
「インターネットなしでWindows 11にアップグレードしたい」と思ったことはありませんか?最近では、オフライン環境やネットが不安定な場所でもWindows 11を導入したいというニーズが急増しています。本記事では、ISOファイルを使って完全オフラインでWindows 11へアップグレードする方法を、初心者にもわかりやすく解説します。
2025年11月現在、一般提供されている最新のWindows 11はバージョン24H2です(25H2は24H2の機能を引き継いだ「有効化パッケージ」として順次展開中)。ISOファイル自体は24H2/25H2の両方が提供されていますが、企業や自宅での安定運用を重視する場合は、まず24H2の正式版ISOをベースにするのがおすすめです。
オフラインアップグレードは可能?
通常、Windows 11へのアップグレードはWindows Updateやインターネット接続が前提です。しかし、事前にMicrosoft公式のISOファイルをダウンロードしておけば、インターネット接続なしでもアップグレード可能です。これが「オフラインアップグレード」です。
※注意:作業前に必ずデータのバックアップを取りましょう。
オフラインアップグレードの準備
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ISOファイル | Microsoft公式サイトから事前にダウンロード(ネット接続が必要) |
| USBメモリ | 8GB以上推奨。ISOファイルを保存 |
| 対象PC | Windows 10が動作中で、TPM・セキュアブート対応を確認 |
ISOファイルは一度入手すれば複数台に使い回し可能です。ネットが遅い環境や、複数PCをまとめてアップグレードする場合に特に有効です。
Microsoft公式ISOの入手方法
- Windows 11ダウンロードページへアクセス
- 「Windows 11 ディスクイメージ(ISO)」を選択
- エディションと言語を選択し、ダウンロード
- USBメモリ等に保存
※25H2のISOも同じダウンロードページから選択できますが、不具合情報が出始めた直後は、まず24H2 ISOで検証し、安定を確認してから25H2へロールアウトする運用がおすすめです。
オフラインアップグレードの手順
- 対象PCにUSBメモリを挿入
- USB内のsetup.exeを実行
- 更新プログラム確認画面で「今は実行しない」を選択
- ライセンスに同意し、「個人用ファイルとアプリを保持」を選択
- インストールを開始し、完了まで待つ
※アップグレード中はネットに接続しないことで、完全オフラインインストールが維持されます。
【オフライン準備にあると安心】
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メリットと注意点
メリット
- ネット回線が遅くても短時間でアップグレード可能
- 複数PCを一括アップグレードできる
- (Windows 10からのアップグレードなら)既存のローカルアカウントをそのまま引き継げる
注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| ライセンス認証 | オフラインでは認証されない場合あり。後でネット接続すれば自動認証されることが多い。 |
| ドライバー | ネット未接続では最新ドライバーが適用されないため、後からWindows Updateやメーカーサイトで更新が必要。 |
| 要件チェック | TPM 2.0・セキュアブート非対応PCでは途中で中断される可能性あり(Rufusなどでの回避は自己責任)。 |
これらの注意点は軽視すると、アップグレード後に動作不良や認証トラブルの原因となります。特にライセンス認証とドライバー更新は、オフライン作業後に必ず実施してください。TPMやセキュアブート要件も事前に確認しておくことで、途中で作業が止まるリスクを大幅に減らせます。
【上級者向け】Rufusで要件回避+完全オフライン対応
TPMやセキュアブートのチェックを回避したい場合、Rufusを使ったUSBメディア作成が有効です。最新版Rufusでは「TPMチェック回避」「Microsoftアカウント不要」などのオプションが選べます。
- Rufusをダウンロード
- ISOを選びUSB作成
- イメージオプションで「拡張Windows 11インストール(TPM無効/セキュアブート無効)」などを選択
- 必要な回避項目にチェック
- 完成したUSBからインストール
