
Windows 11ではデフラグは必要?
昔は「PCが遅くなったら、とりあえずデフラグ」とよく言われていましたが、
Windows 11の環境(SSD主流)では、手動デフラグはほぼ不要です。
- 現在の多くのPCは「SSD」が標準
- SSDは“断片化してもほとんど遅くならない”仕組み
- Windows 10/11は、自動で最適化(TRIM・デフラグ)を実行
そのため、
「とりあえずデフラグしておけば速くなる」は、今のWindows 11では昔の常識
になりつつあります。
ただし、HDDを使っている場合は、デフラグが今でも有効です。
この記事では、
「どんなときに必要で、どんなときは不要か」を、
50代以上の方にもわかるように、昔との違いから丁寧に解説します。
「昔はデフラグが常識だった」時代の話
まずは、50代以上の方にはおなじみの “HDD時代の常識” から。
昔のPC(HDD時代)では…
- データは円盤(プラッタ)に物理的に書き込まれていた
- ファイルを削除・保存・コピーするたびに、データの位置がバラバラになる
- 断片化(フラグメンテーション)が増えると、
→ 目的のデータを読み取るために、「ヘッド」が何度も移動
→ アクセスが遅くなり、体感でも“重い”と感じる
そのため、
- Windows 98/XP/7の頃は
→ デフラグ(断片化の解消)をすると、
→ ファイルの並びが整理されて、明らかに動作が軽くなる
ということがよくありました。
この成功体験があるので、今でも
「PCが遅い → デフラグしてみたら?」
というアドバイスが、50代以上の方を中心によく出てきます。
今のPCは仕組みが違う:SSDとHDDの決定的な違い
しかし、Windows 10/11の時代は、ストレージの主役がHDDからSSDに変わりました。
SSDの特徴
- 中身は「円盤」ではなく、メモリのチップ
- データの場所がバラバラでも、
→ 機械的な「ヘッド移動」は発生しない
→ どこにあってもほぼ同じスピードで読み書きできる - 断片化そのものが、速度低下の主な原因にならない
つまり、SSDは「データがバラバラでもそんなに困らない」仕組みです。
だからSSDに“昔ながらのデフラグ”は要らない
HDD向けの「重たいデフラグ処理」をSSDでやってしまうと、
- 大量の上書き・書き換えが発生
- SSDは書き換え回数に寿命があるため、
→ 無駄な書き込みが増える=寿命を縮める可能性
があります。
そのため、Windows 10/11はSSDに対して“HDDと同じデフラグ”は基本的に行いません。
代わりに行っているのが「TRIM(トリム)」と呼ばれる最適化処理です。
Windows 11は自動で最適化する:デフラグを意識しなくてOK
Windows 11では、「ドライブの最適化」機能が標準で搭載されており、
- SSD → TRIM(不要になった領域をSSD側に通知)
- HDD → 従来どおりのデフラグ
を、自動メンテナンスの一環として実行しています。
自動最適化のポイント
- 通常は週1回程度、自動で最適化
- PCがアイドル状態のとき(放置しているとき)に、バックグラウンドで実行
- ユーザーが意識しなくてもOKな設計
つまり、
Windows 11では「デフラグしなきゃ」と考えなくても、
裏で勝手に“ちょうど良い最適化”をやってくれている
という状態です。
自分のPCがSSDかHDDかを確認する方法
とはいえ、
「うちのPCはSSDなの?HDDなの?」
とわからない方も多いと思います。
方法①:タスクマネージャーから確認
- タスクバーを右クリック →[タスクマネージャー]
- 上部タブで [パフォーマンス] をクリック
- 左側の一覧から [ディスク 0]などの項目 を選択
→ 右上に「SSD」または「HDD(HDD)」と表示される
ここに 「SSD」と出ていれば、原則デフラグは不要、
「HDD」と書かれていれば、デフラグは今でも有効です。
Windows 11で「ドライブの最適化」を開く手順
「デフラグ」という名前は少し変わり、
現在は 「ドライブのデフラグと最適化」 というツールになっています。
手動で開きたい場合
- [スタート]ボタンをクリック
- 検索ボックスに
→ 「デフラグ」または「最適化」と入力 - 検索結果から
→ [ドライブのデフラグと最適化] をクリック
画面の見方
- メディアの種類:SSDかHDDかが表示される
- 現在の状態:断片化のパーセンテージなど
- 最適化のスケジュール:自動実行の設定(通常は「オン」)
SSDの場合は、ここで「最適化」をクリックしても、
内部的には“SSD向けの安全な最適化(TRIM)”だけが行われるようになっており、
昔のような「ガリガリ時間をかけてデフラグ」とは別物です。
SSDで「手動デフラグ」をやりすぎてはいけない理由
ここで少し、SSDに詳しい話も入れておきます。
