
「Windows のアップグレード後、愛用していたアプリが消えてしまった…」
Windows 10 から Windows 11 への移行や、Windows 11 の大型アップデート(24H2 / 25H2 など)のあと、アプリが勝手にアンインストールされたように見える相談は今も少なくありません。
実はこれ、ほとんどが「不具合」ではなく、Windows 側が安全性や互換性を優先してアプリを削除しているケースです。Windows 10 から Windows 11 への移行や、Windows 11 の大型アップデート(24H2 / 25H2 など)のあと、特に最近のセキュリティ強化の影響で、古いアプリが整理されやすくなっています。
この記事では、
- なぜアップグレード後にアプリが消えるのか
- 2025年時点で消えやすいアプリの傾向
- アップグレード前にやっておくべき対策
- 消えてしまったアプリの復元方法・裏技
を、初心者の方にも分かりやすくまとめました。これからアップグレードする方も、すでにアプリが消えてしまった方も、落ち着いて対処できるように順番に見ていきましょう。
なぜアップグレード後にアプリがアンインストールされるのか?
Windows のメジャーアップデートやバージョンアップ(例:Windows 10 → 11、Windows 11 23H2 → 24H2 / 25H2 など)では、互換性チェックが実行されます。ここで次の条件に当てはまるアプリは、「システムを守るため」として削除されることがあります。
- 新しい Windows バージョンと互換性がない
- OSの深い部分に手を入れる「チューニング系・常駐系」で不安定化の原因になりやすい
- 古いドライバ、古いデジタル署名のままで安全性を保証できない
- セキュリティ上のリスクがある、または似た機能(Defender など)が標準搭載されている
これらに該当すると、アップグレード中の「互換性レポート」で「削除が必要なアプリ」として表示されたり、ユーザーに確認のうえ削除されたり、場合によっては通知なしでアンインストールされることもあります。
特に、Windows 11 ではセキュリティ要件(セキュアブートや TPM など)が強化されているため、古いドライバ・カスタマイズツール・セキュリティソフトが影響を受けやすい傾向があります。
削除されやすい代表的なアプリの傾向(2025年版)
具体的な製品名はバージョンや更新状況によって変動しますが、2025年時点でアップグレード時に整理されやすいのは次のようなカテゴリです。
| カテゴリ | 削除される可能性があるアプリの例 | 主な理由 |
|---|---|---|
| セキュリティ | 古い版のウイルス対策ソフト、古いファイアウォール系ツール | Microsoft Defender との競合、サポート終了版が多い |
| システム最適化 | レジストリクリーナー、古い「高速化ツール」全般 | システムへの干渉が強く、アップグレード失敗の原因になる |
| UIカスタム | スタートメニュー変更ツール、タスクバー改造ツール | スタートメニュー・タスクバーの仕様変更と衝突 |
| 仮想ドライブ | 古い仮想CD/DVDツール、ISOマウントツール | 古いドライバが、新しいカーネルで非互換 |
| ドライバ管理 | 自動ドライバ更新ツール、古いメーカー独自ユーティリティ | Windows Update のドライバ配信と競合 |
共通するキーワードは、「古い」「OSの深いところに触る」「起動時から常駐している」の3つです。こうしたアプリは、アップグレード前に最新版に更新するか、一時的にアンインストールしておくことでトラブルを減らせます。
アップグレード前にやっておきたい 3つ(+1)の対策
ここからは、アップグレード前にやっておくと安心な対策をまとめます。すでにアプリが消えてしまった方も、「次のアップグレード」への備えとしてチェックしてみてください。
① アプリの互換性チェックとアップデート
まずは「今使っているアプリ」が、アップグレード先の Windows バージョンで動作するか確認します。
- 各アプリの公式サイトで「Windows 11 対応」「24H2 対応」などの記載をチェック
- Windows 10 → 11 の場合は、「PC 正常性チェック」や「インストール アシスタント」で互換性を確認
- 古いバージョンを使っている場合は、アップグレード前に最新版へ更新しておく
特に、セキュリティソフトや常駐ツールは「アップグレード前に最新版へ」が鉄則です。
② アプリ一覧とライセンス情報(シリアル)の保管
