
ある日突然、パソコンが起動しなくなってしまった――そんな経験はありませんか?
特に週明けや出張明けなど、大事なタイミングでパソコンが動かないと、朝から気持ちも沈んでしまいますよね。私自身も過去に、古いノートPCでUSBリカバリがうまくいかず、何度も再挑戦した記憶があります。
この記事では、USBリカバリが失敗するよくある原因と、今すぐ実践できる対処法を、初心者の方にもわかりやすくご紹介します。
◆ よくあるトラブルと前提知識
USBリカバリとは、USBメモリからWindowsを修復・再インストールする機能ですが、以下のような状況ではうまくいかないことがあります。
- 作成したUSBが起動しない
- Windowsのロゴは出るが、その先に進まない
- 「回復できませんでした」というエラーが出る
- USBを差してもパソコンが反応しない
これらの現象には、共通する原因とパターンがあります。
【原因と対処法】USBリカバリが失敗する5つの主な理由
① USBメディアに問題がある
ありがちな原因
- USBが物理的に破損している
- 容量不足や書き込みエラーがある
- 正しく作成されていない(途中で失敗した)
【対処法】
- 別のUSBメモリで再作成してみる
- 公式の「メディア作成ツール」を使用する(こちら)
- 可能であれば8GB以上・USB 3.0対応の製品を推奨
② BIOS/UEFIの設定が間違っている
よくある設定ミス
- ブート順が間違っていてUSBを読み込んでいない
- セキュアブートが有効になっている
- レガシーブートが無効(古いPCの場合)
【対処法】
- PC起動直後にF2やDelキーでBIOSへ
- 「Boot」メニューを開いて、USBを起動優先に設定
- 「Secure Boot」を無効化
- 古いPCなら「Legacy Boot」を有効に
- 「Fast Boot」も一時的にオフにしておくと安心
③ ストレージ側に異常がある
起きやすい問題
- HDD/SSDが故障している
- パーティション情報が破損している
- Windowsがインストールされたドライブを認識できない
【対処法】
- BIOSで「Storage Information」を確認し、ドライブが認識されているかチェック
- chkdskコマンドでドライブのエラーチェック(方法は後述)
- 別PCで「CrystalDiskInfo」などを使い、健康状態を確認
④ 回復環境(WinRE)が破損している
ありがちな状況
- 「自動修復」→「回復に失敗しました」と表示される
- リカバリ領域が消えている
【対処法】
- 別PCで最新のWindows ISOを使ってUSB再作成
- コマンドプロンプトを使用した手動修復も検討(以下で解説)
⑤ BitLockerや周辺機器の影響
意外な原因
- BitLockerが有効で、暗号化されたまま回復を試みて失敗
- 外部ディスプレイやドッキングステーションにより画面が映らない
【対処法】
- BitLockerが有効な場合は、回復キーが必要
- サブモニターや周辺機器はすべて外してからリカバリを試行
【実践編】それでも直らない時の5つの対処手順
方法1|別のUSBでWindowsインストールメディアを作成
- 公式のメディア作成ツールで、UEFI対応形式のUSBを再作成
- 「MBR形式」ではなく「GPT/UEFI形式」に注意(自作ツール使用時)
なお、USBメディアを作成する際は、なるべく信頼できるPCで作業することをおすすめします。作成中にネット接続が切れたり、セキュリティソフトが干渉したりすると、正しく起動できないUSBになることがあります。また、ダウンロード先としてUSBメモリを直接選ばず、まずはパソコン本体にISOを保存してからUSBへ作成する方が、安定したインストールメディアになりやすいです。
方法2|コマンドプロンプトでの修復
WinRE起動後 →「詳細オプション」→「コマンドプロンプト」
sfc /scannowchkdsk C: /f /rbootrec /fixmbrbootrec /fixbootbootrec /scanosbootrec /rebuildbcd
→ 実行後、再起動して復旧するか確認します。
方法3|システムの復元やアップデートの削除
- セーフモードが起動すれば、「更新とセキュリティ」→「更新の履歴」から直近の更新をアンインストール
- セーフモードが無理な場合は、回復環境から「システムの復元」を試す
アップデートが原因で起動できなくなっている場合、システムの復元や更新プログラムのアンインストールは非常に効果的です。特に、2025年6月以降に配信された大型更新(例:24H2)では、一部のドライバやセキュリティ設定が影響して不具合が発生することがあるため、該当の更新を一時的に戻すことで回復する例が多く見られます。
方法4|ストレージが壊れていた場合
- BIOSで認識されないなら、物理的な故障の可能性
- 可能であれば、外して別PCでチェック
- 新しいSSD/HDDを用意してWindowsをクリーンインストール(公式ISO使用)
最近のノートPCではストレージがマザーボードに直付けされている機種も増えており、自力での交換や診断が難しいこともあります。取り外しができない場合は、無理に分解せず、専門のサポートに相談するのが安全です。
方法5|データ復旧を優先したい場合
起動できないけどデータを取り出したい人は、EaseUS Data Recoveryなどを使う方法も!