SSDはHDDと違い、
- データを書き込む「セル」に寿命(書き換え回数の上限)がある
- 書き換え回数を均等にするために、内部でウェアレベリングという処理を行っている
そのため、
- 不必要に大量の書き換えを行う
→ 寿命を早める要因になる
という側面があります。
Windows 11の自動最適化は、このあたりも考慮して設計されています。
逆に言うと、ユーザーが昔の感覚で
「なんか最近重いから、週1でデフラグかけておこう」
とSSDに対して繰り返すのは、今の時代には逆効果になりかねないということです。
HDDを使っている場合は、デフラグが今でも有効
一方で、古いノートPCやデスクトップ、外付けの大容量HDDなど、
まだまだHDDを使っているケースもあります。
HDDにデフラグは今でも意味がある
- 長年使っているHDD
- 大量のファイルのコピー/削除を繰り返しているHDD
- OSはSSDだが、データ用ドライブにHDDを使っている場合
こうしたHDDに対しては、
- Windows 11の自動最適化に任せつつ
- たまに手動でデフラグを実行
することで、体感速度が少し改善することがあります。
※ ただし、HDDだけを対象にすることが大切です。
SSDとHDDが混在している場合は、どのドライブがどちらかを必ず確認しましょう。
PCが遅いときに“本当に見直すべきポイント”
「PCが遅い=デフラグ」という発想は、HDD時代の名残です。
Windows 11のPCが遅いときは、次のようなポイントを優先して見直す方が効果的です。
- スタートアップアプリの整理
→ 不要な常駐ソフトをオフにする - ストレージの空き容量を確保
→ ゴミ箱・一時ファイル・不要アプリを削除 - ウイルス対策・マルウェアチェック
- Windows Updateの適用状況確認
→ 中途半端な更新が残っていないか - ドライバ更新(特にグラフィック・ストレージまわり)
- メモリ不足(RAM)がないか確認
→ タスクマネージャーで常にメモリ使用率が80〜90%なら、増設や買い替え検討
これらを見直してもなお遅い場合に、
- HDDなら → デフラグを検討
- SSDなら → そもそもストレージではなく、CPU/メモリ/常駐アプリがボトルネックであることが多い
と考えたほうが、今のWindows 11の現実に合っています。
よくある質問(Q&A)
Q1. 「デフラグしてはいけない」という意味ですか?
A. 完全にNGというわけではありません。
- SSD:自動最適化に任せておけばOK。わざわざ“デフラグ連打”は不要・非推奨
- HDD:自動+手動デフラグは今でも有効
「とにかく全部のドライブを週1でデフラグ」はもう時代に合っていない、というイメージです。
Q2. 「ドライブの最適化」の画面で、SSDドライブも“最適化”して大丈夫?
A. 大丈夫です。
Windows 11は、ドライブの種類を判別してから処理内容を変えています。
- SSD → TRIMなど、SSD向けの軽い最適化
- HDD → いわゆるデフラグ処理
ユーザー側が意識しなくても、内部で適切に処理が切り替わります。
Q3. 最適化スケジュールは「オン」にしておいたほうがいい?
A. 基本的には、オンのままでOKです。
- SSDの場合 → 適切なタイミングでTRIMが実行される
- HDDの場合 → 定期的なデフラグで断片化を抑えられる
特別な理由(検証環境など)がない限り、スケジュールは有効にしておくのがおすすめです。
まとめ:Windows 11時代の「デフラグの正解」
最後に、要点をもう一度整理します。
- ✅ 今のWindows 11では、手動デフラグは“ほぼ不要”
- ✅ 多くのPCはSSDなので、断片化しても体感速度はあまり変わらない
- ✅ SSDに昔ながらのデフラグを繰り返すのは、寿命を縮める可能性も
- ✅ Windows 11は「ドライブの最適化」として、
→ SSDにはTRIM
→ HDDにはデフラグ
を自動メンテナンスで実行してくれる - ✅ まだHDDを使っている場合は、デフラグが今でも有効
このようにPCのメンテナンスは、昔と今で“正解”が大きく変わっています。
特にストレージがHDDからSSDへ移行したことで、
「デフラグすれば速くなる」という常識は、今ではほとんど当てはまりません。
Windows 11では、必要な最適化はすべて自動で行われます。
そのため、ユーザーは無理に手動デフラグをする必要はありません。
「SSDだから何もしなくていいの?」と不安になるかもしれませんが、
むしろ 自動メンテナンスに任せる方が安全で長持ちします。
今は昔よりもずっと、PC初心者に優しい時代です。
困ったときは落ち着いて、今回の記事を思い出してみてくださいね。
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