
Windows 11 バージョン24H2へのアップデート後、リモートデスクトップ(RDP)が突然切断されるという不具合が一部のユーザーで発生しています。
とくに、古いWindows Server(2016以前)と接続している環境で、この問題が顕著です。
※Microsoft公式によると、この不具合は一部のネットワーク構成でのみ発生し、Known Issue Rollback(KIR)の自動展開によって順次解消が進んでいます。
本記事では、この問題の原因・解決策・注意点を、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。
そもそも「RDP」とは?
RDP(Remote Desktop Protocol)とは、離れた場所から別のパソコンを操作できる仕組みです。仕事やシステム管理などで広く使われており、接続が切れると業務に大きな支障が出る場合もあります。
原因:KB5050094の更新が通信に影響
Microsoftによると、この問題は2025年1月に提供されたプレビュー更新プログラム「KB5050094」以降を適用したWindows 11 バージョン24H2で発生しています。
この更新により、RDP関連の内部処理が変更され、古いWindows Serverとの接続に支障をきたすケースが報告されています。
解決策:KIR(既知の問題のロールバック)を適用
この不具合には、Microsoftが用意したKIR(Known Issue Rollback)を使うことで一時的な解決が可能です。
KIRとは?
Windows Updateで発生した不具合を、一時的に元に戻すための機能です。多くの一般ユーザーには自動的に適用されますが、企業や管理PCでは手動設定が必要な場合があります。
▼ KIRの手動設定手順(グループポリシー)
企業やドメイン管理下のPCでは、以下の手順でグループポリシーを手動設定してください。
- ① Microsoftの公式サイトから、該当のテンプレートをダウンロード
- ▶ Microsoft公式:Windows 11 24H2の既知の問題
- ② 「gpedit.msc」でグループポリシーエディターを起動
- → [コンピューターの構成] → [管理用テンプレート] → [テンプレート名] を開く
- → 対象の項目を「有効」に設定
- ③ PCを再起動
※ ポリシーテンプレートは「C:\Windows\PolicyDefinitions」に配置してください。
グループポリシーを編集するときの注意点
グループポリシーはWindowsの動作に大きく影響するため、以下の点に注意しましょう。
- 変更前に「復元ポイント」を作成しておく
- 操作するポリシー名をメモしておく(あとから元に戻すため)
- 企業PCや共有PCでは、管理者の許可を得ること
また、ポリシーが正しく反映されない場合は、再起動や「gpupdate /force」の実行で反映を促すことも有効です。
KIRが適用されたか確認したい場合
KIRの適用状況は、「Windows Updateの履歴」や「イベントビューア」では表示されません。
企業向けには、MicrosoftがPowerShellスクリプトなどでKIR適用確認の方法を案内しています。詳細は管理者向けドキュメントをご確認ください。
KIRで改善しない場合のチェックポイント
KIRを適用したのに状況が改善しない場合は、以下の対策を検討してみてください。
- sfc /scannow:システムファイルの破損チェック
- DISMコマンド:Windowsイメージの修復
- ローカルネットワーク設定の確認:DNSやポート制限による影響も
- 一時的にファイアウォールやセキュリティソフトを無効化してテスト
とくにドメイン参加PCやVPN使用環境では、セキュリティ設定との相性が悪くなるケースもあるため、ネットワーク管理者と相談することが重要です。
KIRが無効になるケースとは?
KIRは便利なロールバック機能ですが、必ずしも永続的に機能し続けるとは限りません。たとえば、以下のようなケースではKIRが上書き・無効化されることがあります。
- Windows Updateで新しいパッチが適用された
- Insider Previewに参加しているPC
- ドメインポリシーやセキュリティ設定がKIRと競合している
KIRを一度設定しても、トラブルが再発した場合は設定を見直すことが大切です。
補足:Insider Previewで24H2を導入した方へ
現在、Insider Previewを通じて24H2を使用しているPCでは、安定性に影響が出る可能性があります。
とくにグループポリシーやネットワーク関連設定を手動で変更した環境では、RDPが切断されやすくなる事例が確認されています。
⚠️Insider Preview版では不具合が長く残ることも
24H2の先行ビルドを使用しているInsider Previewユーザーでは、正式リリースよりも長期間にわたって不具合が放置されることもあります。
Preview版に不具合がある場合、Microsoft側が「正式版で修正予定」と判断してKIRなどの修正を提供しないケースもあるため、業務用途での使用は慎重に判断すべきです。
代替案:RDP以外のリモートツールの活用
どうしてもRDPが不安定な場合は、TeamViewer や AnyDesk といった他のリモートツールの利用も検討してみてください。
ただし、これらもセキュリティ設定が重要なため、信頼できる公式サイトから入手し、常に最新版を使うようにしましょう。
RDPが切れる原因はクライアントだけじゃない?
RDPが途中で切れると、つい「クライアント側の問題」と思いがちですが、実はサーバー側に原因があるケースも少なくありません。
特にWindows Server 2012や2016など、古いサーバーOSではKB5050094の影響を直接受けなくても、相性問題や認証処理の変更でセッションが不安定になることがあります。
ログイン先のイベントログ(Event Viewer)も併せて確認することで、原因を特定しやすくなります。
→ Application や System に「切断」「タイムアウト」などの記録が残っていれば要注意です。
今後のアップデートで再発しないために
Windowsアップデートの不具合は、定期的に発生する可能性があります。以下のような再発防止策をおすすめします。
- アップデート前にバックアップや復元ポイントを作成
- 重要な更新後は必ずRDP接続の動作確認
- 公式サイトの既知の問題ページを定期的に確認
RDPが重要な業務ツールである場合、複数の接続手段を確保しておくこともリスク回避になります。
まとめ:セッション切断の不具合に注意
Windows 11 バージョン24H2へのアップデート後、一部環境でリモートセッションが予期せず切断される不具合が確認されています。
- 原因:KB5050094以降の更新によるRDP処理の変更
- 対処:KIRの自動適用、またはグループポリシーでの手動対応
- 注意:Insider Preview環境や企業ネットワークでは再発リスクあり
ご自身のPCでリモート接続が切れる場合は、上記の対処法を参考に対応してください。
また不具合の影響範囲や修正状況は、Microsoft公式ドキュメント の「Windows release health」ページで随時更新されています。修正版が配信された後は、必ずWindows Updateを再実行して最新の状態にしてください。
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