Windowsのアップデートを行った後、「プリンターが急に使えなくなった」「印刷できない」「プリンタードライバーが消えた」などのトラブルが報告されています。本記事では、2025年5月現在でも有効な対処法を、誰でも実践できるように詳しく解説します。
よくある症状
Windowsアップデート直後に、以下のようなトラブルが発生するケースがあります。
- 印刷をしようとするとエラーが表示される
- プリンターが「オフライン」表示になる
- 接続されているはずのプリンターが消えている
- 印刷キューに溜まったまま動かない
- 「ドライバーが見つかりません」と表示される
このような現象の多くは、アップデートによるシステム設定の変更やドライバーの互換性が原因です。
主な原因とその背景
プリンタードライバーの互換性問題
Windowsアップデートではセキュリティ強化やカーネル変更が行われることがあり、古いプリンタードライバーが動作しなくなることがあります。
特に、以下のようなケースで発生しやすいです:
- 古いプリンターモデルを使用している
- ドライバーがメーカー純正ではなく、汎用ドライバーになっている
印刷スプーラーの異常
アップデートによって「Print Spooler(印刷スプーラー)」という印刷管理サービスに不具合が生じることがあります。これが停止していたり、エラーを起こしていたりすると、印刷そのものができません。
ネットワーク設定の変更
Wi-FiやLAN経由のネットワークプリンターの場合、ネットワークの再構成によってプリンターが見えなくなることがあります。これは「ネットワークの種類」が勝手に変更されたり、ファイアウォールの設定が変わったりするためです。
対処法
パソコンを一度再起動してみる
最初に試すべきはシンプルですが効果的な方法です。Windows Update後は裏でドライバーの再適用などが行われていることがあり、再起動によって正常に戻るケースもあります。
プリンターの再接続・再登録
- [設定] → [デバイス] → [プリンターとスキャナー]
- 問題のプリンターを削除
- 「プリンターまたはスキャナーを追加する」をクリックし、再認識させる
これでプリンターが再接続されることがあります。
プリンタードライバーを再インストールする
- プリンターメーカーの公式サイトへアクセス
- 自分のプリンターモデルとOSバージョンに合った最新のドライバーをダウンロード
- インストール後、再起動して動作を確認
※Microsoftが提供する「汎用プリンタードライバー」は相性が悪いこともあるため、できるだけ公式ドライバーを使用しましょう。
印刷スプーラーサービスを再起動する
- Windowsキー + R → services.msc を入力
- 「Print Spooler」を右クリック → [再起動]
- 念のため、スタートアップの種類を「自動」にしておくとよいでしょう
ネットワーク接続の見直し(ネットワークプリンターの場合)
- [設定] → [ネットワークとインターネット]
- 現在のネットワークが「パブリック」になっている場合は、「プライベート」に変更
- ファイアウォールの設定で、プリンター通信がブロックされていないか確認
特定のアップデートが原因のケースも
2025年1月以降、一部の累積更新プログラム(例:KB5034848やKB5050009など)でプリンターが認識されなくなる事例も報告されています。このような場合には、該当の更新プログラムをアンインストールすることで改善することがあります。
どうしても直らない場合は?
①システムの復元を使って、アップデート前の状態に戻す
システムの復元でアップデート前の状態に戻す手順(Windows 10 / 11共通)
システムの復元とは、パソコンの設定やシステムファイルを過去の正常だった状態に巻き戻す機能です。個人のファイル(写真やドキュメントなど)はそのままで、ドライバーや設定だけを復元できるため、アップデートによる不具合の対処に向いています。
【事前の確認】
- システムの復元ポイントが作成されていることが前提です。
Windowsは大きなアップデートの前に自動で復元ポイントを作成することがありますが、手動で設定していないと利用できない場合もあります。
手順1:コントロールパネルから「回復」を開く
- スタートメニューを開き、「回復」と入力して検索します
- 「回復(コントロールパネル)」を選択
- 表示された画面で「システムの復元を開く」をクリック
手順2:復元ポイントを選ぶ
- 「システムの復元」ウィンドウが表示されたら「次へ」をクリック
- 一覧から、Windowsアップデート前の日付の復元ポイントを選びます
- 「影響を受けるプログラムの検出」で、復元によって削除・変更される可能性のあるアプリ一覧を確認できます(任意)
- 問題がなければ「次へ」を押して「完了」をクリック
手順3:復元の実行と再起動
- 「完了」をクリックすると復元が開始され、パソコンが自動的に再起動します
- 復元には数分〜十数分かかることがあります(途中で電源を切らないでください)
- 再起動後、「システムの復元は正常に完了しました」と表示されれば成功です
💡補足:システムの復元が使えない場合
- 復元ポイントが作成されていない
- システムの復元が無効になっている
- Windowsが正常に起動しない
このような場合は、セーフモードで起動してから復元を行うか、Windowsの初期化や更新の削除といった別の手段が必要になることもあります。
▶︎システムの復元は、アップデート後の不具合を簡単かつ安全に元に戻せる強力な手段です。
定期的に復元ポイントを確認・作成しておくと、トラブル発生時にも安心です。
②メーカーのカスタマーサポートに相談する
■ メーカーのカスタマーサポートに相談する方法
