
はじめに
「仕事中にバックアップが走ってPCが重い…」
「無料で、放っておいても毎日コピーしてほしい」
そんな悩みをWindows標準のRobocopy+タスク スケジューラで解決します!
この記事はPCが苦手な方でも、スクショなしで迷わないように手順をひとつずつ言葉で説明します。完成すると、夜中の決まった時刻だけ差分バックアップ(更新・追加分だけコピー、元データは消さない)が自動で回るようになります。
導入後のイメージ
- 夜2:00に自動で開始
- 前回から変わったファイルだけを外付けHDDやNASへコピー
- 作業中は動かない=日中が軽い
- ログ(記録)も残して、失敗に気づける
事前に決める3つのこと
- コピー元フォルダー(例):
C:\Users\ユーザー名\Documents - コピー先フォルダー(例):
E:\Backup\Documents(外付けHDDでもNASでもOK。NASは\\NAS名\share\Backup\DocumentsのようにUNCパス推奨) - 実行時刻:夜2:00(お好みでOK。深夜帯を推奨)
※補足:NASに保存する場合は、できればPCとNASの両方を同じローカルネットワークに。無線より有線LANの方が安定します。
バックアップの考え方
- 差分(安全重視)…更新・新規だけをコピー。コピー先で削除はしない
- ミラー(上級者向け)…コピー元と同じ状態に合わせる。コピー先で不要になったファイルは削除(誤消しのリスクあり)
この記事はまず差分(安全)で組み立てます。慣れたら最後に紹介する「ミラー」へアップグレードも可能です。
Step 1:バックアップ用フォルダーを作る
- 例:
E:\Backup\DocumentsとE:\Backup\logsを作成
外付けHDDはNTFS推奨。エクスプローラーで右クリック →「プロパティ」→ファイルシステムを確認。
Step 2:バッチファイルを作る(ダブルクリックで動く本体)
- メモ帳を開く
- 下の内容をそのまま貼り付け
C:\BackupScripts\を作って、NightDiffBackup.batという名前で保存
@echo off
:: ==== 設定(自分の環境に合わせて書き換え)====
set SRC=”C:\Users\ユーザー名\Documents”
set DST=”E:\Backup\Documents”
set LOGDIR=”E:\Backup\logs”
if not exist %LOGDIR% mkdir %LOGDIR%
:: ==== 実行オプション ====
:: /E : 空フォルダー含めサブフォルダーをコピー
:: /XO : 先方にある同名で新しいファイルを残し、古い側をスキップ(差分の肝)
:: /FFT: タイムスタンプの誤差(2秒)を吸収(NAS/FAT互換)
:: /COPY:DAT : データ・属性・タイムスタンプをコピー
:: /DCOPY:T : フォルダーのタイムスタンプも維持
:: /R:3 /W:5 : 失敗時3回リトライ、待機5秒
:: /Z : 一時停止に強い再開モード
:: /NP : 進捗%をログに出さない(ログが読みやすい)
:: /TEE: 画面とログの両方に出力
:: /LOG+ : ログ追記(毎回上書きしない)
robocopy %SRC% %DST% /E /XO /FFT /COPY:DAT /DCOPY:T /R:3 /W:5 /Z /NP /TEE /LOG+:%LOGDIR%\robocopy.log
:: 終了コードの簡易判定(0,1,2は基本成功扱い)
set RC=%ERRORLEVEL%
if %RC% LSS 3 (
echo Backup OK. ExitCode=%RC%
exit /b 0) else (
echo Backup ERROR. ExitCode=%RC%
exit /b %RC%)
これで何が起きる?