*ただし、完全に壊れたドライブからの復元は、専門業者に依頼した方が確実です。
【2025年7月最新情報】24H2適用後のUSBブート不具合が増加中
現在、一部のWindows 11 24H2アップデート適用後の環境において、以下のような報告が増えています:
- USBからのインストールが途中で止まる
- 「このPCではWindowsを実行できません」などのエラーが出る
対処法としては、
- メディア作成ツールの最新版を使用
- BIOS設定を再確認
- 場合によっては「TPM無効化」や「Secure Boot解除」が必要です。
よくある誤解や見落としポイントもチェックしよう
USBリカバリがうまくいかないとき、初心者の方がついやってしまいがちな“見落とし”も実はたくさんあります。
たとえば、「USBを作ったはずなのに、なぜか起動しない」と悩んでいた方の中に、USBメモリのフォーマット形式が「exFAT」になっていたというケースがありました。Windowsのブートメディアは基本的に「FAT32」または「NTFS」形式で作成する必要があります。exFATやMac用の形式では起動できないため注意が必要です。
また、USBメモリを使ってリカバリする際は、PCのUSBポートの場所にも注意が必要です。古いデスクトップパソコンなどでは、背面ポートしか認識されない場合や、USB 3.0ポートだとうまく動作しないといったトラブルもあります。そのようなときは、USB 2.0のポートを使う/別のポートに差し直すことで解決するケースも多いです。
さらに、「回復ドライブ」と「インストールメディア」を混同してしまっている方もよく見かけます。
• 回復ドライブ:あらかじめ作成しておく、特定のPC専用のバックアップ用USB
• インストールメディア:Windows公式から作成する、すべてのPCに汎用的に使えるUSB
この2つは似ているようで用途が全く違います。市販PCの場合はリカバリ用パーティションが削除されていて、回復ドライブでは役に立たないこともあるため、可能な限りインストールメディアを使っての修復・再インストールを推奨します。
不安なときは、無理せずプロのサポートも活用を
ここまでさまざまな原因と対策をご紹介してきましたが、パソコンの状態や年代によっては、どうしても自分では対処が難しいケースもあります。
特に、業務用PC・学校支給PC・法人契約端末などは特殊な設定が施されており、一般的なリカバリ方法が通用しないことも。
また、データ復旧を最優先したい方や、過去にカスタムBIOS・パーティション操作をしていた方も、自己流での操作は危険です。
そのようなときは、メーカーサポートやデータ復旧の専門業者に相談することも選択肢のひとつです。今はチャットやLINEでも受付可能な業者も多く、相談だけなら無料というところもあります。
まとめ
USBリカバリが失敗する時は、焦らずに以下の流れで切り分けてみてください。
- USBメモリ自体の問題か?
- BIOS/UEFI設定は適切か?
- ストレージが認識されているか?
- 回復環境が壊れていないか?
- Windowsのバージョンやアップデートが影響していないか?
パソコンが立ち上がらない時間は不安になりますが、正しい対処を行えば、ほとんどのケースで復旧が可能です。
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