Microsoft Visual C++が“いっぱいある”のは正常?消す前に読む「安全な整理・修復・最新版の入れ方」

Windowsのアプリ一覧に複数の『Microsoft Visual C++ Redistributable』が並んでいる図。削除は非推奨で、修復→最新版適用(2015–2022は統合系)を案内するイメージ

「アプリの調子が悪いので“不要そうなもの”を消したい」——

そんなとき[インストール済みアプリ]一覧に “Microsoft Visual C++ ○○ Redistributable” がずらっと並んでいて不安になったことはありませんか。
結論からお伝えすると、複数入っているのは正常で、原則として削除はおすすめしません。アプリやゲームは、それぞれ
特定の“Visual C++ ランタイム(再頒布可能パッケージ)”に依存して動作しており、消すと起動しなくなる場合があるためです。Microsoftの公式ドキュメントでも、2015/2017/2019/2022 は互換性を保った同一系列のランタイムとして提供されており、最新版の再配布パッケージを推奨しています。


なぜ“たくさん”入っているのか

Windowsでは、同じライブラリでもバージョン違いを共存させる「サイドバイサイド(Side-by-Side / SxS)」という仕組みが使われます。これにより、アプリごとに必要なバージョンを“取り違えずに”読み込めるため、DLLの食い違い(“DLL地獄”)を避けられます。Microsoftの解説でも、複数バージョンを同時に利用できるのが利点と明記されています。

具体的には、

  • 年版(2005/2008/2010/2012/2013/2015–2022)が分かれている
  • アーキテクチャ違い(x86/x64/一部 arm64)がある
    — ために、一覧には多数のエントリが並ぶことになります。64bit Windowsでも、32bitアプリのために“x86版”が必要になる点がポイントです。最新版のダウンロード表もx86/x64が別々に提供
    されています。

2015–2022は“ひとつの系列”に統合

Visual Studio 2015/2017/2019/2022の再配布パッケージは、同じメジャー(“14.x”)でバイナリ互換を維持する方針です。新しいものが古いものを上書きできる/1つだけ入ればよい性質のため、この系列については「最新版」を入れておくのが最善です(個別の年版でそろえる必要はありません)。

逆に、2005~2013系は別系列として扱われます。古いアプリがそれらに依存している場合、該当バージョンが必要です(多くはアプリのセットアップ時に自動で入ります)。最新版のダウンロードページから必要な年版を確認できます。


原則:消さないのが正解(どうしても容量を空けたいときは?)

消すと依存アプリが起動しない/エラーを出す可能性があります。特にゲームや業務アプリでは発生しやすく、入れ直しが必要になることも珍しくありません。まずは不要なアプリ本体の整理大容量ファイルの片付けを優先し、Visual C++ 再配布は削除しない運用をおすすめします(複数共存は設計どおりの挙動です)。


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不調・エラー時の正しい直し方(安全手順)

1) まずは [修復(Repair)]

  1. 設定 → アプリ → インストールされているアプリ(または コントロール パネル → プログラムと機能)を開きます。
  2. 不調が疑われるエントリ(例:Microsoft Visual C++ 2015–2022 Redistributable (x86)/(x64))を選択し、[変更]→[修復]を実行します。
    • 2015–2022 系は「ひとつの系列」なので、x86 と x64 の両方を修復しておくと安心です。Microsoft Learn

2) 最新版に“上書き再インストール”

Microsoftの「Latest supported Visual C++ downloads」から、2015–2022 の最新版(x86/x64)をダウンロードし、上書きインストールします。古いものを先にアンインストールする必要はありません。

3) それでも直らない場合

  • エラーに特定のDLL名(VCRUNTIME140.dll、MSVCP140.dll など)が出る場合、対応する年版/アーキテクチャが不足している可能性があります。アプリ側のインストーラ(再配布同梱)を改めて実行するか、該当の年版を追加します。
  • GPUドライバーなど他要因で落ちるケースもあるため、同時にグラフィックスドライバー更新Windows Updateもチェックすると効果的です。