※この方法はMicrosoft非推奨です。企業や学校などポリシーが厳しい環境では避け、自宅用PC・検証環境など自己責任でのみ利用してください。
アップグレード前の事前チェックリスト
オフラインアップグレードは便利ですが、事前準備が不十分だと途中で中断したり、動作不良が起きたりします。以下のチェックリストを参考に、作業前に確認しておきましょう。
- Windows 10のバージョン確認:あまりに古いバージョンからのアップグレードでは互換性エラーが出る場合があるため、可能なら最新のWindows 10に更新してから進める
- ストレージ容量:最低20GB以上の空き容量を確保。アップグレード作業中に一時ファイルが生成されるため、余裕を持った空き容量が必要
- 周辺機器の取り外し:プリンタや外付けHDD、不要なUSB機器は事前に外しておくとトラブル防止になる
- BIOS/UEFIの設定確認:TPM 2.0とセキュアブートが有効になっているか確認
- バックアップメディア作成:万一に備え、Windows回復ドライブや外付けHDDにシステムバックアップを作成
トラブル発生時の復旧方法
アップグレード中や完了後に不具合が発生した場合、以下の方法で復旧できる可能性があります。
- インストール中断時:電源を切らずに指示が出るまで待つ。途中で強制終了するとシステム破損の原因に
- 起動できない場合:USBから再度セットアップを起動し、「PCを修復する」オプションを選択
- 動作が不安定:ドライバーの更新や不要アプリのアンインストールを行う
- 元のWindowsに戻す:アップグレード後10日以内なら「設定 > システム > 回復」から元に戻すことが可能
これらの復旧方法を知っておくと、万が一の時に慌てず対応できます。
オフラインアップグレードが役立つシーン
オフラインアップグレードは、単なるネット回線不良時の代替手段ではありません。次のような場面でも活用できます。
- 企業や学校の一括更新:数十〜数百台のPCを短期間でアップグレードする場合、ISOを使うとネット負荷を大幅削減
- イベントや展示会用PCの準備:ネット環境がない現場でも最新のWindows環境を用意可能
- セキュリティ制限が厳しい環境:インターネット接続が制限された工場・研究所などでの導入
- 自宅で複数台PCを所有している場合:1回のダウンロードで複数台分に使い回せるため時間短縮
このように、オフラインアップグレードはネット環境の有無に関わらず、効率的な導入方法として幅広く利用できます。
【2025年11月補足】Windows 11 24H2/25H2での新仕様と注意点
- KB5060842/KB5063060適用後の不具合報告:24H2向け累積更新KB5060842適用後、一部環境で黒画面や起動不良などの報告があり、その修正版としてKB5063060が配信されました。古い更新を含んだインストールメディアを作成している場合は、最新のISOまたは最新パッチを含むメディアで作り直すのが安全です。
- 25H2は24H2の有効化パッケージ:25H2は大きな新機能というより、24H2と同じコードベースのままサポート期間を延長する位置付けのアップデートです。企業・学校では、24H2で安定を確認してから25H2へ段階的に上げる運用が推奨されます。
- Microsoftアカウント必須化の強化:クリーンインストール時(特にHome/Pro)ではMicrosoftアカウントを強く要求される挙動が続いており、従来の
OOBE\BYPASSNROが使えないビルドも増えています。一部ビルドでは、セットアップ中にShift + F10→start ms-cxh:localonlyでローカルアカウント作成に進める方法が知られていますが、今後塞がれる可能性もあり、常に最新情報の確認が必要です。
なお、本記事で紹介している「Windows 10上でsetup.exeを実行するインプレースアップグレード」の場合、既存のローカルアカウント/Microsoftアカウントがそのまま引き継がれるため、クリーンインストール時ほどMicrosoftアカウント強制の影響は大きくありません。
まとめ
Windows 11のオフラインアップグレードは、事前準備さえ整えばネットなしで実行可能です。ネットが不安定な環境や複数台導入、Microsoftアカウントを使いたくない場合に有効ですが、最新バージョン24H2/25H2では要件チェックやアカウントまわりの仕様が強化されています。
必ず最新のISOや更新プログラムの情報を確認し、バックアップを取ったうえで、安全な手順で作業するようにしましょう。