再インストールが必要になっても困らないよう、以下をメモしておくと安心です。
- よく使うアプリ一覧(メモ帳や Excel などで一覧化)
- インストーラーの保存場所(ダウンロード済みならUSBや外付けSSDへコピー)
- 有料ソフトのライセンスキー・アカウント情報(メモ+クラウド保管)
こうしておくと、「アップグレードしたらアプリ名すら思い出せない…」という事態を防げます。
③ アプリ設定のバックアップ
ブラウザやエディタ、開発ツールなどは、設定やプロファイルをエクスポートできるものが多くなっています。
- ブラウザ:ブックマーク・拡張機能・同期設定(Microsoft アカウント / Google アカウント連携)
- エディタ・IDE:設定同期機能(VS Code の Settings Sync など)
- デザイン・音楽ソフト:プリセットやテンプレートを外部保存
設定ファイル(.ini / .xml / .json など)をバックアップしておけば、再インストール後もすぐ元の環境に近づけられます。
+④ システム全体のバックアップ(イメージ保存)
万が一に備えて、システムイメージのバックアップを外付けドライブに作成しておくと、「アップグレード前の状態丸ごと」に戻せます。
Windows標準の「バックアップと復元(Windows 7)」や、サードパーティ製のバックアップソフトを使って、Cドライブ全体のイメージを保存しておくと安心度が一気に上がります。
Windows 11 の場合は、[設定]→[システム]→[バックアップ]から履歴系のバックアップ設定も合わせて見直しておくと、データ保護の抜け漏れを減らせます。
アップグレード後にアプリが消えたときの復元方法
「もうアップグレードしちゃった…」「気づいたらアプリがなくなっていた」という場合は、順番に次の方法を試してみましょう。
① まずは“普通に”再インストール
一番シンプルなのは、アプリを公式サイトから再ダウンロードしてインストールし直す方法です。
- ブラウザからアプリ名で検索し、開発元の公式サイトを開く
- 最新バージョンをダウンロードしてインストール
- ライセンス認証が必要な場合は、あらかじめ控えておいたキーを入力
一部のアプリは、クラウド同期やアカウント連携に対応しており、再インストール後にログインすると設定や履歴が戻るものもあります。
ただし、ローカルにしか保存していなかった設定・テンプレート・履歴などは消えてしまうこともあるため、今後はクラウド同期やエクスポート機能を積極的に使うのがおすすめです。
② ファイル履歴からデータだけ復元する
アプリ本体は再インストールするとして、作成したデータだけ取り戻したい場合は「ファイル履歴」が役立つことがあります。
- 「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ」→「ファイル履歴」
- 「個人用ファイルの復元」をクリック
- 復元したい日時・フォルダを選び、「復元」を実行
※あらかじめファイル履歴を有効化していないと使えませんが、今後の備えとしては非常に有効なので、この機会に設定しておくのもおすすめです。
③ システムイメージから「アップグレード前」に戻す
アップグレード前にシステムイメージ(バックアップ)を作っていれば、PC全体をその時点の状態に巻き戻すこともできます。
- 「設定」→「システム」→「回復」→「今すぐ再起動」
- トラブルシューティング → 「詳細オプション」→「システム イメージの回復」
- 外付けHDDなどに保存したイメージを選択して復元
※注意:この方法はアプリだけでなく、Windows そのものや設定、データもまとめて「過去の状態」に戻るため、作業前に現在のデータもバックアップしておきましょう。
互換モードで動かす「最後の一押し」テクニック
古いアプリを再インストールしても起動しない・エラーが出る場合、「互換モード」で動くことがあります。
- アプリの .exe ファイル(ショートカットではなく本体)を右クリック →「プロパティ」
- 「互換性」タブを開く
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェック
- 「Windows 7」「Windows 8」など、動作していた頃のバージョンを選択 →「適用」→「OK」
それでもうまく動かない場合は、「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れて試すと改善することもあります。
バックアップの決定版:外付けHDD / SSDで備える
