学校・会社アカウント → 個人アカウントもOK)

はじめに
「学校や会社のOneDriveにあるOneNoteを、個人のOneDriveへ移したい」。卒業・退職・契約変更の節目で必ず発生するニーズです。ところが、ノートブックのフォルダーをエクスプローラーで移動するだけでは同期が壊れたり、リンクが切れたりします。
本記事では、失敗しない正攻法を3通りと、現場で詰まりやすい落とし穴の回避策をまとめました。PC専門担当がいない学校現場でも再現できるよう、一手ずつ書いていきます。
まずは結論:状況別の最適解(どれを選ぶ?)
シナリオ | 推奨ルート | 強み | 注意点 |
---|---|---|---|
1冊まるごと確実に移したい(PCあり) | A. OneNoteデスクトップで「エクスポート→インポート(.onepkg)」 | 完整度が高く、失敗が少ない | PC必須、容量が大きいと時間がかかる |
アカウント間で手早く移したい(WebでOK) | B. OneNote Webの「移動/コピー(セクション単位)」 | ブラウザーのみで完結 | ノートブック単位の一括は不可、セクションごと |
構成を見直しつつ引っ越し | C. 新先で新規ノートブック作成 → セクションを手動コピー | 整理しながら移行できる | 手作業が増える |
原則:ノートブックを「フォルダーごとドラッグ移動」しない。OneNoteは特殊な構造で同期しており、壊れやすいです。
移行前チェックリスト(超重要)
- バックアップ:OneNote(デスクトップ)でローカルバックアップ、または各セクション/ノートブックをエクスポート
- アカウント準備:旧(学校/会社)・新(個人)の両方にサインインできる状態を用意
- 開いているノートブックを閉じる:移行対象は編集せず静止状態に
- 空き容量:新しいOneDriveに十分な容量があるか
- 共有と権限:学校/会社アカウントが有効な間に作業(失効前に必ず実行)
- リンク・添付の把握:貼り付けた外部ファイル・PDF・音声は同期対象外のことも。必要に応じ添付をエクスポートしておく
手順A:OneNoteデスクトップで「ノートブック丸ごと」移行(.onepkg)
OneNote(Microsoft 365/Office 版のデスクトップアプリ)を使用。最も堅実です。
1) 旧アカウント側でエクスポート
- OneNote(デスクトップ)を起動し、移行したいノートブックを開く。
- [ファイル] → [エクスポート] を開く。
- [現在のエクスポート対象]:ノートブック を選択。
- [形式]:OneNote パッケージ(.onepkg) を選択し、[エクスポート]。
- 保存先はPC内(例:ドキュメント)に。大きい場合は時間がかかります。
2) 新アカウント側にインポート
- 保存した .onepkg をダブルクリック。
- OneNoteが開き、保存先として新しいOneDriveアカウントを選べます。
- もし新アカウントが出ない場合は、[ファイル]→[アカウント]→[アカウントの追加] でサインイン。
- 復元が終わると新しいOneDrive上に同名ノートブックが作成されます。
3) 動作確認と整理
- 開いたノートですべてのセクション/ページがあるか確認。
- 問題なければ、旧ノートブックを[右クリック]→[このノートブックを閉じる]。※削除ではないので安心。
プロTIP:容量が大きいノートは章(セクション)を分割して複数の .onepkg に分けると、時間切れ・失敗を減らせます。
手順B:OneNote Webで「セクションを移動/コピー」
PCにアプリを入れられない、または軽く済ませたい場合。セクション単位での移動です。
1) 両アカウントを用意
- ブラウザーで 旧アカウントのOneDrive/OneNote を開く。
- もう一つのタブ(またはシークレットウィンドウ)で 新アカウントのOneNote を開く。
- 可能なら同一ブラウザー内で両方にサインインし、WebのOneNoteで両方のノートブックが左側に見える状態が理想。
2) セクションを移す
- 旧側のノートブックを開く。
- 左ペインのセクション名を右クリック → [移動/コピー]。
- 新アカウント側の宛先ノートブックを選び、[移動] または [コピー]。
- 大きいセクションは処理に時間。終了までタブを閉じない。
3) 仕上げ
- すべてのセクション移動が終わったら、新側ノートでページが揃っているか確認。
- 旧側を「閉じる」(削除は最終確認後)。
注意:ノートブックごとの一括移行は不可。セクション単位で着実に進めます。
手順C:新しいOneDriveで新規ノートブックを作成 → 手動コピー
構成を見直したいときに便利。作業は増えますが、要らないメモを断捨離できます。
- 新アカウント(OneNote)で、[ノートブックの追加] から新しいノートを作る。
- 旧側ノートを開き、セクションを右クリック → [コピー] で新ノートへ。
- ページ一覧で Ctrl+A → 右クリックコピー も可(Web/デスクトップで挙動が少し違うため、ページ単位の方が確実)。
