
仕事や私生活の都合で、パソコンをしばらく使わなくなることは誰にでもあります。
年末年始の休暇、長期出張、サブPCの放置など、理由はさまざまです。
問題になりやすいのは、使っていない間ではなく「久しぶりに起動した瞬間」です。
- サインインできない
- 更新が終わらない
- 黒い画面のまま進まない
- BitLockerの回復キーを求められる
こうしたトラブルの多くは、放置前のちょっとした準備で防げます。
本記事では、長期間PCを使わない前にやっておくべきことを、PCが苦手な人にも分かりやすくまとめました。
長期間使わないPCで起きやすいトラブル
まず、よくあるトラブルを知っておきましょう。
- Windows Updateが途中で止まり、起動時に失敗する
- パスワードやPINが通らずサインインできない
- 更新後にBitLocker回復キーを要求される
- ストレージ不足で更新が進まない
- ノートPCのバッテリーが劣化・完全放電して起動しない
これらは「運が悪い」のではなく、放置前の状態が原因で起きることがほとんどです。
放置前に必ずやっておくWindows側の準備
① Windows Updateを「中途半端」にしない
もっとも重要なポイントです。
- 更新が「再起動待ち」のまま放置 ❌
- ダウンロード中のまま電源オフ ❌
正解は次のどちらかです。
- 更新をすべて完了させてから電源オフ
- しばらく使わないなら 更新を一時停止してから放置
更新途中の放置は、次回起動時の不具合につながりやすくなります。
② ストレージの空き容量を確保する
久しぶりに起動すると、まとめて更新が入りやすくなります。
空き容量が足りないと、更新失敗や動作不良の原因になります。
【目安】
- Cドライブの空き容量:20GB以上
不要な一時ファイルやごみ箱を削除するだけでも効果があります。
③ 周辺機器は外しておく
USBメモリ、外付けHDD、プリンタなどは、
- 起動が遅くなる
- デバイス認識エラー
- 更新失敗
などの原因になることがあります。
本体だけの状態で電源オフが安全です。
④ 電源は「完全シャットダウン」
よくある失敗のひとつが、「しばらく使わないから」と電源を入れたまま放置するケースです。
長期間使わない場合は、
- ❌ スリープ
- ❌ 画面を閉じただけ
ではなく、完全に電源を切るのがおすすめです。
スリープ状態や画面を閉じただけの状態で放置すると、裏で更新が途中まで進んだり、バッテリーが完全放電したりすることがあります。また、更新中に強制的に電源を切るのも避けたい行為です。これはファイル破損や起動失敗の原因になりやすく、次回起動時に「修復しています」の画面から進まなくなることがあります。
長期間使わないと分かっている場合は、状態を整えてから完全に電源を切りましょう。
アカウント・セキュリティ面の重要な準備
⑤ Microsoftアカウントに外部からログイン確認
放置前に必ず、
- スマホや別PCから
- Microsoftアカウントにログインできるか
を確認してください。これをやっておくと、
「本人確認ができず何も進めない」最悪の状況を防げます。
⑥ 回復用メールアドレス・電話番号の確認
登録している連絡先が、
- 使っていないメール
- 変更済みの電話番号
のままだと、認証コードを受け取れません。
必ず現在使えるものに更新しておきましょう。
⑦ 認証アプリ(Authenticator)のバックアップ
2段階認証を使っている場合、
- バックアップが有効か
- 機種変更時に復元できるか
を確認しておくと安心です。
⑧ BitLocker回復キーを保存(非常に重要)
ノートPCでは、更新後に突然
「回復キーを入力してください」
と表示されることがあります。
- Microsoftアカウントに保存されているか
- 紙・USB・スマホメモなど別の場所にも控えがあるか
必ず確認してください。
⑨ ローカル管理者アカウントを1つ残す
可能であれば、
- Microsoftアカウントとは別に
- 管理者権限のローカルアカウント
を作っておくと、
サインイン不能時の保険になります。
ノートPC特有の注意点
バッテリー残量は50〜60%が理想
- 満充電で長期放置
- 完全放電で放置
どちらもバッテリー劣化の原因になります。
50〜60%前後で電源オフが最適です。
保管環境にも注意
- 高温多湿を避ける
- 直射日光を避ける
精密機器として扱う意識が大切です。
サブPC・たまに使うPCほど準備が重要な理由
毎日使うメインPCよりも、サブPCや予備機のほうがトラブルが起きやすい傾向があります。理由は単純で、更新や設定の確認が後回しになりやすいからです。久しぶりに電源を入れたとき、Windows Updateが何か月分もまとめて走り、途中で止まってしまうケースも珍しくありません。また、Microsoftアカウントのパスワードを変更していたことを忘れていて、サインインできなくなることもあります。
「たまにしか使わないから大丈夫」ではなく、たまにしか使わないからこそ、放置前の準備が必要だと考えると失敗しにくくなります。
業務・家族共有PCで特に注意したいポイント
会計業務や仕事用、家族で共有しているパソコンは、長期間使わない前の確認が特に重要です。業務PCの場合、再起動や更新のタイミングが合わず、次回起動時にログインできないだけで仕事が止まってしまいます。家族共有PCでは、誰がどのアカウントを使っているのか分からなくなり、管理者権限がなくて設定変更ができない、という事態も起こりがちです。
こうしたPCでは、管理者アカウントの存在確認とログイン情報の把握を放置前に一度整理しておくと、復帰時の混乱を防げます。
久しぶり起動が不安な人は「一度テスト起動」がおすすめ
長期間使わない予定がある場合、放置前に一度、再起動を含めたテスト起動をしておくと安心です。Windowsが問題なく起動し、サインインできることを確認してから電源を切れば、次に使うときも同じ流れで起動できる可能性が高くなります。更新が途中で止まっていないか、エラーメッセージが出ていないかを確認する意味でも、この一手間は効果的です。「最後にちゃんと起動できた状態」で終えておくことが、トラブル回避につながります。
放置前チェックリスト
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| Windows Update完了 or 一時停止 | □ |
| Cドライブ空き容量に余裕 | □ |
| Microsoftアカウント外部ログイン確認 | □ |
| 回復用メール・電話番号 | □ |
| Authenticatorバックアップ | □ |
| BitLocker回復キー保存 | □ |
| 周辺機器を外した | □ |
| 電源オフで保管 | □ |
まとめ
長期間パソコンを使わないときに大切なのは、「放置しないこと」ではなく「放置前の準備」です。
5分の確認をしておくだけで、久しぶりの起動時に何時間も悩むリスクを大きく減らせます。これからPCをしばらく使わない予定がある方は、ぜひ本記事のチェックリストを参考にしてみてください。
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