
Windows のアップデート直後に
「印刷できない」
「プリンターがオフラインになる」
「プリンタードライバーが消えた」
などのトラブルが起きることがあります。本記事は、Windows 11 で今すぐ試せる解決策をやさしい順にまとめました。まずは上から順に、落ち着いて進めてみてください。
先に結論(最短ルート)
印刷トラブルの多くは、次の“6手順”で解消します。
- PCを再起動(アップデート直後の再構成を完了させる)
- プリンターを再追加(設定 > Bluetooth とデバイス > プリンターとスキャナー で削除→追加/USBは別ポートへ)
- 印刷キューをクリア(スプーラー停止→
PRINTERSフォルダの中身削除→スプーラー開始) - 公式ドライバーに入れ直し(機種×Windows 11×64bitが完全一致の最新版をメーカー公式から)
- ネットワークの再確認(接続を「プライベート」、ネットワーク探索ON/FWやセキュリティ製品の例外を確認)
- “Windowsに既定のプリンターを管理させる”をOFF+「プリンターをオフラインで使用する」を解除
※ ネットワーク機ならプリンターに固定IPを設定し、WSDポート → 標準TCP/IPポートへ切り替えると安定しやすいです(手順は下記)。
よくある症状
- 印刷ボタンを押しても処理が進まない/エラーが出る
- プリンターが「オフライン」表示のまま
- 一覧からプリンターが消えている
- 印刷キューが詰まってキャンセルもできない
- 「ドライバーが見つかりません」と表示される
原因の概要
ドライバーの互換性:大型更新や署名要件の強化で、古い/汎用ドライバーが不安定に。
印刷スプーラーのハング:アップデート直後に停止・エラー状態で固まる。
ネットワーク再構成:プロファイル種別(公開/プライベート)やFW設定が変わり、検出できなくなる。
WSDポート特有の不安定さ:自動追加されたWSDより、固定IP+標準TCP/IPの方が切断や“オフライン”誤判定を避けやすい。
仮想プリンターの不在:Microsoft Print to PDF が外れて印刷ダイアログに出ない。
対処法(やさしい順)
1. PC を一度再起動する
アップデート後はバックグラウンドでドライバー再適用・サービス更新が走ります。まずは再起動で状態を整えましょう。
2. プリンターを再接続(削除→追加)
- 設定 > Bluetooth とデバイス > プリンターとスキャナー
- 対象プリンターを選んで「デバイスの削除」
- 「プリンターまたはスキャナーを追加する」から再検索→追加
USB接続は別ポートやケーブル交換も有効。
3. 印刷キューを空にしてスプーラー再起動
管理者のコマンドプロンプトで実行
net stop spooler
del /q /f %systemroot%\System32\spool\PRINTERS*.*
net start spooler
「アクセス拒否」が出る場合は、印刷キュー画面をすべて閉じてから再実行。
4. プリンタードライバーを“公式サイト版”に入れ直す
- メーカー公式の機種×Windows 11×64bit最新版を使用。
- 一度デバイス マネージャーから「デバイスのアンインストール(ドライバーを削除にチェック)」→再起動→公式インストーラー実行が確実です。
Windows 11が自動で入れる「クラスドライバー(IPP Class / 汎用)」は便利ですが、機能不足や相性で不安定になることがあります。
5. ネットワーク設定を見直す(LAN/Wi-Fiプリンター)
- 設定 > ネットワークとインターネット の接続種別を 「プライベート」 に。
- ネットワークの詳細設定 で ネットワーク探索 をON。
- セキュリティ製品やFWで ファイルとプリンター共有・WS-Discovery をブロックしていないか確認。
- 同一ネットワーク帯(同一VLAN/サブネット)で接続。2.4GHzしか対応しない機種も多いのでWi-Fi帯域にも注意。
6. 「Microsoft Print to PDF」を復旧する
- コントロール パネル > プログラムと機能 > Windows の機能の有効化または無効化 → Microsoft Print to PDF にチェック→OK→再起動
- または 設定 > プリンターとスキャナー で「プリンターが一覧にない場合」から追加
追加でやると効く“安定化テク”
7. 「既定のプリンター」まわりを手動に戻す
- 設定 > Bluetooth とデバイス > プリンターとスキャナー 下部の
「Windows に既定のプリンターの管理を許可する」→OFF - 対象プリンターを開き 「規定として設定」。
- 「プリンターをオフラインで使用する」 にチェックが付いていたら外す。
8. WSD → 標準 TCP/IP ポートに切り替える(ネットワーク機)
WSDは検出は楽ですが“オフライン誤判定”の原因になりがち。固定IPをプリンター本体に設定した上で、標準TCP/IPポートを作成します。
