1ヶ月経ったけど、意外と静か…これって大丈夫?

2025年10月14日に、ついに Windows 10 のサポートが終了しました。
あれから1ヶ月ほど経ちましたが、
- 「特に大きなトラブルもないし、案外大丈夫じゃない?」
- 「普通に使えてるから、しばらくこのままでいいよね」
という声も少なくありません。
実際、「すぐにPCが動かなくなる」「ネットに一切つながらなくなる」 といった、わかりやすい大事故はほとんど起きていません。
ただし、ここがいちばん危険なポイントです。
- “動いているように見えるだけ” で、安全とは限らない
- 問題は、音もなくじわじわ進行することが多い
- サポート終了直後は静かでも、“数か月後” に一気に表面化することがある
この記事では、
- 一部PCで起きている「BitLocker回復キー要求」の問題
- Microsoftテクニカルサポートが受けられなくなったことによるリスク
- 「攻撃コード・エクスプロイトは数か月後に一気に来るのでは?」という不安の正体
を、「今の時点でわかっていること」「あくまで可能性レベルの話」を分けながら、できるだけ冷静に整理していきます。
「まだWindows 10を使い続けているけれど、本当にこのままで大丈夫?」
という不安を感じている方に向けて、感情的な煽りではなく、現実的で実用的な視点でまとめました。
① 一部のPCで起動時に「BitLocker回復キー」を求められる問題
まず、サポート終了とは直接関係しないものの、Windows 10環境でじわじわ相談が増えている現象として、
「ある日突然、起動時にBitLocker回復キーを求められるようになった」
というケースがあります。
● BitLocker回復キーとは?
BitLocker は、Windowsのドライブ暗号化機能です。
PCのストレージを丸ごと暗号化し、盗難時などにデータを守るための仕組みですが、そのロック解除に必要なのが「BitLocker回復キー」です。
- 通常はTPM(セキュリティチップ)+PINやWindowsログインで透過的に解除
- 何らかの理由で「システム構成が変わった」と判断されると、
→ 回復キーの入力を求められる
という動作をします。
● なぜ急に「回復キー」が求められるのか?
代表的な要因は、次のようなものです。
- BIOS/UEFIの設定変更(セキュアブート、ブート順など)
- TPM(セキュリティチップ)のリセットや不具合
- ストレージの交換・パーティション構成の変更
- 大型アップデートやドライバの入れ替え など
Windows 10 のサポート終了により、今後は:
- 想定外の更新やドライバ変更があっても、
- Microsoft側から丁寧な修正パッチが出にくい
- OEMメーカーも「非サポートOS」に対して積極的には動かない
という状況になるため、BitLockerの挙動が怪しくなっても、自己解決しかないというリスクが高まります。
● いちばん怖いのは「回復キーを控えていない」こと
BitLocker回復キーは、次のような場所に保存されていることが多いです。
- Microsoftアカウント(ブラウザで確認可能)
- 会社・学校アカウントの管理ポータル
- 印刷して紙で保管している
- USBメモリやテキストファイルに保存している
ここで問題なのは「自分がどこに保存したか覚えていない」ケース。
Windows 10が非サポートOSとなった今、
「BitLockerの誤作動で回復キーを求められたけれど、キーが見つからない」
→ データに二度とアクセスできない
という事態も十分にあり得ます。
▶ 今すぐやっておきたいこと
- 自分のPCに BitLocker が有効になっているか確認する
- 有効なら、「回復キーの保存場所」を必ずチェック
- まだ控えていない場合は、印刷 or オフライン保存しておく
- 保存した場所を、紙のメモなどでわかりやすく残しておく
💡Bitlocker回復キーの詳しい記事も書いています≫Bitlocker解説ページ
② Microsoftのテクニカルサポートが「非対応」になった現実
Windows 10 は、2025年10月14日をもって一般向けのサポートが終了しました。
これは単に「更新が来ない」だけではなく、
「困ったときに、Microsoftの正式なサポート窓口に相談できないOS」
になった、ということでもあります。
● 具体的には何が変わったのか?
