
Windows 11 バージョン24H2へのアップデート後、リモートデスクトップ(RDP)が突然切断されるという不具合が一部のユーザーで発生しています。
特に Windows Server 2016以前の古いサーバーOS との接続環境で、この問題が顕著に発生しています。
※Microsoft公式によると、この不具合は一部のネットワーク構成でのみ発生し、Known Issue Rollback(KIR)の自動展開によって順次解消が進んでいます。
本記事では、この問題の原因・解決策・注意点を、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。
そもそも「RDP」とは?
RDP(Remote Desktop Protocol)とは、離れた場所から別のパソコンを操作できる仕組みです。仕事やシステム管理などで広く使われており、接続が切れると業務に大きな支障が出る場合もあります。
原因:2025年1月のプレビュー更新(KB5050094)以降でRDPが不安定に
Microsoftは、Windows 11 24H2 に KB5050094 以降を適用すると RDP が切断・フリーズする場合があると公表しています。とくにWindows Server 2016 以前へ接続する環境で、約65秒で切断される事例が確認されました。主因は RDP が UDP トランスポートを使う挙動との相性です。Microsoftは本件を既知の問題として掲示し、後続の更新プログラムで対処しました。。
解決策:KIR(既知の問題のロールバック)を適用
まず最優先:最新の累積更新を適用
このRDP不具合は、2025年3月27日のプレビュー更新(KB5053656)で修正が入り、2025年4月の月例(KB5055523)以降の累積更新にも取り込まれています。まずは 最新の累積更新(CU) を適用してください。
KIRについて
家庭向け・ポリシー管理されていないPCは KIRが自動適用されます。企業ドメイン管理下のPCでは自動で効かない場合があるため、Microsoftの案内に従いグループポリシー(KIRテンプレート)を配布・有効化してください。
更新がすぐ当てられない場合の暫定策(UDPを無効化)
パッチ適用までの一時回避として、RDPのUDP使用を無効にしてTCPのみにします。
- クライアント側(推奨)
[コンピューターの構成]→[管理用テンプレート]→
[Windows コンポーネント]→[リモート デスクトップ サービス]→
[リモート デスクトップ接続クライアント]→
「Turn off UDP On Client」=[有効]
(同等レジストリ:HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows NT\Terminal Services\Client
のfClientDisableUDP=1
) Windows OS Hub - サーバー側(可能なら)
[…Remote Desktop Session Host→Connections]→
「Select RDP transport protocols」=“Use only TCP” に設定。 Windows OS Hub
※ 上記は“暫定策”です。最新CU適用後は元に戻すほうが体感品質(遅延・再送制御)は改善します。
グループポリシーを編集するときの注意点
グループポリシーはWindowsの動作に大きく影響するため、以下の点に注意しましょう。
- 変更前に「復元ポイント」を作成しておく
- 操作するポリシー名をメモしておく(あとから元に戻すため)
- 企業PCや共有PCでは、管理者の許可を得ること
また、ポリシーが正しく反映されない場合は、再起動や「gpupdate /force」の実行で反映を促すことも有効です。
KIRが適用されたか確認したい場合
KIRはWindows Update の履歴に出ないことがあります。企業向けにはMicrosoftが確認方法を案内しており、イベント ビューアーで
[Applications and Services Logs → Microsoft → Windows → Known Issue Rollback → Operational] を確認します。環境によっては管理者向けのスクリプトで適用状況を検証できます。
KIRで改善しない場合のチェックポイント
・sfc /scannow
と DISM の実行(システム破損の有無を確認)
・ネットワーク設定(DNSやFWでRDP関連ポートやUDPがブロックされていないか)
・セキュリティ製品の干渉(一時無効で切り分け)
・最新CUの再確認(KB5053656 以降、またはKB5055523 以降を満たしているか)
KIRが無効になるケースとは?
KIRは便利なロールバック機能ですが、必ずしも永続的に機能し続けるとは限りません。たとえば、以下のようなケースではKIRが上書き・無効化されることがあります。
- Windows Updateで新しいパッチが適用された
- Insider Previewに参加しているPC
- ドメインポリシーやセキュリティ設定がKIRと競合している
KIRを一度設定しても、トラブルが再発した場合は設定を見直すことが大切です。
補足:Insider Previewで24H2を導入した方へ
現在、Insider Previewを通じて24H2を使用しているPCでは、安定性に影響が出る可能性があります。
とくにグループポリシーやネットワーク関連設定を手動で変更した環境では、RDPが切断されやすくなる事例が確認されています。
⚠️Insider Preview版では不具合が長く残ることも
24H2の先行ビルドを使用しているInsider Previewユーザーでは、正式リリースよりも長期間にわたって不具合が放置されることもあります。
Insider Previewでは、不具合が見つかっても 「正式リリース時に修正予定」とされ、KIRなど即時の修正対応が行われない場合があります。そのため、業務用途での利用は避けるのが安全です。
代替案:RDP以外のリモートツールの活用
どうしてもRDPが不安定な場合は、TeamViewer や AnyDesk といった他のリモートツールの利用も検討してみてください。
ただし、これらもセキュリティ設定が重要なため、信頼できる公式サイトから入手し、常に最新版を使うようにしましょう。
RDPが切れる原因はクライアントだけじゃない?
RDPが途中で切れると、つい「クライアント側の問題」と思いがちですが、実はサーバー側に原因があるケースも少なくありません。
特にWindows Server 2012や2016など、古いサーバーOSではKB5050094の影響を直接受けなくても、相性問題や認証処理の変更でセッションが不安定になることがあります。
ログイン先のイベントログ(Event Viewer)も併せて確認することで、原因を特定しやすくなります。
→ Application や System に「切断」「タイムアウト」などの記録が残っていれば要注意です。
今後のアップデートで再発しないために
Windowsアップデートの不具合は、定期的に発生する可能性があります。以下のような再発防止策をおすすめします。
- アップデート前にバックアップや復元ポイントを作成
- 重要な更新後は必ずRDP接続の動作確認
- 公式サイトの既知の問題ページを定期的に確認
RDPが重要な業務ツールである場合、複数の接続手段を確保しておくこともリスク回避になります。
まとめ:セッション切断の不具合に注意
Windows 11 バージョン24H2へのアップデート後、一部環境でリモートセッションが予期せず切断される不具合が確認されています。
・発端:KB5050094(2025年1月プレビュー)以降で、主に古いサーバー(2016以前)とのRDPがUDP経由で不安定に。
・修正:KB5053656(2025/3/27)で対処、2025/4の累積(KB5055523)以降に包含。まずは最新の累積更新を適用。
・暫定策:更新できない期間はUDPを無効化してTCP固定(GPO/レジストリ)。更新完了後は元に戻すのがベター。
・KIR:未管理PCは自動、企業環境はGPOで配布が必要。適用状況はKIRイベントログで確認。
ご自身のPCでリモート接続が切れる場合は、まず KIRの適用状況を確認し、必要に応じてグループポリシーで手動対応 を行ってください。改善が見られない場合は、ネットワーク設定やシステム修復コマンド(sfc /scannow・DISM)も併せて試すと効果的です。
また不具合の影響範囲や修正状況は、Microsoft公式ドキュメント の「Windows release health」ページで随時更新されています。修正版が配信された後は、必ずWindows Updateを再実行して最新の状態にしてください。
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