
戦争や内乱のニュースを見て、「現地のインターネットやサーバーはどうなるのだろう」「日本のネットにも影響するのかな」と心配になることはありませんか。
戦争や内乱では、電力設備や通信施設の被害、政府による通信制限、サイバー攻撃などによって、地域のインターネットやサービスが使えなくなることがあります。ただし、海外で紛争が起きたからといって、日本のインターネットがすぐに一斉停止するわけではありません。
この記事では、戦争や内乱がネットやサーバーに影響する仕組み、日本で考えられる影響、家庭でできる備えを初心者向けに解説します。
戦争や内乱でインターネットが止まることはある?
はい。戦争や内乱が起きている地域では、インターネットが使えなくなったり、特定のサービスに接続しにくくなったりすることがあります。
インターネットは、ひとつの大きな施設だけで動いているものではありません。家庭のルーター、通信事業者の設備、データセンター、海底ケーブル、電力など、多くの設備やサービスがつながって動いています。そのため、どこか一か所に問題が起きても、影響が出る範囲は原因や場所によって異なります。
Cloudflareが公表した2026年7月から9月の通信障害の記録では、各国で停電や政府による通信遮断、自然災害などに伴う障害が確認されています。ウクライナでは、エネルギー施設への攻撃に伴う停電のあと、地域のインターネット通信が大きく低下した事例も報告されました。
このように、ネットワークの設備が無事でも、その設備を動かす電力が止まれば、通信に影響する場合があります。
ネットやサーバーに影響する主な原因
電力設備や通信施設が被害を受ける
基地局や通信局、データセンターは電力を使って動いています。停電が長引いたり、設備そのものが損傷したりすると、携帯電話や固定回線、データセンター上のサービスが使いにくくなることがあります。
データセンターは非常用電源を備えている場合がありますが、停電が続けば燃料や設備の状況なども関係します。ひとつの施設に障害が起きても別の施設へ切り替えられるかどうかは、サービスを提供する会社の構成によって異なります。
海底ケーブルが切れたり、使いにくくなったりする
国や大陸を結ぶ通信では、海底ケーブルが重要な役割を担っています。国際電気通信連合(ITU)は、海底通信ケーブルが世界のデータ通信を支える重要な基盤であり、障害が金融取引やクラウドサービスなどにも影響し得ると説明しています。
ケーブルに障害が起きても、別の経路へ通信を迂回できれば、すべての通信が止まるとは限りません。一方で、迂回先の回線が混み合うと、通信速度が遅くなったり、海外の一部サービスにつながりにくくなったりすることがあります。
影響は、切断されたケーブルの場所や数、通信事業者が持つ代替経路、修理までにかかる時間などによって変わります。
政府が地域の通信を制限する
治安維持などを理由に、政府が特定の地域や国全体のインターネット接続を制限する場合もあります。この場合は、ケーブルの故障ではなく、通信事業者への指示やネットワーク上の設定によって通信が止められることがあります。
こうした措置は対象地域の利用者に直接影響しますが、別の国のネットが同時に止まることを意味するものではありません。
サイバー攻撃で特定のサービスが停止する
サイバー攻撃によって、企業や組織のウェブサイト、オンラインサービス、社内システムなどが使えなくなることもあります。インターネット回線自体はつながっていても、利用したいサービスのサーバーに障害が起きていれば、ログインや決済ができません。
つまり、「ネットにつながらない」と感じる原因は、自宅の回線だけとは限りません。通信事業者の障害、サービス提供会社のサーバー障害、端末やルーターの不具合など、いくつかの可能性があります。
日本のインターネットも止まる?
