
はじめに
Windows 11 を 25H2 に更新したあと、アイドル時なのに RAM 使用量が普段より2GBほど高い(例:5–6GB → 7–8GB)と感じる方が出ています。
海外のQ&Aでも同様の声があり、Copilotやバックグラウンド機能を切ったら少し下がったという例もあります。
この多くは異常ではなく“仕様と見え方”の問題のようです。一方で、設定やドライバが原因で本当に消費が増えているケースもあり、本記事では「見かけ上の増加」と「実際の増加」を切り分けながら、今すぐできる確認と対処を順番にご案内します。
なぜ増えたように“見える”のか
【Windowsのメモリ運用のキホン】
Windows は、空いているメモリをキャッシュ(スタンバイリスト)として積極的に使い、アプリの起動を速くします。キャッシュは必要になれば自動的に解放されるため、「使用中」に見えてもすぐに枯渇するわけではありません。
タスク マネージャーやリソース モニターでは「使用中」「スタンバイ」などに分かれて表示されますが、スタンバイは再利用可能です。仕組みを知らないと「アイドルで7〜8GBも使っている=異常」と誤解しやすいポイントです。
詳しく分析したいときは、MicrosoftのSysinternals RAMMapを使うと、どの用途に使われているかを視覚的に確認できます。
💡 Sysinternals RAMMapとは?
Microsoft公式のメモリ解析ツールです。現在のRAM使用状況を「プロセス別」「ドライバ別」「用途別」に詳しく可視化できます。
- Use Countsタブ:スタンバイ/非ページプールなど、メモリの割り当て状況を確認
- Processesタブ:どのアプリが多くのRAMを使用しているかを把握
- File Summaryタブ:キャッシュされたファイルやドライバのメモリ使用状況を分析
※ワンポイント
「スタンバイ(Standby)」は“今すぐ使える予備メモリ”です。アプリ起動や再読み込みを速くする前向きな消費です。必要時には空きに戻ります。
“見かけ”ではなく“実際に増えている”可能性もある
次のような場合は、本当にメモリ消費が増えている可能性があります。
- 25H2更新後に常駐プロセスが増えた(ウィジェット、Copilot、バックグラウンドサービス等)
- デバイスドライバの不具合や一部アプリのメモリリーク(使ったメモリを返さない)
- ブラウザ拡張やゲームランチャー、同期クライアントなどの常時稼働
まずは「どのプロセスがどれだけ使っているか」を見える化し、スタンバイ(再利用可)とワーキングセット(実使用)を分けて考えることが大切です。Microsoftの25H2の既知の問題ページにも、月ごとに関連情報が追加されるため、あわせて参照しましょう。
まず行う3つの“見える化”
- タスク マネージャー(Ctrl+Shift+Esc)
- 「パフォーマンス > メモリ」で使用中・利用可能・キャッシュを確認します。
- 「プロセス」タブでメモリ順に並べ、突出しているアプリを特定します。
- リソース モニター(Windows 検索で「リソースモニター」)
- 「メモリ」タブのスタンバイ/空き/コミット済みを確認します。
- RAMMap(無料)
- Use Counts / Processes / File Summary などのタブで、スタンバイが多いだけか、ドライバや非ページプールが膨らんでいるのかを見分けます。
いますぐ効く“7つの実践ワザ”(効果が高い順)
1) 再起動 → 起動直後の基準値を取る
再起動後、何も開いていない状態で10分放置して基準値を計測します。更新直後は最適化やインデックス作成で一時的に高く見えることがあります。
2) スタートアップとバックグラウンドを整理する
設定 → アプリ > スタートアップ を見直し、不要な自動起動をオフにします。ブラウザのバックグラウンド動作や同期クライアントの常時起動も点検しましょう。
3) Copilot/ウィジェット/通知の最適化
使っていない場合は、タスクバーのウィジェットやCopilotの常駐をオフにして挙動を確認します。Q&AではCopilotを止めて改善した例もあります。
4) ドライバ更新(特にグラフィックス・ストレージ・オーディオ)
メモリリークは古いドライバで起きやすいです。デバイス マネージャーやベンダー公式アプリで最新版にします。挙動が悪化した場合は1つ前にロールバックして比較しましょう。
