最近のWindows 11のアップデート後から、ファイルやフォルダーを開いた際に、上部に以下のようなアイコンが並ぶ「ツールバー」が表示されるようになった方が増えています。
- カット(切り取り)
- コピー
- 貼り付け
- 削除
- 名前の変更 など
このバーは、MicrosoftがWindows 11で導入した「新しいユーザーインターフェース(UI)」の一部で、正式には「コマンドバー(Command Bar)」と呼ばれています。
見た目はシンプルですが、これまでのWindows 10とは操作感が異なるため、「違和感がある」「誤ってクリックしてしまう」「前の画面に戻したい」といった声が多く寄せられています。
なぜこのUI変更が入ったのか?Microsoftの意図と背景
Windows 11では、ユーザーインターフェース(UI)の刷新が大きなテーマになっており、特に操作性の「視覚的な一貫性」と「タッチ操作への最適化」が重視されています。
そのため、これまでのように右クリックで文字メニューを出すのではなく、アイコン化された
「コマンドバー」
が導入されました。これにより、タッチパネル搭載PCやタブレットユーザーが直感的に操作できるようになっています。
一方で、従来のマウス&キーボード操作に慣れたユーザーには不評も多く、「選べるようにしてほしい」という声がMicrosoftコミュニティでも散見されます。
【注意】この表示は通常の設定では消せない
残念ながら、Windowsの「設定」画面には、このコマンドバーを非表示にする項目は用意されていません。
そのため、元に戻したい場合には、少し高度な設定操作(レジストリの編集)や、外部のツールを利用する必要があります。
【対処法1】レジストリを編集してコマンドバーを無効にする方法(中級者向け)
この方法では、Windowsの内部設定である「レジストリ」を使って、コマンドバーを非表示に近い状態にすることができます。
▼手順
- キーボードの「Windowsキー + R」を押して「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 表示されたボックスに regedit と入力し、Enterキーを押します。
- 「ユーザーアカウント制御」の画面が出たら「はい」をクリックして、レジストリエディターを開きます。
- 左側のツリー構造から、以下の場所に移動します:
🔸この「Blocked」キーがない場合は、自分で右クリック→新規作成→「キー」で作成。
- 「Blocked」キーの中で右クリック→新規→「文字列値(String)」を作成
- 名前を以下のように入力:
(名前だけでOK。値のデータは空白のままで構いません)
- 設定後、PCを再起動すると、ファイルエクスプローラーの上部のコマンドバーが表示されなくなります。
▼注意点
- レジストリの操作を間違えると、システムに不具合を引き起こす可能性があります。操作は慎重に行いましょう。
- 万が一のために、事前にシステムの復元ポイントを作成しておくと安心です。
レジストリを変更しても戻ることがある?アップデートによる再有効化に注意
せっかくレジストリでコマンドバーを無効にしても、Windowsの大型アップデート(Feature Update)によって設定がリセットされる場合があります。
これはMicrosoftが「公式に推奨される構成に戻す」仕様の一環として行っているためです。
そのため、以下のような対策を取るのがおすすめです。
- レジストリ設定をバックアップしておく
- アップデート後に再設定する手順をメモしておく
- 必要ならタスクスケジューラで自動適用スクリプトを組む(上級者向け)
などの対策も必要かと思います。
【対処法2】外部ツール「ExplorerPatcher」で旧デザインに戻す(初心者〜中級者向け)
Windows 11のデザインや操作感を、まるごとWindows 10風に戻せる無料ツール「ExplorerPatcher(エクスプローラーパッチャー)」を使う方法もあります。
▼ExplorerPatcherの特徴
- タスクバーやスタートメニュー、ファイルエクスプローラーの見た目をWindows 10風に変更
- コマンドバーの非表示や右クリックメニューのクラシック化も可能
- 無料で利用可能(開発者はGitHub上で公開)
▼利用上の注意点
- 外部のフリーソフトなので、必ず信頼できる公式サイトやGitHubからダウンロードしてください。
