5月に入ってから、Windowsの累積更新プログラム(Cumulative Update)を適用したあとに不具合が起きるPCが増えてきました。特に業務用PCや古めのモデル、BIOSやドライバの更新が止まっているPCでトラブルが目立ちます。
本記事では、不具合が出やすいPCの特徴と週明けのトラブルを避けるための予防策を、詳しく、わかりやすく解説します。
不具合が出やすいPCの共通点
TPMが無効になっている、または非搭載
TPM(Trusted Platform Module)はWindows 11で必須となっているセキュリティ機能です。このTPMがWindows 10でもアップデート時に影響を受けるケースが出てきています。
✔️TPMが無効だったり、搭載されていないPCでは、一部のセキュリティ関連更新が正常に適用されず、失敗や再起動ループにつながる可能性があります。
BIOSが古い(2022年以前のモデル)
BIOSのバージョンが古いままのPCでは、Windowsの最新更新に対応しきれず、起動時にフリーズしたり、特定の機能が使えなくなる事案も出てきているようです。特にASUSやLenovo、HPなど一部のメーカー製PCでは、BIOSを最新版に更新することで改善したという報告も出ています。
Intel Smart Sound Technology(SST)搭載モデル
SSTが搭載されている一部のIntel第6〜10世代のPCでは、ドライバの互換性が問題になることがあります。これにより、アップデートが途中で止まったり、音声関連の不具合(音が出ない、デバイスマネージャーにエラーが出る)などが発生する可能性があります。
Hyper-Vや仮想化設定が有効だが未使用
仮想マシン関連の設定(Hyper-V、仮想化ベースのセキュリティなど)がONになっているPCでは、更新処理中に仮想ドライバとの競合が起きることがあります。特に、実際に仮想環境を使用していない場合には、設定を見直すことでトラブルを未然に防げることもあります。
実際に報告されているエラーや症状
5月の更新適用後に、以下のようなエラーが報告されています。
- 「0x800f081f」「0x80070005」などのインストールエラー
- 更新適用後の黒画面、またはログイン画面が出ない
- インターネット接続が切断される(Wi-Fi/有線どちらでも)
- ブルースクリーン(BSOD)が頻発
- 繰り返し再起動が続き、ログインできない状態
特に、Windows 10 Pro/Windows 11 Home 22H2/23H2のユーザーからの報告が多く見られています。
予防のために今すぐできること
更新の一時停止
不安がある場合、まずはWindows Updateを最大35日間停止するのが安全です。設定 → Windows Update → 「更新の一時停止」から簡単に行えます。
TPMとSecure Bootの状態を確認する
TPMが有効になっているかは、「tpm.msc」と検索することで確認できます。有効でない場合や未搭載の場合、BIOS設定での調整が必要になることがあります。Secure Bootも、互換性トラブルの原因となるため、更新前は一時的にオフにする方法もあります。
【1】TPMを有効にする方法|Windows 11・10対応
TPM(Trusted Platform Module)は、Windowsのセキュリティを強化するための重要な機能です。とくにWindows 11では、TPM 2.0の有効化が必須条件となっています。
Windows 10でも、TPMが無効だと一部の更新に失敗する原因になることがあります。
TPMの状態確認方法(共通)
- 「スタート」ボタン横の検索ボックスに「tpm.msc」と入力し、Enter。
- 「TPMの管理」画面が開きます。
- 「TPMは使用可能です」と表示されていれば有効です。
- 「互換性のあるTPMが見つかりません」などと表示された場合、無効化されている可能性があります。
TPMを有効にする手順(BIOSでの設定)
- PCを再起動し、メーカーのロゴが表示されたら「F2」「F10」「Delete」などのキーを連打してBIOS(UEFI)に入ります。
- 「Security」または「Advanced」タブに移動します。
- 「TPM」「PTT」「fTPM」などの項目を探します(メーカーにより表記が異なります)。
- 「Enable(有効)」に変更し、保存して再起動。
※設定変更後も「tpm.msc」で確認して、状態が変わっているかをチェックしてください。
【2】Secure Bootを一時的に無効にする方法|インストール・互換性トラブル回避
Secure Boot(セキュアブート)は、PCを安全に起動させるためのセキュリティ機能ですが、特定のドライバやアップデートと競合することがあります。
トラブル回避のため、一時的に無効化することが推奨される場面もあります。
Secure Bootの無効化手順(BIOS設定)
- PCを再起動し、BIOS(UEFI)に入ります。
- 「Boot」タブや「Security」内にある「Secure Boot」設定を探します。
- 「Enabled」になっていれば「Disabled」に変更します。
- 変更を保存し、再起動します。
※BIOSの種類によっては、まず「Secure Boot Mode」を「Custom」に変更しないと設定を変えられない場合もあります。
【注意点】
- Secure Bootを無効にすると、一部のセキュリティチェックが働かなくなります。
- Windowsアップデート後は再び有効化しておくことをおすすめします。
【3】Windows Updateを一時停止する方法(画像なし・簡易)
累積更新が不安な場合、Windows Updateを一時停止して様子を見ることができます。最大35日まで停止可能です。
手順(Windows 10 / 11 共通)
- 「スタート」ボタンをクリックし、設定(歯車マーク)を開きます。
- 「Windows Update」を選択。
- 「1週間更新を一時停止」ボタンをクリック。
- 必要に応じて、もう一度クリックして停止期間を延ばします。
※手動で再開したいときは、同じ画面で「更新を再開する」をクリックします。
BIOSのアップデート
メーカーの公式サイトからBIOSの更新プログラムが提供されていることがあります。更新方法は機種によって異なるため、「PC名+BIOSアップデート方法」で検索するのがおすすめです。ASUSやHPでは、Windows上から実行できる専用ソフトも用意されています。
ドライバの更新(特にオーディオ・ネットワーク)
Intel SST関連やRealtek、Qualcommのネットワークドライバなどは、Windows標準のまま使っていると不具合が出やすい傾向があります。必ず、メーカー公式サイトから最新のドライバを入手するようにしましょう。
不具合が出たときのための備えも忘れずに
更新を適用する前に、必ず次の準備をしておくことをおすすめします。
- システムの復元ポイントを作成しておく
- 重要なファイルをUSBやクラウドにバックアップしておく
- TPM・Secure Bootの変更手順をメモしておく
- 過去に公開したトラブル対策記事(リンク)をブックマーク
【2025年6月追記】6月も不具合の報告が継続中
この記事は2025年5月の累積更新プログラムに関する内容ですが、6月上旬現在も同様の不具合が一部の環境で継続して報告されています。
特に、TPM未搭載やBIOSが古いPC、仮想化設定が有効になっているPCなどでは、Windows Updateの適用時に再起動ループやインストール失敗といったトラブルが起きる可能性があります。
この記事で紹介している予防策や確認手順は、6月以降も引き続き有効です。アップデートの前に、今一度ご確認ください。
まとめ|週明けのトラブルを防ぐために今できること
今回のような累積更新では、「アップデート適用後に初めて症状が出る」ことが多く、しかも週明けに一斉に起動する企業・学校のPCでトラブルが一気に表面化します。
今のうちに確認・対策をしておけば、週明けに慌てることもありません。
特に、「古いPC」「未更新のドライバ」「BIOSが止まっているモデル」をお使いの方は、慎重な対応をおすすめします。
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