
経費は適切に管理することで、節税効果を得ることができます。しかし、経費に含められないものを誤って申告すると、税務調査で指摘を受け、ペナルティが発生することもあります。この記事を参考に、自分の事業にあった経費管理を徹底しましょう。
もし迷った場合は、税理士さんに相談したり、税務署に問い合わせることをおすすめします。適切な経費管理で、安心して事業を進めていきましょう!