- 章立てや見出しを整えつつ移す。
- 完了後、旧ノートを閉じる。
Teams/SharePoint配下のノート(クラス ノートブック等)の特殊ケース
学校や会社では、Teamsのクラスノートブックなどが利用されています。これらはSharePoint上に保存されています。
- デスクトップ版で開き、セクション単位でコピーするのが安全です。
- 権限が切れる前に必ず作業してください。
- 直接移動できない場合は、一度個人用ノートにコピーしてから整理すると良いです。
💡補足:クラスノートブックは「先生が作成したテンプレート」や「共同編集ページ」が多いため、単純にエクスポートするだけでは正しく復元できないことがあります。必要なページだけを抜き出して個人ノートに移す方が安全です。特に授業ノートや配布資料は、PDF化して保存しておくと後から参照しやすくなります。
よくあるトラブルと解決策
1) 「この場所のノートブックは同期できません」
- 原因:移動をエクスプローラーでやってしまった/権限・URLが変わった
- 対処:問題ノートを[右クリック→このノートブックを閉じる] → 新側で正しく開き直す。
それでも直らない場合は、Aの.onepkg移行で再作成。
2) 「アクセス権がありません」と表示
- 旧アカウントが権限を失う前に、自分(新アカウント)を**[共有]で招待**しておく。
- 共有できないポリシーなら、.onepkgでの退避を最優先。
3) 「すでにこの名前のノートブックが存在します」
- 新側でノートブック名を一時的にリネームしてから再インポート/移動。
- 旧名を使いたければ、完了後にリネームし直す。
4) ページに貼った大きいファイルが同期しない/遅い
- セクションを分割し、添付はOneDriveファイルへのリンクに切り替えると安定。
- 音声/ビデオは個別にOneDriveへ保存し、ページにはリンクで貼るとトラブル減。
5) サインインが混線する(学校/会社と個人が入り乱れる)
- OneNote/OneDriveの**[ファイル]→[アカウント]** で使わないアカウントを一旦サインアウト。
- Windowsの資格情報マネージャーで古い職場アカウントの資格情報を削除 → OneNote/OneDriveに正しい順番でサインイン。
6) モバイルだけで完結できますか?
- 推奨しません。エクスポート/セクション移動のUIが制限されます。PCでの作業が安全。
学校・法人アカウントが失効する前にやること(最重要)
- .onepkgで全ノートブックを退避(最低限の保険)。
- 個人OneDrive側にインポートして実体を作成(.onepkgのままでは保険止まり)。
- クラスノートブックは必要セクションを個人ノートへコピー。
- 完了後、旧ノートを閉じる(削除は最終確認の後)。
移行後の仕上げ(整理ポイント)
- ノート名・セクション名を見直し、検索しやすい命名に。
- 貼り付けリンク(旧OneDrive直リンク)は新URLに差し替え。
- よく使うノートは[固定表示]にして開きやすく。
- OneDriveデスクトップアプリは個人アカウントを既定に設定しておくと迷子防止。
補足Tips(現場で効く小ワザ集)
- 並行サインイン:ブラウザーのプロフィール(人アイコン)を2つ使うと、旧・新アカウントを同時に開けて便利。
- 大容量の避難:巨大ノートは学習用/資料用/議事録用などにセクション分割→移動を分けると成功率が上がる。
- 監査・証跡:重要ノートはPDFにも書き出して保存。レイアウト崩れのないスナップショットとして残せる。
- 共同編集の再設定:移行後は共有メンバーが外れていることが多い。必要な相手を新側で再招待。
- 古い環境の後始末:OneNoteで旧ノートを閉じる→OneDrive(旧)をリンク解除→PC再起動、の順でトラブルを減らせます。
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OneNoteを快適に使うなら最新Office環境を
OneNoteはMicrosoft 365に含まれる代表的アプリです。
WordやExcelも常に最新版を利用できるため、学習・ビジネスの効率化に役立ちます。
まとめ
OneNoteを別のOneDriveへ移行するには、以下の3つの方法があります。
- デスクトップ版でエクスポート/インポート(確実でおすすめ)
- Web版でセクション単位に移動/コピー(手軽)
- 新しいノートに手動コピー(整理しながら移行できる)
重要なのは、卒業・退職などで旧アカウントが無効になる前に作業することです。万が一に備えて必ずバックアップを取り、余裕をもって移行を進めましょう。
今回紹介した方法を押さえておけば、突然アカウントが失効しても大切なノートを失わずに済みます。
OneNoteは日々の学習・業務の記録を支える大切なツールです。ぜひこの記事を参考に、安全かつ計画的に引っ越しを進めてください。
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