Microsoft Silverlight はもう必要ありません
〜残っていないかを確認し、安全に削除し、現行技術へ乗り換えます〜

Silverlight は 2021 年 10 月で公式サポートが終了しました。今も PC に残っていると、セキュリティ面で不利になり、ブラウザでも正しく動作しません。この記事では、いま Silverlight が話題に上る理由、残存の確認方法、安全な削除手順、現行の代替技術、そして企業・団体での移行チェックリストまでを、やさしく丁寧に解説します。
1. Silverlight とは何?
Silverlight は、2007 年前後に広まったブラウザ上でリッチな UI (ユーザーインターフェース)を実現するためのプラグイン技術でした。動画配信プレイヤーや業務システムのクライアント画面などで利用され、当時は Flash と並ぶ選択肢でした。
しかし、HTML5・JavaScript・CSS の標準化が進み、ブラウザ各社がプラグイン依存を段階的に廃止したことで、Silverlight の役割は終わりました。
2. なぜ今も検索されるのか?
- 古い企業システムや学内ポータルで“名前だけ”が残っている場合があるため、対処を検索するため
- PC の「アプリ一覧」や「プログラムと機能」にエントリが残っており、消して良いのか不安になる人がいる
- Edge の「IE モード」をきっかけに、レガシー技術の整理の一環として Silverlight に再び注目されている
しかしSilverlightは、個人利用の PC ではアンインストールして問題ありません。(組織内で利用痕跡がある場合は、後述の移行チェックを実施します。)
3. いま PC に Silverlight が残っているかを確認する方法
3-1. もっとも簡単な確認(アプリ一覧)
- 設定 → アプリ → インストールされているアプリ(Windows 11)を開きます。
- 検索欄に “silverlight” と入力して、表示されるかを確認します。
- 表示された場合は、詳細から発行元が Microsoft であることを確認します。
3-2. 従来画面で確認(プログラムと機能)
- コントロール パネル → プログラムと機能を開きます。
- 一覧から Microsoft Silverlight を探します。
- 表示される場合は、アンインストールボタンが有効かを確認します。
3-3. スクリプトで一括確認(上級)
- 管理者 PowerShell で以下のコマンドを実行します。
Get-Package *silverlight* -Provider Programs
何らかの結果が返る場合は、残存が疑われます。
4. 安全に削除刷る方法(個人 PC 向け)
- アプリ一覧またはプログラムと機能から Microsoft Silverlight を選び、アンインストールを実行します。
- 削除後に再起動を行い、スタートメニュー検索や上記 PowerShell で再確認します。
- ブラウザ側にアドオンが残っていないかを確認します。現在の主要ブラウザ(Edge、Chrome、Firefox)は NPAPI を廃しており、残骸が動くことはありませんが、表示だけ残るケースはあります。
- 業務アプリで Silverlight を要求された場合は、個人判断で再導入しないことが重要です。組織の管理者に連絡し、後述の移行手順に沿って対処を進めていただきます。
メモ:インストーラーの残骸やキャッシュが気になる場合は、設定 → システム → 記憶域 → 一時ファイルのクリーンアップを実行すると、関連する一時ファイルも整理できます。
5. 代替は何を使えば良いか?
用途ごとに標準技術またはモダンなフレームワークへの移行を検討します。
- 動画配信・プレーヤー:HTML5 の
<video>
+ Media Source Extensions、HLS/DASH、Encrypted Media Extensions(DRM)など - 業務 UI(ブラウザ):React / Vue / Angular と TypeScript を組み合わせた SPA + REST/GraphQL へ移行します。
- C# を活かしたい:Blazor WebAssembly(.NET でフロントエンド)、または.NET MAUI / WPF(デスクトップアプリ)へ移行します。
- “ブラウザで動くデスクトップ風 UI”を維持したい:WebAssembly(WASM) ベースの UI フレームワークを検討します。
ポイント:Silverlight の XAML 資産は、そのまま流用できる範囲が限られます。画面設計と API 設計を分離し、データ契約(DTO/スキーマ)を先に固めると乗り換えが進みやすくなります。
6. 企業・団体向け:移行チェックリスト
IE モードで“動いてしまう”からといって、Silverlight を延命し続けるのはおすすめしません。 組織内での棚卸しと移行判断をする場合は、次の順で進めてください。
□ 対象システムの棚卸し:URL、利用部門、利用頻度、運用担当、代替可否を一覧化します。
□ 機能分解:画面単位で“入力フォーム/帳票/動画/ドラッグ&ドロップ”など機能を分け、現行 HTML5 で代替できるかを判定します。
□ データ連携の洗い出し:サーバ API、認証方式、ファイル入出力、印刷要件を確認します。
□ 段階移行計画:
フェーズ 1:リードオンリー機能から HTML5 へ先行移植します。
フェーズ 2:入力・検証を SPA 化し、並行稼働で品質を検証します。
フェーズ 3:帳票・印刷は PDF/HTML5 印刷へ移行し、サーバ側で版下に寄せます。
□ セキュリティと運用:IE モードのアクセス制御(サイト一覧)、最小権限、端末分離、ログ取得を定義します。
□ 利用者教育:新画面の使い方、旧画面との違い、切替日程を事前周知します。
※目安:“参照だけ”の画面は 1〜2 スプリントで移せることが多いため、効果の出やすい箇所から着手します。新旧の“同時提供”期間を設けると現場の不安が減ります。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. どうしても古い社内ツールが必要です。個人 PC に残して使っても良いですか。
A. 推奨しません。個人 PC にレガシー実行環境を維持することはリスクが高いため、組織の責任で隔離端末や仮想環境を用意していただくことをおすすめします。
Q2. Edge の IE モードなら Silverlight サイトを開けますか。
A. 技術的に表示できるケースがありますが、サポート外で将来性がありません。暫定措置に留め、速やかな移行計画を立てることが重要です。
Q3. 削除したらアプリが動かなくなりました。元に戻せますか。
A. 基本的には戻さない前提で計画してください。どうしても必要であれば、業務管理者に相談して隔離環境での再現を検討してください。
Q4. 代替の学習コストが不安です。
A. HTML5 と主要フレームワークは情報資産が豊富です。小規模画面から先に移行し、並行運用で学習コストを平準化すると無理なく移行できます。
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8. まとめ(チェックリスト)
□ 個人 PC:Silverlight をアンインストールし、再起動後に残存確認を行いました。
□ ブラウザ:プラグイン依存は廃止されており、現行ブラウザでの動作は期待できないことを理解しました。
□ 代替:用途に合わせて HTML5 / SPA / WASM / .NET など現行技術へ移行する方針を決めました。
□ 組織:棚卸し → 機能分解 → 段階移行計画を立て、IE モードはあくまで暫定としました。
Silverlight の役割はすでに終わりましたが、技術の流れを知ることで「なぜ今のWebが安全で快適になったのか」を理解できます。
これを機に、お使いの環境を整理しながら、より軽く安全なパソコン環境へ整えていきましょう。