【必見】ごみ箱まで同期!?SharePoint × OneDriveの想定外トラブルの対処法

SharePoint や OneDrive を利用している企業や団体にとって、クラウド上のファイル共有は今や当たり前の時代です。しかしその便利さの裏側には、想定外の挙動が起こるリスクも潜んでいます。

今回は、ある環境で発生した

「削除したはずのファイルが、同期した他の全ユーザーのローカルごみ箱にも表示される」

という異常な現象についてご紹介します。

起きたこと:削除が全ユーザーに反映?

ある日、SharePointのドキュメントライブラリ内のファイルが削除され始めました。すると

  • 削除されたファイルが、SharePoint Online のごみ箱に入った
  • 同時に、OneDrive で同期していたすべてのユーザーのPCのローカルごみ箱にも、同じ削除ファイルが表示された
  • あたかも、各ユーザーがそのファイルを自分で削除したかのように見える状態

というように、一部のユーザーによる削除が、全体に波及してしまったのです。

本来こうあるべきだった仕様

通常であれば・・

  • 誰かが SharePoint 上でファイルを削除 → SharePoint ごみ箱に入る
  • ローカルごみ箱(WindowsのRecycling Bin)には反映されない
  • 他のユーザーの環境には影響しない

しかし今回は、ごみ箱の中身までもが共有されたような挙動になっていました。

原因の可能性:OneDrive 同期の落とし穴

このようなトラブルの背景には、OneDriveによるSharePointドキュメントライブラリの同期が関係していると考えられます。

  • SharePoint内のフォルダをユーザーがOneDriveで「同期」している場合、ファイルはローカルPC上にもダウンロードされる
  • ユーザーがローカルでファイルを削除すると、クラウド上にもその削除が反映される
  • 同期している他のユーザーの端末でも、削除されたことが伝わり、ローカルのごみ箱にその削除ファイルが現れる

これが、まさに「見たこともない不思議なごみ箱共有」の原因と考えられます。

試した対処法:PowerShell復元がうまくいかない?

このようなトラブルに直面した現場では、以下のような復旧策が試みられました。

PnP PowerShellでの復元コマンド(例)

Restore-PnPRecycleBinItem -Identity

しかし、何らかの理由でこれが正常に動作しなかった、または該当アイテムがPowerShellから見えなかった、という報告がありました。

その結果、ファイルの復元には手動での作業が必要になり、時間も手間もかかってしまったようです。

🧯 対処法と予防策

削除されたファイルがすべてのユーザーのごみ箱に表示されるトラブルをイメージした図。中央にエラーアイコン付きのファイルとモニター、その下に3つのごみ箱アイコンが並び、黄色背景に濃い青の文字で「削除が全ユーザーのごみ箱に反映されるトラブル事例」と書かれている。

■ 今回のような事態への基本的な対処手順

  1. SharePoint のごみ箱(第一段階・第二段階)を確認
    • サイトの右上「設定」→「サイトコンテンツ」→「ごみ箱」
    • 第二段階(管理者のみアクセス可能)も確認すること
  2. 同期を一時停止する
    • ユーザー全体のOneDrive同期を一時的に切り、クラウドとローカルの接続を切る
  3. Microsoftサポートに問い合わせる
    • 想定外の同期挙動であれば、公式サポートでの技術調査が必要

■ 今後の予防策

  • 重要フォルダを「閲覧専用」にしておく
  • 全員が同期する必要がないフォルダは、同期設定を制限
  • 定期的なバックアップをローカルで保持

教訓:クラウド同期は「万能」ではない

OneDriveやSharePointの同期機能は便利ですが、「誰が何を操作しているか」が全員に影響する設計であることを理解しておく必要があります。

とくに業務で大量のユーザーがアクセスするドキュメントライブラリでは、誤操作1つが全体に影響を及ぼす可能性があるのです。

このトラブルは「この記事だけで確実に直る」とは言い切れない

今回紹介した事例と対処法は、あくまで現象の解明と予防策のヒントであり、すべての環境で完全に復旧できるとは限りません。

なぜなら、このトラブルは以下のように複数の要素が関係している可能性があるからです。

  • SharePointのごみ箱やバージョン履歴の設定
  • OneDriveの同期状態(誰がどこで削除したか)
  • ユーザー権限やPC側の挙動
  • Microsoft 365 テナント設定の一部不具合 など

そのため、復元には複数の手段を段階的に試す必要があるのです。

<初心者向け補足>PowerShellってなに?どう使う?

記事内でも紹介した「PowerShell(パワーシェル)」は、Windowsで動作するコマンドラインの自動操作ツールです。Microsoft製品ととても相性がよく、SharePointやOneDriveの操作も可能です。

例:SharePointごみ箱から削除ファイルを復元する

1. SharePointに接続(最初に一度だけ認証が必要)

Connect-PnPOnline -Url “https://xxxxx.sharepoint.com/sites/your-site” -Interactive

2. ごみ箱の中を表示する

Get-PnPRecycleBinItem

3. 特定のファイルを復元する

Restore-PnPRecycleBinItem -Identity

* <ID>の部分は、上の「表示したリスト」の中から対象ファイルのIDを確認して差し替えます。

⚠️ これを使うには「PnP PowerShell(SharePoint専用の拡張モジュール)」のインストールが必要です。初心者にはやや敷居が高いため、IT担当者や管理者に依頼するのが安全です。

PowerShellが難しい場合はどうする?

「コマンド操作はちょっと不安…」という方は、以下の手動操作でも対処可能な場合があります:

【1】 SharePoint サイトから直接「ごみ箱」を開く

  1. サイトの右上の歯車マーク(⚙)→「サイトのコンテンツ」
  2. 左側メニューの「ごみ箱」をクリック
  3. 削除されたファイルを選んで「復元」

※それでも見つからない場合、「第二段階のごみ箱」に残っている可能性があります(これは管理者しか見られません)。

どうしても復旧できないときは?

  • Microsoft 365 の「管理センター」からサポートリクエストを送信しましょう
  • 「誤削除」「同期の異常」「PnP PowerShellが機能しない」などを明記すると対応が早まります

補足表(初心者向け)

対処法難易度備考
SharePointごみ箱から手動復元かんたん一般ユーザーでも可能
PowerShell(PnP)を使った復元むずかしい管理者・IT部門向け
OneDriveの同期一時停止ふつう各ユーザーに案内が必要
Microsoft公式サポート連絡ふつう時間はかかるが確実性あり

このように、初心者の方でもできる範囲からスタートして、どうしても復旧できない場合には、管理者やサポートにバトンを渡すのが現実的な対策です。

まとめ

項目内容
トラブルSharePointで削除されたファイルが、全ユーザーのごみ箱に反映された
原因の可能性OneDrive同期が全ユーザーで有効になっていたこと
対処法ごみ箱からの復元、同期一時停止、PowerShellの活用、Microsoftサポート相談
教訓クラウド同期の「共有」は便利さの裏にリスクも伴う

もし同様の現象に遭遇した場合は、「同期の状態」と「ごみ箱の中身の共有範囲」に注目してみてください。

(完全解決ではなくて、すみません💦)

また、解決法が分かり次第、こちらで追記させていただきます!

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