アップグレードや大型更新のトラブルに強くなる一番の近道は、とにかくバックアップを取っておくことです。
ドキュメント・写真・動画・制作データなど、失うと困るデータは、必ず外付けHDDや外付けSSDへコピーしておきましょう。
🛡 バックアップは“何かあってから”では遅いので、アップグレード前のタイミングを「バックアップ習慣を作るきっかけ」にしてしまうのがおすすめです。
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※重要なデータは、定期的に外付けHDD / SSDにコピーしておきましょう。
「消えたアプリ」を取り戻すための意外な手段
① 「Windows.old」フォルダをチェックする
アップグレード直後であれば、Cドライブ直下に Windows.old フォルダが残っていることがあります。
- これはアップグレード前の Windows フォルダ・Program Files・ユーザーデータなどが一時的に保存されたもの
- 消えたアプリのインストーラーや設定ファイルが残っているケースもある
※注意:Windows.old はストレージ容量確保のため、通常は約10日程度で自動削除されます。確認するなら早めが勝負です。
② 「アプリと機能」で痕跡をたどる
完全に削除されていても、「どんなアプリが入っていたか」の痕跡が残っている場合があります。
- [設定] → [アプリ] → [インストールされているアプリ] を開く
- 「並べ替え」を「インストール日」に変更
- アップグレード前後の日付を見て、消えたアプリ名やバージョンをメモ
また、上級者向けですが「Geek Uninstaller」や「Revo Uninstaller」などを使うと、過去にインストールされていたアプリや残骸をチェックしやすくなります。
③ 旧バージョンアーカイブから再入手する
開発が終了したソフトや、公式サイトからダウンロードリンクが消えてしまったソフトは、旧バージョンのアーカイブサイトに残っていることがあります。
ただし、非公式な配布サイトにはマルウェアが混ざるリスクもあります。
必ずウイルス対策ソフトを有効にした状態で利用し、心配な場合は使用を控えましょう。
④ システムの復元ポイントから巻き戻す
アップグレードの直前に「復元ポイント」が自動作成されていれば、その時点のアプリ構成に戻せる可能性があります。
「コントロールパネル」→「システム」→「システムの詳細設定」→「システムの保護」から「システムの復元」を開き、
アップグレード前の日付を選択して実行します。
※こちらも、復元後に新しく追加したアプリや設定は失われる可能性があるため、実行前に重要なデータのバックアップを取っておきましょう。
アップグレードを「少しだけ」遅らせるという予防策
業務で使うPCや、アプリ構成が複雑なPCでは、アップグレードを少しだけ遅らせるのも有効な対策です。
【例】Windows Update側でのコントロール
- [設定] → [Windows Update]
- 「更新の一時停止」で一時的にアップデートを止める
- 「詳細オプション」でアップグレードの配信タイミングを調整
会社や組織ではグループポリシーや Intune などで制御しますが、個人でも「すぐにメジャーアップグレードを適用しない」ことで、人柱報告や不具合情報を見てから判断することができます。
まとめ:アプリが消えても「慌てない」ためのポイント
アップグレード後にアプリが消えるとドキッとしますが、多くの場合は再インストールやバックアップからの復元でリカバリー可能です。
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- Windows は互換性・安全性の観点から、古い・危険なアプリをアップグレード時に削除することがある
- 特にセキュリティソフト、チューニングツール、UIカスタム系は要注意
- アップグレード前にアプリの更新・一覧作成・ライセンス控え・設定バックアップ・システムイメージ作成をしておくと安心
- 消えた場合は、再インストール → Windows.old やファイル履歴 → システムイメージ/復元ポイントの順で検討
- バックアップ用の外付けHDD / SSDを1台用意しておくと、「どんなトラブルでもなんとかなる」安心感が段違い
今後も Windows の仕様や各アプリの対応状況は変わる可能性があるため、アップグレード前には一度最新情報もあわせて確認してみてください。
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