- 無償のセキュリティ更新プログラムが配信されない
- 新たな脆弱性が見つかっても、基本的に修正パッチは提供されない
- 一般ユーザー向けのチャット・電話サポートの対象外
- トラブル事例があっても、公式として詳細な検証や回避策が公開されにくい
つまり、「何かあったとき、最後は自分で何とかするしかない」OSになりました。
● ネット上の情報も「玉石混交」になりやすい
サポート終了後は、Microsoft公式サイトやメーカーサイトでの情報が少なくなり、その代わり、
- フォーラム
- 個人ブログ
- Q&Aサイト
などの情報がメインになっていきます。
もちろん、有益な情報もたくさんありますが、
- 古い情報なのか新しい情報なのかがわかりにくい
- 「Windows 11向けの解決策」が混ざっていて、10では通用しない
- レジストリ操作など、リスクの高い方法が当たり前のように紹介されている
といった問題も増えがちです。
つまり、「公式の安全なガイドラインがなくなり、自己責任の世界が広がる」ということです。
③ 「攻撃コード・エクスプロイトは数か月後に一気に来る?」という不安
サポート終了直後によく聞かれるのが、
「今は静かだけど、数か月後に攻撃が一気に来るって本当?」
という話です。
これは半分「噂」のように聞こえますが、
サイバーセキュリティの世界では実際によくあるパターンです。
● サポート終了後のOSが狙われる理由
- 新たな脆弱性が見つかってもパッチが出ない
- Exploit(攻撃コード)が作成され、闇市場やフォーラムで共有される
- 「サポートの切れたOSを狙うと成功率が高い」ことは攻撃者もよく知っている
Windows 7 や XP の時代も、
- サポート終了 → しばらくは大きな事件なし
- 数か月~1年後くらいに「サポート切れOS」を狙った攻撃・マルウェアが増加
という流れが繰り返されてきました。
● なぜ「タイムラグ」があるのか?
攻撃者側も、
- 公開された脆弱性情報を分析
- PoC(Proof of Concept:概念実証コード)から実用的なマルウェアに発展させる
- ボットネットなどに組み込み、一斉スキャン・感染を実行
というステップを踏むため、どうしても準備時間が必要です。
そのため、
- サポート終了直後 → 目立った攻撃は少ない(ように見える)
- 半年~1年後 → 「気付いたら被害が出ている」状態になりやすい
という“タイムラグ攻撃”が起きやすいのです。
● 「今は大丈夫そうだから、このままでいい」は危険サイン
現時点で大規模な被害報告がないことは、もちろん良いことです。
しかし、
- 「何も起きていない」=「安全が保証されている」ではない
- 「今は静かだからこそ、移行を先送りしやすい」こと自体がリスク
とも言えます。
「まだ大丈夫そうだから様子を見る」が積み重なった結果、
半年後にまとめて被害に遭う、というケースは決して珍しくありません。
④ それでも今すぐWindows 11に移行できない人がやるべき「最低限の対策」
とはいえ、
- 古い業務ソフトの都合で、すぐにはWindows 11に移行できない
- ハードウェア要件を満たしておらず、当面は10で頑張るしかない
という方も多いと思います。
そうした方のために、「今できる現実的な対策」をまとめておきます。
1. BitLocker回復キーの確認とバックアップ
さきほど触れた通り、BitLocker回復キーを控えていないのは非常に危険です。
- 自分のPCでBitLockerが有効かどうか確認
- 回復キーがどこに保存されているか必ずチェック
- 紙・オフラインメディアでのバックアップを用意
これは「Windows 10だから」というより、“暗号化PCの必須作業”です。
2. オフラインバックアップを定期的に取る
サポートの切れたOSの最大のリスクは「いつ被害を受けてもおかしくない」状態になることです。
- 外付けHDD/SSDに、重要データを定期バックアップ
- クラウドストレージ(OneDrive、Google Driveなど)も併用
- 可能なら「システムイメージ」や「回復ドライブ」も作成しておく
「最悪、PCが完全に起動しなくなってもデータだけは守る」
このラインを死守する意識が重要です。
もしもの時に備えるバックアップ用ストレージ
「まだ壊れていないから大丈夫」と思っていても、突然の故障や暗号化トロイの被害に遭うと、データは一瞬で失われます。
オフライン用のストレージを1つ用意しておくだけでも、リスクは大きく下がります。
- 持ち運びしやすい外付けSSD
- 写真・動画を丸ごと保存できる大容量HDD
- ちょっとした退避用に便利なUSBメモリ
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▶ 外付けSSD(スクショや資料を高速保存)