5) Windows Update を最新に維持
25H2の既知の問題はローリングで修正されます。累積更新の適用でメモリやパフォーマンスの不具合が改善することがあります。
6) ブラウザの拡張とタブ運用を見直す
拡張機能は無効で再起動して差分を確認します。タブはスリープ機能を使うとRAM節約に効果的です。
7) RAMMap でスタンバイ・非ページプールを整理
RAMMap の Empty メニューで「Standby List」や「Working Sets」を空にして挙動を比較します。一時的な緩和ですが、「仕様による見かけの消費」か「実消費か」を見極めるのに役立ちます。
技術メモ:メモリ圧縮と“高く見える”理由
Windows 11 では、空きメモリが少なくなる前にメモリ圧縮を行い、ディスクへスワップする前に圧縮してRAM内に留めることで体感の引っかかりを抑えます。結果として、アイドルでも使用量が高めに見えることがあります。これは「遅くしないための前向きな最適化」で、必要に応じて解放・再配分されます。
それでも“本当に多い”と感じるときの深掘りチェック
A. 非ページプール/ドライバ由来の増加を疑う
RAMMap の Nonpaged Pool が異様に大きい場合、ドライバのメモリリークが疑われます。直近で入れた周辺機器ドライバや仮想オーディオ、キャプチャ、VPN系を一度外して比較してください。
B. セーフモードでの比較
「セーフモード(ネットワークなし)」で再起動し、基準のRAM使用量を比較します。常駐アプリやドライバ起因かどうかを切り分けできます。
C. 新規ユーザープロファイルでの比較
別のローカルアカウントを作成し、ログオン直後のアイドル使用量を比較します。拡張・常駐・設定の蓄積による差を見抜けます。
D. ストレージの健全性と検索インデックス
chkdsk /scan
で簡易チェック、検索インデックス再構築(設定 > 検索)も効果があります。更新直後はインデックス作業で一時的にメモリ使用が増えることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. アイドルで7〜8GBは異常ですか?
A. スタンバイ(再利用可)と実使用を分けて見てください。スタンバイが多いだけなら通常の仕様です。RAMMapで用途ごとの内訳を確認すると安心です。
Q2. 数時間使っていると段々増え続けます。リークですか?
A. 再起動で元に戻り、スタンバイ中心なら通常運用です。非ページプールや特定プロセスのワーキングセットが増え続ける場合は、ドライバ/アプリのリークを疑って更新・無効化・アンインストールで切り分けてください。
Q3. 公式に“25H2でメモリが増える不具合”は出ていますか?
A. 公式の「Windows 11 25H2 既知の問題」を随時確認してください。現時点で一般的な“メモリ使用量増”の一律告知は限定的ですが、DRMやインストーラ関連など周辺の既知問題は公開・更新されています。
予防策(次回から“重くならない”ために)
- スタートアップ最適化:月1で見直し、不要な常駐を減らします。
- ドライバ管理:GPU/ストレージ/オーディオを中心に最新安定版へ。問題が出たら一つ前へロールバック。
- 月例更新の直後は様子見:業務PCは小規模で先行適用→全体展開にすると安全です。
- バックアップ習慣:大きな更新前にシステムイメージとファイルの二段構えを習慣化しておきましょう。
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まとめ
25H2後にRAM使用量が上がって見えるのは、キャッシュや圧縮などWindowsの最適化が理由のことが多いです。本当に増えているかは、タスク マネージャー/RAMMapで見える化し、スタンバイと実使用を分けて考えます。
それでも高止まりする場合は、スタートアップ整理・ドライバ更新・累積更新の適用で順に対処しましょう。必要ならセーフモード/新規プロファイル/RAMMapの空ける操作で切り分けてください。
公式の25H2 既知の問題ページも、修正や追加情報の一次情報源として定期的に確認しましょう。
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