よくある質問(Q&A)

Q1.一覧に“同名っぽいもの”がたくさんあります。
A. 正常です。年版/ビルド違い/x86/x64が並んでいるだけです。Windowsはサイドバイサイド必要なものだけを読み分けます。

Q2.2015、2017、2019、2022がバラバラに入っています。最新版だけにしてよいですか?
A. はい。2015–2022 は同系列(14.x)で互換のため、最新版の“2015–2022”を入れればOKです。新しいものが古い同系列を置き換えます。

Q3.64bit Windowsです。x64だけ入れればよいですか?
A. x86も必要になることがあります。32bitアプリx86のランタイムを見に行くため、x86/x64の両方を用意するのが基本です。(ダウンロードも別ファイル)

Q4.古いアプリ向けに 2013 や 2012 が要ると言われました。
A. その年版を追加します。2015–2022 系では代替できないため、アプリのインストーラを実行するか、Microsoftのダウンロードページから該当年版を取得します。

Q5.“不要そう”なので全部削除したら軽くなりますか?
A. 非推奨です。依存アプリが起動しなくなる可能性が高く、結局入れ直しが必要になります。容量削減は別の方法で行い、再配布パッケージはそのままにしてください。

Q6.どれが“最新”かわかりません。
A. 2015–2022 は統合系列なので、Latest supported Visual C++ downloadsの最新版(x86/x64)を入れておけば大丈夫です。

Q7.古いゲームが“MSVCR*.dll が見つからない”と出ます。
A. そのゲームが古い年版のランタイムに依存しているサインです。その年版の再配布を追加するか、ゲームのセットアップ内の再配布(redist)を実行してください。


具体手順(まとめてチェックリスト)

  • 消す前に:依存関係の都合で削除は非推奨(複数共存は正常)。
  • 2015–2022 系は最新版でOKx86 と x64 を両方インストール。
  • 不調時は[変更]→[修復]→最新版で上書きの順。
  • 2005~2013 系が必要と言われたら年版を追加(アプリ側インストーラor公式ページ)。
  • 依然として落ちる場合は他要因(GPUドライバー等)も併せて確認。

さらに深掘り:技術的な背景を少しだけ

Visual C++ ランタイムは、C/C++で作られたアプリが共通で使う“基盤ライブラリ”です。アプリは開発時に特定のビルドのランタイムを前提としており、そのバージョンが入っていない環境では起動時に読み込みに失敗します。
Windowsは前述のサイドバイサイド複数バージョンを“横並びで”保持し、アプリごとのマニフェストに基づいて必要な版を選んで読み込む設計です。これが「同名がたくさん並ぶのは正常」な理由になります。

また、2015–2022 系は“14.x”で互換維持され、より新しい再配布が古いものを置き換えるというポリシーがMicrosoftから示されています。最新版にしておくことが、機能・安定性・セキュリティの面で最も合理的です。

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まとめ

「Microsoft Visual C++ がたくさん入っている」のは、Windowsがアプリごとに必要なランタイムを並行して管理する仕組みによるものです。原則として削除は不要で、動作不良時は修復→最新版の上書きが最短・安全な対処になります。

今日のポイント

  • 複数表示は正常:x86/x64や年版違いが共存します。
  • 消すより直す:[修復(Repair)]→2015–2022統合版の最新版をx86/x64両方入れる。
  • 古い年版は別物:2013以前に依存するアプリには該当年版の追加が必要です。

まずはここから(チェックリスト)

  1. 設定またはコントロールパネルで 2015–2022 (x86/x64)修復
  2. Microsoftの最新版で 上書きインストール(アンインストールは不要)。
  3. 直らなければ、エラーに出る DLL名 を手掛かりに必要年版を追加。
  4. 併せて Windows Update/GPUドライバー更新 も確認。

古いゲームや業務アプリでは、特定の年版に依存していることがあります。むやみに整理せず、必要なものだけを確実に整えるのがトラブルを増やさないコツのようです。

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