
そのファイル、本当に「完全に消えた」わけではないかも
「大事なファイルを間違えて消してしまった…」
「Shift+Deleteでゴミ箱にも残っていない…」
「USBメモリの中身を全部消してしまった…」
そんなとき、頭が真っ白になりますよね。
結論からいうと、消してしまったファイルでも、状況によっては復元できる可能性があります。
ただし、復元できるかどうかは
- 消してからどれくらいPCを使ってしまったか
- どの場所(ローカル/USB/クラウド)に保存していたか
- バックアップや履歴の機能を有効にしていたか
によって大きく変わります。
この記事では、「まず何をしてはいけないか」から始めて、初心者でも試せる順番で、Windows 10/11でできるファイル復元の考え方と、具体的な手順を整理していきます。
いままさに焦っている方も、いったん深呼吸してから、上から順に読み進めてみてください。
まず最初に:絶対に「やってはいけないこと」
ファイルを消してしまった直後に大事なのは、
「むやみに新しいデータを書き込まない」ことです。
やらないほうがいいこと
- 大量のファイルをコピーする
- 大きなアプリをインストールする
- 動画編集など、ディスクに負荷をかける作業を続ける
- SSD/USBメモリに新しいデータをどんどん保存する
削除されたファイルの実体は、すぐに0と1が完全に消えるわけではなく、
「上書きOKな空きスペース」としてマークされるだけの状態です。
この「空きスペース」に新しいデータが書き込まれてしまうと、
復元ソフトを使っても取り戻せなくなる可能性が高くなります。
「消したのがCドライブのドキュメントフォルダ」なら、Cドライブへの書き込みを最小限にする、
「USBメモリから消してしまった」なら、そのUSBメモリの使用をいったん止める――
これだけでも復元の成功率は変わってきます。
ステップ1:本当に「消えている」のか、落ち着いて確認する
いきなり難しいツールを使う前に、まずは一番かんたんな確認から始めましょう。
1-1. ゴミ箱に残っていないか?
- デスクトップの「ゴミ箱」を開いて、目的のファイルがないか確認する
- あれば右クリック → 「元に戻す」で復元
特に、右クリック → 「削除」だけの場合は、ゴミ箱に残っていることがほとんどです。
「Shift+Delete」や、USBメモリ内の削除などはゴミ箱を経由しないので注意しましょう。
1-2. 検索で場所を見失っていないか?
実は「消した」つもりが、単にフォルダー移動や名前の変更で行方不明になっているだけのケースもよくあります。
- エクスプローラーを開く(Win+E)
- 右上の検索ボックスにファイル名の一部や拡張子(例:
*.docx)を入れて検索
特にOneDriveやデスクトップ配下は、同期や移動で場所が変わることがあります。
「消えた」ではなく「見失っただけ」という可能性も必ずチェックしておきましょう。
ステップ2:Windows標準の「復元系」機能を試す
ゴミ箱にも見つからず、検索しても出てこない場合は、
Windows標準の復元機能を順番に確認していきます。
2-1. OneDriveの「バージョン履歴」を確認する
ファイルをOneDrive内に保存していた場合は、クラウド側の履歴から戻せることがあります。
- ブラウザで OneDrive にサインイン
- 問題のファイルがあったフォルダを開く
- ファイル名の右クリック → 「バージョン履歴」
- 過去の版が表示されたら、適当なバージョンを選んで「復元」
OneDriveからは完全に削除してしまった場合でも、
「ごみ箱」(OneDrive側)に残っている間は復元可能です。
2-2. ファイル履歴/バックアップから戻せないか?
Windows 10/11には「ファイル履歴」という、
ユーザー用フォルダー(ドキュメント、ピクチャなど)を定期的にバックアップする機能があります。
- 「設定」→「更新とセキュリティ」(または「バックアップ」)を開く
- 「ファイル履歴を使用してバックアップ」や「バックアップのオプション」が有効か確認
- 有効になっていれば、「その他のオプション」から過去のバックアップを開く
- 該当フォルダをたどり、削除前の日付のファイルを選んで「復元」
外付けHDDやネットワークドライブをバックアップ先にしている場合は、
そのドライブを接続した状態で確認してみてください。
2-3. システムの復元は「ファイルの復元」とは少し違う
「システムの復元」は主にシステムファイルやレジストリを元に戻す機能で、
ユーザーデータ(Word文書や写真など)を戻すための機能ではありません。
ただし、「復元ポイント作成時点のデスクトップ/ドキュメントの状態に近い形に戻る」ケースもあり、
環境によっては結果的にファイルが救われることもあります。
- 「回復」や「システムの復元」を試す場合は、影響範囲をよく確認してから実施しましょう。
ステップ3:どうしても見つからない場合は「復元ソフト」の出番
ここから先は、いわゆる「ファイル復元ソフト」「データリカバリツール」の領域になります。
代表的なのが、Microsoft公式の「Windows File Recovery」です。
これはMicrosoft Storeから入手できる無料ツールで、削除済みファイルの復元を試せます。
3-1. Windows File Recovery の概要
- 対応OS:Windows 10 2004以降/Windows 11
- 利用形態:コマンドラインツール(GUIはなし)
- 対応メディア:HDD、SSD、USBメモリなど(状況により復元可否あり)
注意点:
復元したいドライブ(例:Cドライブ)とは別のドライブに復元データを書き出す必要があります。
これは、復元対象のドライブに上書きしてしまうと、肝心のファイルが物理的に消えてしまう恐れがあるためです。
3-2. Windows File Recovery を使うときの基本の流れ
ここではざっくりと流れだけ紹介します。