海外の紛争が起きたからといって、日本のインターネット全体が直ちに使えなくなるわけではありません。通信は複数の回線や事業者を経由しており、障害が起きたときに別の経路へ切り替えられる仕組みもあります。
ただし、通信の経路やデータセンター、クラウドサービスが国境を越えてつながっているため、海外の設備障害が日本の利用者に影響する可能性はあります。たとえば、海外にあるサーバーを利用するウェブサイトやアプリで、表示が遅くなったり、一時的に使えなくなったりすることが考えられます。
影響が出るとしても、すべてのサイトやアプリが一斉に止まるとは限りません。特定のサービスだけ開けない場合は、そのサービス側の障害や、海外との通信経路の問題も考えられます。
なお、海底ケーブルの障害やサイバー攻撃について、SNSでは確認が不十分な情報が急速に広がることがあります。特定の攻撃や国の関与を決めつけず、通信事業者やサービス提供会社、政府機関などの公式発表を確認しましょう。
家庭でできるネット・パソコンの備え
重要なデータを別の場所にも保存する
写真や書類など、失いたくないデータは、パソコンの中だけでなく外付けハードディスクやUSBメモリなどにも保存しておきましょう。バックアップが終わったら、外付け機器をパソコンから取り外して保管すると、パソコンが故障したり、ウイルスに感染したりした場合の備えになります。
クラウドストレージは便利ですが、インターネットに接続できないときは利用できない場合があります。必要な書類や連絡先などは、オフラインでも確認できる形で保存しておくと安心です。
Windowsのファイル履歴でバックアップしている方は、保存先ドライブや最新のバックアップ日時も確認しておきましょう。ファイル履歴で「ドライブを再接続してください」と表示される場合の対処法も参考になります。
アカウントに多要素認証やパスキーを設定する
メールやネット銀行、ショッピングサイトなど、重要なアカウントでは、多要素認証やパスキーを利用できる場合は設定しましょう。パスワードを使い回さず、サービスごとに異なるものを使うことも大切です。
IPAは、長く複雑なパスワードを使い回さないこと、多要素認証やパスキーを利用すること、不審なメールやSMSのリンクからログインしないことを日頃の対策として案内しています。
偽の警告や緊急連絡に注意する
社会情勢が不安定なときは、「通信障害が起きる」「アカウントが停止される」「情報確認のためログインが必要」など、不安をあおるメールやSMSが届くことがあります。
メールやSMSに記載されたリンクから、パスワードや認証コードを入力しないでください。確認が必要な場合は、公式アプリや、あらかじめ登録した公式サイトからアクセスしましょう。
Microsoftアカウントの不審なサインイン通知が届いたときは、メール内のリンクを使わずに確認する方法をこちらの記事で解説しています。
パソコンやルーターを最新の状態にする
Windowsやスマートフォン、ルーターの更新プログラムは、通常どおり適用しておきましょう。更新を長期間止めたままにすると、既知の弱点が残ることがあります。
通信障害が起きているときに、SNSで見た手順に従ってルーターの設定を大きく変更するのは避けましょう。設定を初期化すると、かえって自宅のネットにつながらなくなることがあります。
Windows 11のセキュリティ設定を確認したい方は、見直しておきたい7つのセキュリティ設定も参考にしてください。
ネットにつながらないときの確認手順
- スマートフォンのモバイル通信など、別の回線でインターネットが使えるか確認する
- 特定のサイトだけ開けないのか、複数のサイトやアプリで同じ症状が出るのか確認する
- 契約している通信事業者やサービス提供会社の公式障害情報を確認する
- 障害情報が見つからない場合は、ルーターやパソコンを再起動して様子を見る
- 解決しないときは、契約先のサポート窓口に問い合わせる
自宅のWi-Fiだけが使えないのか、モバイル通信も含めて使えないのかを分けて確認すると、原因を絞り込みやすくなります。サービス側の障害が疑われるときは、何度も設定を変えず、復旧情報を待つことも大切です。
Windowsの画面に「インターネットに接続できません」と表示される場合は、Windowsでインターネットに接続できないときの原因と対処法もあわせてご覧ください。
まとめ:ネット障害に備えて、普段からできることを確認しよう
戦争や内乱では、停電、通信設備の損傷、海底ケーブルの障害、政府による通信制限、サイバー攻撃などを通じて、ネットやサーバーに影響が出ることがあります。
しかし、海外で紛争が起きたからといって、日本のインターネットがすぐに全面停止するわけではありません。影響がある場合も、地域や回線、サービスによって範囲は異なります。
家庭では、重要なデータのバックアップ、アカウントの多要素認証、パソコンやルーターの更新、不審なリンクを開かないことから始めましょう。情報を確認するときは、SNSの投稿だけで判断せず、通信事業者や公的機関などの公式情報も確認してください。