プリンターの問題がどうしても解決しない場合は、プリンターメーカーのサポート窓口に相談するのが安心です。サポートでは、型番に応じたトラブルの対応方法や、最新のドライバー情報を案内してくれます。
相談のしかた(例:EPSON、Canon、Brotherなど)
1. 公式ホームページを検索
→ Googleなどで「エプソン サポート」「キャノン サポート」などと入力
2. 型番を入力するページが出てくるので、プリンターの名前(本体に記載あり)を入力
3. 「お問い合わせ」や「チャットサポート」「電話サポート」などの方法を選ぶ
4. 指示に従って相談内容を伝える(「アップデート後に印刷できなくなった」と簡潔に伝えるとスムーズです)
※サポート対応時間は平日9時〜17時などが多いので、事前に確認しておくと安心です。
③他のPCで印刷できるか確認し、プリンター自体の故障も疑う
もし一通りの設定や対処をしても改善しない場合、プリンター自体の故障や接続トラブルの可能性も考えられます。
確認手順
- ご家庭や職場などに別のパソコンやスマートフォンがある場合、それを使って印刷を試してみましょう。
→ スマホの場合は、各メーカーが提供している「プリントアプリ」などを使うと簡単に確認できます。 - 他の機器でも印刷できない場合は、
- プリンターのハードウェア故障
- USBケーブルやWi-Fi接続の不良
などが原因かもしれません。 - 本体のランプが点滅していたり、エラーコードが表示されている場合は、取扱説明書やメーカーサイトでその症状を調べてみてください。
ワンポイント💡
長期間使用しているプリンターは、内部の紙送り機構やヘッドの劣化によって印刷できなくなることがあります。その場合は修理より買い替えが安く済むこともあるので、サポートに見積もりを相談してみましょう。
最新アップデート(2025年6月)の補足情報
1. プリントスプーラー(印刷スプーラー)関連のバグ多発
- 最近のWindows Update後、複数のユーザーから「プリントスプーラーが停止する」「印刷キューが詰まる」といったトラブルが急増しています。
多くのケースが、アップデート後にドライバーの互換性が失われたことによるものと見られます 。
【対策】
- 「サービス」から Print Spooler を停止 → キュー内のジョブをクリア → 再起動
- 「プリンタートラブルシューティング」を実行
- ドライバーの最新化(公式サイトまたは互換モードでの再インストール)など
2. 特定KB更新プログラムによる異常
- 2025年3月の更新(KB5053606など)が原因とされる、プリントスプーラー周りのトラブルが報告されています 。
- 具体例:スプーラーが停止し印刷できなくなる、ドライバー認識不可など。
- 既に6月の修正パッチを含む再更新が進行中と見込まれます。
- 【対策】
- 「更新履歴」→問題あり更新(例:KB5053606)をアンインストール → 再起動 → 最新の修正KBを再インストール が現時点で有効な対応です。
3. USBプリンターでの“ゴミ文字印字”問題(2025年1月〜)
- 一部のUSB接続プリンターで、アップデート後にランダムな文字列(制御コマンドなど)が印字される現象が確認されています 。
- Microsoftは「Known Issue Rollback(KIR)」による対応を行ったと報告されています。
【対策】
- Windows Updateを最新状態に保ち、KIRが適用されていれば改善傾向あり。
4.再確認しておきたい定番の対処法
以下は普遍的に有効な方法として、改めておすすめです。
手順 | 内容 |
---|---|
再起動 | 裏でスプーラーやドライバ適用が完了することがあり、再起動で正常に戻ることがあります。 |
トラブルシューティング | 「設定」→「システム」→「トラブルシューティング」からプリンターの問題を自動診断・修復できます。 |
スプーラーサービスの見直し | 「Print Spooler」サービスを再起動し、スタートアップの種類を「自動」に設定して安定動作を図ります。 |
印刷キューのクリア | C:\Windows\System32\spool\PRINTERS フォルダ内のファイルを削除後、スプーラーを再起動します。 |
ドライバー更新 | プリンターメーカーの公式サイトから最新のドライバーをダウンロード・再インストールします。 |
プリンター再登録 | 「設定」→「プリンターとスキャナー」で一度削除し、再度「追加」して再認識させます。 |
まとめと予防策(2025年6月版)
Windowsアップデートはセキュリティや機能向上のために欠かせないものですが、プリンターが使えなくなるなどの“副作用”が出ることもあります。トラブルを防ぐには、事前の備えと基本対策の徹底が重要です。
🛡 予防としてやっておくべきこと
- Windows Update前に「復元ポイント」を作成
いざというとき、正常な状態に戻すことができます。 - プリンタードライバーは定期的に最新版に更新
古いドライバーはアップデート後に不具合を起こしやすいため、メーカー公式サイトで定期チェックを。 - USBケーブルやWi-Fi接続など物理的な接続も定期確認
意外と見落としがちな基本ポイントです。
【トラブル発生時の対処のコツ】
- 焦らずに「1つずつ順番に試す」
いきなり高度な設定を触らず、まずは再起動や再接続などの基本から。 - 「ドライバーの再インストール」や「スプーラー再起動」は定番かつ有効
特にドライバーと印刷スプーラーの見直しは、成功率が高い対処法です。 - それでも直らない場合は「復元ポイント」や「サポート窓口」へ
個人で解決が難しいと感じたら、迷わずメーカーやMicrosoftのサポートを頼りましょう。
突然のトラブルにも冷静に対応できるよう、日頃からバックアップと定期的な見直しを行っておくことが、安心への近道です。
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