- 新しく作った/更新されたファイルだけがコピーされます。
- コピー先の古いファイルは消しません(安全)。
- ログは
E:\Backup\logs\robocopy.logに追記され、履歴を辿れます。
まずはこのバッチをダブルクリックで1回だけ試す → エラーが出ないか、ログが増えたかを確認。
Step 3:タスク スケジューラで「夜間だけ」自動化
- Windowsキーを押して検索欄に「タスク スケジューラ」と入力→起動
- 右側の「基本タスクの作成」をクリック
- 名前:
Nightly Diff Backup、説明:わかりやすく「Documentsの差分バックアップ」など - トリガー:
毎日→ 開始時刻を 02:00 に設定 - 操作:
プログラムの開始→ プログラム/スクリプトにNightDiffBackup.batのフルパスを指定(例:C:\BackupScripts\NightDiffBackup.bat) - 完了後、作ったタスクをダブルクリックして詳細を開く
- 「全般」タブ →「最上位の特権で実行する」にチェック(アクセス拒否防止)
- 「トリガー」タブ → 先ほどのトリガーを編集し、必要なら「タスクを遅延」で5分遅らせるなど微調整
- 「条件」タブ
- 「AC電源使用時のみ」にチェック(ノートPCの電池節約)
- 「スリープ解除して実行」にチェック(PCが寝ていても起きて動く)
- 「設定」タブ
- 「タスクが既に実行中の場合:新しいインスタンスを開始しない」を推奨
- 「停止させる」時間を2〜3時間に設定(終わらない暴走を防ぐ)
これで夜2:00にだけタスクが起動します。昼間は動きません。
動いたか確認するコツ(翌朝チェック)
E:\Backup\logs\robocopy.logの末尾を見て、当日分の実行記録が増えているか。- 同じファイルを軽く編集して保存→翌朝、更新分だけコピーされているか。
- タスク スケジューラの「履歴」タブ(なければ「操作」→「すべてのタスク履歴の有効化」)で成功アイコンを確認。
よくあるつまずきと直し方
- アクセス拒否(ERROR 5)
→ タスクの「全般」で最上位の特権にチェック。コピー先の権限(NASなら共有権限+NTFS権限)も要確認。 - 時刻のズレで無駄コピー
→/FFTを付けておくとNASでも時刻誤差に強くなります。 - ネットワークが切れやすい
→/Z(再開モード)を付ける。可能なら有線LANに。 - ログが肥大化
→/LOG+を/LOGに変えると毎回上書き。月替わりでバッチを分けるのも手。 - NASの認証が通らない
→ 事前にエクスプローラーでNAS共有にアクセスして資格情報を保存しておくか、コマンドでcmdkey /add:NAS名またはIP /user:NASユーザー /pass:パスワード
さらに安心:除外指定とサイズ制限(任意)
大容量や不要ファイルを避けると完走率UP&時間短縮。
… /XF *.tmp *.bak *.~* /XD "C:\Users\ユーザー名\Documents\Temp" /MAX:524288000/XF:拡張子でファイル除外/XD:フォルダー除外/MAX::サイズ上限(例は500MB)。動画などは別ルートでバックアップがおすすめ
復元の考え方(超シンプル)
誤って消してしまった・古い版に戻したい——そんな時は、コピー先(E:\Backup\Documents)から元の場所へ戻すだけです。差分運用ならコピー先に昔の版が残っていることが多く、リスクが小さめ。重要フォルダーは別ディスクに二重化しておくとさらに安心です。
上級者向け:ミラーリング(削除も反映)
「差分だとゴミが溜まる。コピー先も常に同じ状態でいい」という場合だけ、下の1行を採用します。
robocopy %SRC% %DST% /MIR /COPY:DAT /DCOPY:T /R:3 /W:5 /Z /NP /TEE /LOG+:%LOGDIR%\robocopy.log/MIRはコピー先の削除も行い、元と完全一致を目指します。- 誤設定だと大切なファイルを消してしまう恐れがあるので、まずは差分で運用 → 慣れてからミラーへが鉄則。
夜間だけ動かす工夫(細かな制御)
- 「条件」タブで「アイドル時のみ」にチェック→人が触っていない時だけ動く
- 夜間メンテの影響を受ける場合は、開始時刻をずらすか「トリガー→詳細設定→遅延」で15〜30分伸ばす
- ノートPCは「スリープ解除して実行」にチェックし、電源オプションで夜間はスリープに入らない設定も検討
トラブル検知(簡易)
バッチの最後に「失敗コード≥3で終了」するようにしてあるため、将来メール通知を付けたい方はタスクの「操作」を2つにして、
- バッチ実行
- 直後に PowerShell で
LastTaskResultを見て失敗時だけ通知(上級者向け)
…と広げていけます。まずはログを見る習慣から始めるのが無理がありません。
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まとめ(ここまでの要点)
- Robocopy+タスク スケジューラだけで、夜間の差分バックアップは無料&自動で実現できます。
- まずは差分モード(/E /XO)で安全運用 → 慣れてから/MIRを検討。
- ログを残す・夜間に限定・AC電源時のみが安定運用のコツ。
- 復元はコピー先から戻すだけ。重要データは二重化で守りを固める。
夜間のあいだに自動でバックアップが終わってくれる環境が整えば、作業中の負担も減り、もしものトラブルにも落ち着いて対応できるようになります。Robocopyとタスクスケジューラだけでここまで仕組み化できるのは、Windowsならではの大きな強みです。
最初に一度だけ設定すれば、あとは毎晩、静かに・確実にデータを守ってくれます。大切なファイルを失わないためにも、今のうちに「自動で備える仕組み」を整えておきましょう。
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