乳がん検診で乳腺のう胞の中に腫瘍が見つかり、要精密検査になった話の続きです。
「より明確に腫瘍の場所を特定するため」
私は、細胞診とマンモグラフィーをする前にMRI検査をする事になりました。より明確に腫瘍の位置を特定する為のMRI検査という事らしいのですが、私は今までMRIの経験がありません。「MRI自体、初めての経験なので・・」と先生に言うと、丁寧に説明して下さいました。
被爆を受けないMRI検査
私は、MRIはレントゲンと同じ放射線だと思っていました。しかし先生からの説明で『MRIは大きな磁石による“ 強い磁場”とFMラジオに使われているような“電波”を使って画像を撮るため、放射線による被ばくがなく安心だ』と言うことを知りました。また、
・撮影時間は約30分かかる
・造影剤を入れながら撮影する
と言うことを聞き、わずかな不安を覚えつつ、会計を済ませ病院を後にしました。この時の料金は2,660円でした。(初診料、診察、触診、エコー)
MRI検査当日
月曜日は、4時間前から絶食という事だったので、朝から何も食べず水分だけ少し摂りつつ、MRIに挑むことにしました。
予定より10分前に病院に着くと、すぐに呼ばれ、担当の先生から細かい説明と確認事項をいくつか質問されました。一連の説明の後、承諾書に署名し着替える事に。
若い男性看護師さんに連れられ、更衣室に案内されました。更衣室では指定された衣服に着替え、金属などはロッカーに入れ、とりあえずメガネだけつけて点滴の部屋へ通されました。
「どちらの腕がいいですか?」
「どちらでも大丈夫です。針を入れやすい方でお願いします」
と言うと、看護婦さんは私の両腕を見て、右腕に刺すことにしました。何か柔らかい針だそうで、最初少しチクっとしただけで、あとは大丈夫でした。
若い看護婦さんが指導員さんに教えてもらいながらだったので、針を刺してから私の腕に貼るテープが、自分の指に絡みついて焦っていました。(あんなにみんなに見られると、誰でも緊張するよーと思って見ていました)
その後、『点滴は生理食塩水だ』ということと、『途中でバイエル社のガドビストという薬剤を入れる』と説明されました。
そして、いよいよMRI検査室に入ることになりました。
まず、入口でメガネを外したため、周りは見えませんでした。看護婦さん3名が、私に付き添ってくださっていました。
私は乳房のMRIなので、ベットにうつ伏せになり、両腕を上にあげた状態でセットされました。
「これで15分撮影して、途中薬剤を入れに看護師が入って来ます。そのあと、また15分撮影します」と言って、手早く私の耳にイヤホンを付け、左手に丸い緊急ブザーを持たせて、看護師さんや医師は外に出て行きました。
すると、すぐさま大爆音が耳元で響き渡りました。
ガガガ バババ バリバリバリ ガーッ
私は心の中で『これで30分、キツいわー』と呟きました。
うつ伏せ+腕をあげたままの状態なので、次第に胸元が苦しくなってきました。
『やばいかも、咳が出ちゃうかも』と感じつつ耐えられるだけ耐えよう!と意識を他に移してみるものの、なかなかうまくいきません。
おまけに胸のあたりにある物体が、ちょうど肋骨の下を押していて、体勢もキツくなってきました。
しかし『みんな、これしてるんよね・・』と思うと、自分だけ弱音を吐くわけにはいかないと根性を発動し、ただただ耐え続けました。その時、少しだけ面白かったのは、イヤホンから聞こえて来る(ただのリズム音なのですが)ズンチャ、ズンチャ、という音でした。やたら軽快で、その場の嫌な事とは真逆のリズムだったので、かなり愉快に感じました。
長い長い15分が過ぎ、看護師さんが中に入ってきました。
「薬剤を入れますね。苦しくなったらブザー押して下さい」
と言うと同時に、冷たいものが体内に入ってくる感覚がありました。そして再びガガガーと大爆音が頭元で鳴響き『撮影が再開したんだな』という事がわかりました。
薬剤を入れてすぐに、喉に何かが溜まってきました。おそらく薬剤でしょう。(私は橋本病なので、そのせいかもしれません)喉が一気に熱くなって、むせてしまう感覚でしたが必死に耐えました。(耐える必要は無かったかもしれません)
私は「1、2、3・・・」と数字を数えることにしました。80を数えた頃、だんだんと甲状腺に溜まっていた何かが流れ始めました。点滴の生理食塩水が流してくれたのかもしれません。
しかし、今度はお腹が痛くなって下痢のような痛みになってきました。
「今度こそダメかも・・」
と思ったのですが、イヤホンから聞こえる愉快なズンチャ、ズンチャに合わせて、再び数字を数え始めました。何度も『もう無理、もう無理』と思いつつ、弱い私と戦った末
「終わりましたよー」の声が。本当に『助かった』と心の底から思いました。
看護師さんに両腕を抱えられながら立ち上がると、痺れて感覚がありませんでした。お腹の痛みもありました。看護婦さんにその症状を告げると、別室で説明を受けることになりました。