
はじめに
突然、アプリが起動しなくなったり、インストールが途中で止まったり、ブルースクリーンとともに「0xc0000005(アクセス違反)」が表示されると不安になりますよね。実は、このエラーはハードの故障に限らず、アプリやドライバーの相性、Windows側の一時的な不整合など、いくつかの要因が重なって起きることが多いのです。本記事では、原因の見極め方と、安全に一歩ずつ進められる解決手順をわかりやすくご案内します。
0xc0000005とは?(やさしく解説)
「0xc0000005」は、プログラムが本来アクセスしてはいけないメモリ領域を参照したときに表示されるアクセス違反エラーです。具体的には、アプリ本体の破損、周辺機器ドライバーの誤動作、セキュリティ機能との相性、あるいはまれにメモリ(RAM)の物理不良などが引き金になります。
よくある原因の整理
原因は広範囲にわたりますが、次の5つを押さえておくと切り分けがスムーズです。
- アプリやランタイムの破損:インストールファイルの欠損・古いバージョンの混在など。
- ドライバーの不具合:GPU/ネットワーク/オーディオ/チップセットなどの相性・更新直後の不安定化。
- Windows側の不整合:更新の中断や電源断でシステムファイルが壊れている。
- セキュリティ・互換性設定の影響:メモリ保護(コア分離・DEP)で古いアプリが弾かれる。
- メモリやBIOS設定の問題:RAM不良、XMP/EXPOやOCの攻めた設定で不安定化。
まずはこの順番で(安全・確実な基本手順)
原因を一気に特定しようとせず、安全で再現性の高い順序で進めるのがコツです。各ステップのあとに再起動→症状再確認を挟むと、切り分けが早くなります。
① アプリの再インストール(個別に出る場合)
特定のアプリだけで起きるときは、いったんアンインストール→再起動→公式サイトから最新版を再インストールします。旧インストーラーの使い回しは避けましょう。
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② Windowsを整える(DISM → SFC の順)
更新や電源断の影響で壊れたシステムファイルを修復します。管理者のコマンドプロンプト(またはPowerShell)で、次を1行ずつ順番に実行してください。
先にDISMでコンポーネントを修復し、続けてSFCでシステムファイルを整える流れが安定的です。完了後は再起動しましょう。
③ ドライバーの見直し(更新またはロールバック)
直近で更新したドライバーがあれば、デバイスマネージャーからロールバックを検討します。古いままのものはメーカー提供の安定版へ更新してください。特にGPU、ネットワーク、オーディオ、チップセットは影響が出やすい領域です。
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④ メモリ診断(物理エラーの切り分け)
スタートで「Windowsメモリ診断」と検索して再起動→診断を実施します。エラーが検出された場合は、メモリの差し替え・増設の検討が必要です。自作PCでは、挿し直しで改善することもあります。
⑤ セキュリティと互換性の設定を確認
古いアプリでは、Windowsの保護機能に引っかかって動作しないケースがあります。検証目的で、以下を一時的に切り替えて挙動差を確認します(常用オフは非推奨)。
- メモリ整合性(コア分離):設定 → プライバシーとセキュリティ → Windows セキュリティ → デバイス セキュリティ → コア分離 → メモリ整合性
- DEP(データ実行防止):システムの詳細設定 → パフォーマンス → データ実行防止でアプリ単位の除外を検証
改善が見られても、恒久的なオフはおすすめしません。アプリの更新や代替の検討、設定を戻した上での別解決(ドライバー/ランタイム更新)を優先します。
補足:Windows Update中に出る場合
更新の適用時に0xc0000005が出るときは、まずは上記のDISM → SFCを実行したうえで、次の順にお試しください。いずれも安全度の高い手順です。
- 一時ファイルの削除、ストレージ空き容量の確保(目安20GB)
- トラブルシューティング(設定 → システム → トラブルシューティング → その他 → Windows Update)
- セーフモードでの適用(常駐やドライバーの影響を最小化)
- Microsoft Updateカタログから該当KBを手動ダウンロードして適用
さらに踏み込んだ対処(必要な方のみ)
インプレース アップグレード(上書き修復)
システム深部の破損が疑われる場合は、データを残したままWindowsを上書き修復する「インプレース アップグレード」が有効です。Microsoft公式のMedia Creation Toolで最新ISOを作成し、セットアップから「今すぐアップグレード」を選びます。クリーンインストールの前に試す価値があります。
BIOS/UEFIとメモリ設定の見直し
オーバークロック(CPU/メモリ)を有効にしている場合は、いったん既定値に戻して安定性を確認します。高速メモリをご利用でXMP/EXPOが有効な際は、一度オフにして再現性を確認してください。BIOSの更新は効果的ですが、メーカー手順に沿って慎重に行いましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 0xc0000005はハード故障でしょうか?
多くはソフトウェア側の要因です。メモリ診断でエラーが出た場合のみ、ハード交換(RAM)の検討が必要です。
Q. 何から始めれば良いですか?
個別アプリの再インストール → DISM → SFC → ドライバー見直し → メモリ診断 → セキュリティ設定の一時切替、の順がおすすめです。
まとめ
0xc0000005(アクセス違反)は原因の幅が広く、最初は戸惑うかもしれません。しかし、焦らず安全な順番で対処していけば、必ず原因に近づけます。まずはアプリの再インストールやDISM → SFCで土台を整え、ドライバーやメモリ、設定の相性を一つずつ切り分けていきましょう。どうしても直らない場合でも、データを残した上書き修復(インプレース)という選択肢があります。少しずつ、落ち着いて進めていきましょう。
◆ 関連ガイド
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・Visual C++ 再頒布可能パッケージ(Microsoft公式)
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