
はじめに:アップデートしただけでPCが動かない…?
2025年7月のWindows Update適用後、一部のパソコンで「起動できなくなる」という深刻な不具合が報告されています。
突然、黒い画面のまま進まなくなる
再起動しても自動修復ループに入るだけ
中には、ブルースクリーンが数分後に出るというケースも……
これまで正常に動いていたPCが、Windowsアップデートを適用しただけで動かなくなってしまったという相談が、国内外で相次いでいます。
この記事では、2025年7月に配信された更新プログラムをきっかけに発生しているこの問題について、原因の分析と具体的な対処方法をくどいほど丁寧に解説します。
主な症状と現象パターン
現時点で報告されている症状には以下のようなパターンがあります。
- 黒い画面で止まり、マウスカーソルだけ表示される
- ロゴ画面でフリーズする(「Windows」ロゴから進まない)
- 「自動修復を準備しています」で止まる(ループ)
- 数分後にブルースクリーン(BSoD)になり、自動再起動を繰り返す
多くは「Windows Update直後の再起動時」に発生しており、正常に起動して使える状態まで進めないのが特徴です。
関連する更新プログラム(KB)
不具合が発生している環境の多くでは、以下の更新プログラムがインストールされています。
対象OS | 更新プログラム(KB) | 内容 |
---|---|---|
Windows 10 22H2 | KB50602554 | 信頼性向上、USB複合機の不具合修正など |
Windows 11 22H2 / 23H2 | KB5060829 | Copilot改善、WSUS同期修正、Wi-Fi・タスクバーの安定化 |
Windows 11 24H2 | KB5060842 | RTM向けの安定性修正、Copilotエラーの改善 |
※ これらのKBが直接の原因であると断定されてはいませんが、適用直後にトラブルが発生している報告が集中しています。
想定される原因
不具合の背景として、以下のような要因が複合的に関与している可能性があります。
- 一部のドライバ(特にグラフィック・セキュリティ関連)との整合性不良
- ストレージエラーやBitLockerの自動ロック
- セキュアブートやTPM構成の変更
- システムファイルの破損または更新失敗
- 特定KBの適用後、再起動タイミングでクラッシュ
対処方法(段階的に試してください)
1. セーフモードでの起動を試す
- 電源ボタンを長押しで強制終了(3回繰り返す)
- 「自動修復」→「詳細オプション」→「トラブルシューティング」→「スタートアップ設定」
- 再起動後、セーフモード(4または5)を選択
セーフモードで起動できれば、ドライバの削除や更新履歴の削除が可能です。
2. 更新プログラムのアンインストール
セーフモードまたは回復環境から、以下の手順で不具合の原因となっているKBを削除します。
- 回復環境で「コマンドプロンプト」を開く
- 以下のコマンドを実行(例:KB5060829を削除)
削除後は自動で再起動されることがあります。
3. システムファイルの修復
セーフモードまたは「コマンドプロンプト」から、以下のコマンドを順に実行します。
つづけて
これにより、破損したシステムファイルを修復できます。
4. スタートアップ修復を実行
「回復オプション」から「スタートアップ修復」を実行します。
これで自動的に起動関連の問題を診断し、回復できる可能性があります。
5. 復元ポイントからの復元(可能な場合)
以前に復元ポイントを作成していた場合は、それを使って不具合発生前の状態に戻すことが可能です。
6. 最終手段:インプレースアップグレードまたはクリーンインストール
① インプレースアップグレード
個人ファイルを保持したまま、Windowsを上書き再インストールする方法です。
▪️詳しいインプレースアップグレードのやり方はこちら
→【公式】再インストール不要の“インプレースアップグレード”のやり方
② クリーンインストール
すべてを初期化し、まっさらな状態から再構築する方法です。
▪️詳しい手順はこちら
⚠️いずれもWindowsインストールメディアが必要です。
→Windowsインストールメディアの詳しい作成方法(Windows10/11対応)
実際に報告されているユーザー事例
本件の不具合は、特定のPC環境だけでなく、広く一般ユーザーの間でも報告されています。以下は、国内外のコミュニティやSNSで見られる声の一部です。
- 「Windowsアップデートをかけたあと、ロゴが出たきり真っ暗。何もできなくなった」
- 「マウスカーソルだけが動く黒い画面になって、そのまま数十分。何度再起動しても改善せず困っている」
- 「自動修復が何度も繰り返されるので、やむなく初期化を実施した」
- 「起動はするが、数分後にブルースクリーンで強制再起動になる…」
こうした声は、Windows 10・11を問わず広く見られ、2025年7月のWindows Update直後から集中して発生しています。とくに自動修復のループに入ってしまい、抜け出せないという報告が多く、家庭のPCだけでなく、仕事用PCでも大きな影響を与えています。
Copilotとの関連性はある?
今回のWindows 11向け更新(KB5060829やKB5060842)では、Microsoft Copilotの処理方式に変更が加えられたことが知られています。
具体的には、CopilotがWindowsの起動直後からバックグラウンドで常駐・起動される構成になっており、この変更が一部のPCでは起動時の負荷増大や、プロセス競合につながっている可能性が指摘されています。
特に次のような環境では、影響を受けやすいと考えられます。
- メモリ容量が8GB以下のPC
- ストレージに空き容量が少ない(Cドライブに空きが10GB未満)
- Copilotの動作が無効化されているが、裏ではプロセスが呼び出されている
現時点では、MicrosoftからCopilotとの直接的な因果関係は公表されていませんが、7月のアップデート以降に「起動時に何かが重くなる」「黒画面のあとフリーズする」という症状が出始めたことから、無視できない要素として注目されています。
再発防止のためにできること
- 今後のアップデート前にシステムの復元ポイントを作成する
- 問題のあるKBが特定できた場合は一時的に非表示に設定
- Windows Update後すぐに再起動せず、様子を見てから再起動する
- 重要なデータは常にバックアップしておく(外付け・クラウド等)
こうしたトラブルは、ある日突然起こります。
でも、事前のちょっとした備えと、落ち着いた対応さえあれば、たとえ起動しなくなっても焦らずに対処できます。
「まさか自分のPCが…」
と思っている今こそ、対策を見直すタイミングかもしれません。
この記事が、あなたの大切なデータとPCを守る一助になれば幸いです。
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