- コントロール パネル > デバイスとプリンター(または 設定 > プリンターとスキャナー 経由で「プリンターのプロパティ」を開く)
- [ポート]タブ → [ポートの追加]→ 標準TCP/IPポート → プリンターのIPアドレスを指定
- 検出後、「SNMP ステータスを有効にする」のチェックを外す(SNMP オフで“オフライン”誤判定を回避できる機種が多い)
これで「WSD-xxxx」ポートではなく「IP_x.x.x.x」ポートで運用できます。
9. トラブルシューティングツールを走らせる(手早い切り分け)
設定 > システム > トラブルシューティング > その他のトラブルシューティング ツール → プリンター → [トラブルシューティング ツールの実行]
10. USB節電の影響を避ける(USB機)
デバイス マネージャー > ユニバーサル シリアル バス コントローラー
各 USB ルート ハブ のプロパティ → [電源の管理]→ 「電力節約のために…オフにできる」のチェックを外す。
省電力でUSBが瞬断→プリンターが“オフライン”になり続けるケースに有効。
それでも直らない場合
A. 問題の更新プログラムを一時的にアンインストール
- 設定 > Windows Update > 更新の履歴 > 更新プログラムのアンインストール
- 直近の累積更新などで不具合が出ている場合はアンインストール → 再起動
- 後日配信の修正更新で再度最新化する
最新の既知問題/回避策は Microsoft の「Windows リリース正常性(Release Health)」で確認できます。
B. システムの復元でアップデート前へ戻す
復元ポイントがある場合は、コントロール パネル > 回復 > システムの復元 から更新前の状態へ戻せます。個人ファイルは基本維持され、ドライバーや設定のみ巻き戻されます。
C. メーカーサポート/別PCでの切り分け
- メーカーの型番ページで最新手順やツールを確認/チャットや電話で相談
- 別PCやスマホの純正アプリから印刷できるか試し、プリンター本体故障を切り分け
予防策(次回から困らないために)
- 更新前に復元ポイントを作成(万一に備える)
- プリンタードライバーは定期的に更新(メーカー公式サイトを定期チェック)
- USBケーブル/Wi-Fi の点検(物理・電波の基本を見直す)
- 仮想プリンターの確認(「Microsoft Print to PDF」が表示されるか時々チェック)
よくある質問(FAQ)
Q. 汎用ドライバーでもいい?
一時的には使えますが、不具合時は純正ドライバーを推奨します。機種・OS・64bitが一致する最新版を入れてください。
Q. 「スプーラーを止められない」と出る
印刷キュー画面やアプリが開いている可能性があります。すべて閉じてから再試行し、必要ならPCを再起動してからコマンドを実行してください。
Q. ネットワークプリンターが見つからない
接続種別を「プライベート」に変更し、ネットワーク探索を有効化します。セキュリティソフトの例外設定も確認してください。
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- USBプリンターが「ランダム文字」を印字:2025年1月末以降の更新で一部USB機に発生。3月配信分以降で修正。まずは最新の累積更新に更新してください。
参考:BleepingComputer/Windows 11/10の既知問題として告知(2025-03-12)。 - 「Microsoft Print to PDF」が動かない:24H2で4月プレビュー以降に発生した不具合は7月の更新で修正済み。最新状態へ。
参考:BleepingComputer(2025-07-02)、WindowsLatest(2025-07-03)。 - 直近のOOB(臨時)更新の影響:2025/10/20配信のKB5070773などで既知問題の修正が順次反映。Release Healthで自分のバージョン(24H2/25H2)を確認し、最新の累積更新を適用してください。
まずは:Windows Updateで最新化 → 本文の「再起動/再追加/スプーラー清掃/公式ドライバー入れ直し」を順に。
早見:設定 > システム > トラブルシューティング > その他のトラブルシューティングツール > プリンター を実行。
▷ 公式の既知問題一覧(Release Health): Windows 11 24H2 / Windows 11 25H2
まとめ
印刷トラブルは、
① 迷ったら 再起動 → 再追加 → キュー/スプーラー修復 → 公式ドライバー再導入 → ネットワーク見直し の順でOK。
② ネットワーク機は 固定IP+標準TCP/IPポート(SNMP無効) が定番の安定解。
③ 改善しないときは 問題パッチの一時アンインストール / 復元ポイント / メーカー&Microsoftサポート
の3本柱で対処しましょう!
【参考・公式サイト】
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