(実際の記事にするときは、スクショ付きで手順を細かく書いてあげると親切です)
- Microsoft Storeで「Windows File Recovery」を検索してインストール
- 管理者として「Windows ターミナル」または「コマンド プロンプト」を起動
- 基本形のコマンドを入力して実行
例:Cドライブから削除したドキュメントをDドライブに復元したい場合
winfr C: D: /regular /n *.docxC:… 元のドライブD:… 復元ファイルを保存する先(別ドライブ)/regular… スキャンモード/n… 復元したいファイル名・拡張子の条件
実際には、SSDかHDDか、消去からどのくらい時間が経っているかなどで
「モード」を変える必要がありますが、そのあたりは記事内で分かりやすく整理してあげるとよいです。
3-3. 無料・有料のサードパーティ製復元ソフトについて
市販・フリーのデータ復元ソフトも多数存在し、
- グラフィカルな画面で操作しやすい
- 削除したファイルの一覧を見ながら復元対象を選べる
- 失われたパーティションごとスキャンできる
といったメリットがあります。
ただし、
- 無料版は復元できる容量に制限がある
- 間違った設定でスキャンすると、かえって状態を悪化させることもある
- 「高いお金を払えば何でも戻る」わけではない
などの注意点もあります。
「どうしても取り戻したい重要データ」なら、無理に自力で試行錯誤するより、
専門のデータ復旧業者に相談したほうが安全な場合もある――という一文を入れておくと、読者にも現実的な期待値を持ってもらえます。
媒体別のポイント:HDD・SSD・USB・SDカード
HDD(昔ながらのハードディスク)
- セクタ構造の都合上、上書きされていなければ復元できる可能性が比較的高い
- ただし、物理的に異音がしている場合などは、自力の復元作業を続けると悪化することも
SSD(最近のノートPCなど)
- TRIMという仕組みで、「不要なデータ」を早めに消去してしまうため、
HDDに比べると復元のハードルが高い - 消してすぐ電源を落とし、それ以上書き込みを行わないほうが望ましい
USBメモリ・SDカード
- 誤ってフォーマットした場合でも、クイックフォーマットなら復元の可能性はあります
- ただし、安価なフラッシュメモリは壊れやすく、認識不良を起こしている場合は難易度が急上昇します
どの媒体であっても共通するのは、「気づいた時点でそれ以上の書き込みを控えること」です。
「消した後」にやりがちなNG行動
焦っているときにやってしまいがちですが、次のような行動は復元率を下げます。
- 復元ソフトを削除してしまったドライブ(C:など)にインストールする
- スキャンしながら同じドライブに別ファイルをどんどん保存する
- いろいろな復元ソフトを次々試して、その度に書き込みが増える
- 重要な業務データなのに、自己責任で無制限に試行錯誤し続ける
理想は、
- まず「ゴミ箱/バックアップ/クラウド」をすべて確認
- それでダメなら、復元ソフトを別ドライブに入れてスキャン
- 結果を見て、これ以上書き込みを増やすかどうかを慎重に判断
という流れです。
再発防止のために今日からできること
消してしまったファイルは、戻せるかどうかの「運」の要素も大きいです。
だからこそ、「消しても困らない状態を作っておく」ことがとても大切です。
1. OneDriveなどクラウドストレージを活用する
- デスクトップ・ドキュメント・ピクチャをOneDriveと紐づけておけば、
ローカルで消してもクラウド側の履歴から戻せるケースが増えます。
2. 定期的なバックアップ(ファイル履歴/イメージバックアップ)
- 外付けHDDを用意して、週1回などの頻度でバックアップを取る
- Windows標準の「ファイル履歴」や「バックアップと復元(Windows 7)」を活用する
3. 大事なデータは「二重保管」を基本に
- 仕事のデータや家族の写真など、失ったら困るものは
「PC内+外付けHDD」「PC内+クラウド」など、最低2ヶ所に保管しておきましょう。
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消してしまっても慌てないために──まずは「バックアップ先」を用意しておきましょう
一度消えてしまったファイルは、運が悪いとどうしても戻せません。
そのため、ふだんから外付けHDDやポータブルSSDに定期バックアップを取っておくと安心です。
- 大量の写真・動画なら「大容量の外付けHDD」がおすすめ
- 持ち運びたいデータは「ポータブルSSD」が高速&省スペース
- ちょっとした受け渡しには「大容量USBメモリ」が便利
▼バックアップ用ストレージはこちら
まとめ:今できることと、これから備えておきたいこと
最後に、この記事の内容をギュッとまとめます。
消してしまったファイルでも、すぐに上書きされていなければ復元できる可能性はあります。まずは落ち着いて
・ゴミ箱
・エクスプローラーの検索
・OneDriveのバージョン履歴
・バックアップ(ファイル履歴など)
を確認しましょう。それでも見つからない場合は、
・Windows標準の「Windows File Recovery」
・信頼できるサードパーティ製復元ソフト
を別ドライブから実行してみてください。
また、HDDよりSSD、SSDよりUSBフラッシュメモリのほうが復元が難しいこともあるのでご注意ください。
どうしても取り戻したい重要データなら、自己流で何度も試すより、早めに専門のデータ復旧業者に相談する選択肢もありです。
再発防止の鍵は、
・OneDriveなどのクラウド
・ファイル履歴や外付けHDDでのバックアップ
・「二重保管」を習慣化すること
「消してしまった…」と気づいた瞬間はパニックになりますが、正しい順番で落ち着いて対応すれば、助かるデータもたくさんあります。
この記事で、大事なデータを復元できることを祈っています。