- アップデート後に動作しなくなる可能性があるため、慎重な運用が必要です。
【補足】完全に「削除」はできないが「無効化」に近づける
このコマンドバーは、システムに組み込まれた機能の一部であり、完全に削除することはできません。
ただし、今回ご紹介した方法で表示されないようにする、または旧式の操作感に近づけることは可能です。
代替手段として「クラシックなエクスプローラー」を使う人も
Windowsのファイル管理に不満があるユーザーの中には、以下のようなサードパーティ製のファイラーを使用する方もいます。
ツール名 | 特徴 |
---|---|
Total Commander | 高速・高機能・2画面構成。カスタマイズ性が高い |
XYplorer Free | クラシックUIに近く、タブ機能やファイルプレビューも搭載 |
Explorer++ | シンプルながらも軽量でWindowsライクな操作感 |
これらのツールを使えば、Windows 10以前の感覚でファイル操作を行うことができます。
「ツールバーを消すのではなく、そもそも別のファイラーを使う」という選択肢も、ひとつの有効な対策です。
こんな方法も!非表示/復旧方法
- レジストリ編集による非表示
• HKEY_LOCAL_MACHINE\…\Shell Extensions\Blocked に文字列値 {e2bf9676-…} を追加し、エクスプローラーを再起動するとコマンドバーが非表示になります(再起動が必要) 。
• 大型アップデートで再表示される恐れがあるので、復元ポイントを用意するかスクリプト化がおすすめです。 - ExplorerPatcher(外部ツール)
• 旧UI風のエクスプローラーに戻せ、コマンドバーの非表示や右クリックメニューもクラシック化可能です。
• GitHubのIssueによると、「Advanced」設定で“Enable console”をONにし、コマンドバー表示を遅延させるオプションがあるとのことです 。 - shellstyle.dll の書き換え(WinClassic)
• System32 配下の shellstyle.dll 内 を編集し、アイコン列のスペースを負数調整することで実質的に非表示化が可能です 。
• システムDLL編集なのでバックアップや慎重な操作が必要です。 - レジストリ+旧リボン(StackExchange → SuperUser)
• コントロールパネルを開いてAlt+↑を送信するPowerShellスクリプトで、Windows 10時代のリボンUIに切り替える手法もあります。
• Windhawkなどのツールを併用すれば、より軽量に旧UIを維持可能です。
方法 | 初心者向け | 安定性 | 備考 |
---|---|---|---|
レジストリ編集 | 中級 | 中 | アップデートで復活する可能性あり |
ExplorerPatcher | 初〜中級 | 中 | 公式に近いUIに戻せる |
shellstyle.dll 編集 | 上級 | 低 | 非公式、リスク大 |
旧リボン切替スクリプト | 中級 | 中 | リボンUIが使えるが旧UI寄り |
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、ご自身のスキルやPCの使い方に応じて選ぶことが大切です。
初心者の方には、比較的安全に元に戻せる「ExplorerPatcher」のような外部ツールがおすすめです。一方、レジストリ編集やシステムファイルの書き換えは高度な操作を伴い、万一のトラブル時には自己解決が求められるため、あらかじめバックアップや復元ポイントを作成しておくことが必須です。
また、Windowsの大型アップデート後には、コマンドバーが再表示されることがあります。再発を防ぐためには、定期的な確認や自動適用スクリプトの活用も検討するとよいでしょう。
「どうしてもコマンドバーを非表示にしたい」
という方は、安定性と安全性のバランスを見ながら、無理のない範囲で対処してみてください。
まとめ
Windowsの最新アップデート後に追加された「カット・コピー・削除」などのアイコンは「コマンドバー」と呼ばれる新UIです。
通常の設定では消せないため、レジストリの編集や専用ツールの使用が必要です。
操作に自信がない場合は、信頼できる方やITサポートの協力を得ながら進めることをおすすめします。
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