3. セキュリティ設定を“できる範囲で最大限”にする
- ウイルス対策ソフトを最新の状態に保つ
- Windows Defenderでも、専用ソフトでもOK。とにかく最新版をキープ
- ファイアウォールを無効化しない
- 不審なメール添付・リンクを開かない
- 不要なソフト・拡張機能を整理しておく
「Windows 10だから即アウト」ではありませんが、
「サポートが切れているからこそ、基本の対策に手を抜けない」という意識が大事です。
4. ブラウザと主要アプリだけは最新を維持
OS本体の更新は止まっても、
- Edge / Chrome / Firefox などのブラウザ
- Adobe系、Office系、メッセンジャー系のアプリ
は、まだ Windows 10 に対応してアップデートが提供されている間は、必ず最新に保つようにしましょう。
攻撃の多くは、
- ブラウザの脆弱性
- PDFビューア
- プラグイン・アドオン
などから入ってきます。
OSが古いからこそ、「入り口部分」だけでも最新を維持することが有効な防御になります。
5. Windows 11への“現実的な移行計画”を立てる
「今すぐ買い替え」は難しくても、
- 来年中にはPCを買い替える
- 予算感をざっくり決めておく
- 必要なソフトがWindows 11対応かどうか調べておく
など、「半年〜1年以内に移行するための準備」を具体的に進めておきましょう。
「なんとなくそのうち…」ではなく、
「いつまでに・どのくらいの予算で・どう移行するか」
をぼんやりでも決めておくと、後で慌てずに済みます。
⑤ 企業向けのESU(有償延長)との違いをざっくり理解しておく
ニュースなどで、
「Windows 10は有償のESUで延長サポートが提供される」
といった話題を目にした方もいるかもしれません。
● ESUとは?
ESU(Extended Security Updates)は、企業などが
- 対象PC数
- 契約形態(Microsoft 365やVolume Licensingなど)
に応じて料金を支払い、
サポート終了後も一定期間、セキュリティ更新を受けられる 仕組みです。
● 一般家庭・個人はどうなの?
基本的に、個人ユーザーが手軽にESUを契約する想定にはなっていません。
- 契約のハードルが高い
- コストを考えると「その予算でPC買い替えた方が合理的」になりがち
そのため、家庭用PCは「ESUで延命」ではなく、「Windows 11や他OSへの移行」が現実的な選択肢になります。
クラウドにもバックアップしておくと安心
外付けストレージだけでなく、クラウドにもデータを1部コピーしておくと、「外付けディスクごと紛失」「災害で自宅の機器が全部使えない」といった最悪の事態にも備えられます。
- OneDrive 1TB付きの Microsoft 365 を使えば、Windows 11 への乗り換え時もデータ移行がスムーズです。
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▶ Microsoft365はこちらまとめ:「案外大丈夫だからこそ、今がラストチャンス」
この記事でお話ししたとおり、
- サポート終了から1ヶ月 → 目立った大事故は少ない
- 「案外大丈夫じゃん」という空気が流れやすい
- でも本当のリスクは「数か月〜1年後」にじわじわ出てくる
というのが、Windows 10 を取り巻く現実です。
特に注意したいポイントは、
- 一部PCで、ある日突然「BitLocker回復キー」を求められるリスク
- Microsoftのテクニカルサポートが受けられない「自己責任OS」になったこと
- サポート切れOSを狙った攻撃が、“少し時間を置いてから” 増える傾向があること
です。
そして、いちばん重要なのは、
「今、大きな問題が起きていない」のはラッキーであって、
「この先もずっと大丈夫」という保証にはまったくならない
という事実です。
今、あなたがやっておきたいこと(おさらい)
✅ BitLocker回復キーの場所を今すぐ確認・控える
✅ オフライン含めたバックアップ体制を整える
✅ セキュリティ設定とブラウザ・主要アプリを最新に保つ
✅ 半年〜1年単位での「Windows 11移行計画」を具体的に考える
「まだ動いているから」「今のところ困っていないから」と放置してしまうと、
“動かなくなってから” 本気で後悔することになりかねません。
静かな今こそが、実はいちばん動きやすく、いちばん安全に準備できるタイミングです。
この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです。
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