
はじめに
2025年9月に配信された Windows 11 バージョン24H2向け累積更新プログラム「KB5065426」を適用しようとした際、エラーコード 0x800f0991 が表示され、アップデートが完了できない不具合が多数報告されています。
「更新が途中で止まる」「何度もインストールを試すが繰り返し失敗する」といった状況のほか、更新後にファイル共有やプリンタ共有が動作しなくなるといったネットワーク関連のトラブルも確認されています。
本記事では、報告されている症状や原因の仮説、そして現時点で有効とされる対処法を整理してご紹介します。
KB5065426とは?
KB5065426 は、2025年9月にリリースされた 累積更新プログラム(Cumulative Update) です。
累積更新は毎月提供される Windows Update の定例パッチで、セキュリティ修正やシステムの安定性向上を目的としています。通常であれば、更新を適用することで安全性が高まり、機能改善も受けられるメリットがあります。
しかし今回の KB5065426 では、インストールが完了しない、または適用後に一部の機能が動作しないといったトラブルが多くのユーザーから報告されています。
主な報告内容
実際のユーザーコミュニティやフォーラム、技術系メディアに寄せられている不具合の内容は以下のとおりです。
- アップデートがインストールできない
- ダウンロード後に「インストール中」で停止する
- 50~60%まで進んだところでエラー 0x800f0991 が表示される
- 何度再試行しても同じエラーで失敗する
- 繰り返しインストールを試みるループ
- Windows Update が失敗を検出し、自動的に再試行
- その結果、毎回同じエラーで終了しループ状態になる
- ファイル共有・プリント共有のトラブル
- 更新適用後に共有フォルダーへアクセスできない
- ネットワークプリンタが「オフライン」表示になる
- 認証プロンプトが何度も表示される
- エラーメッセージ「System error 86」が出るケースも報告
- 特に影響を受けやすい環境
- 複製(クローン)されたPCで、同じ Machine SID を持つマシン同士の共有がうまくいかないケースが多い
- 一方、SIDが異なるPCや、更新を適用していないPCとの共有は問題なく動作する場合がある
想定される原因
Microsoftから公式に詳細な原因説明はまだ出ていませんが、現時点で有力とされる要因は以下の通りです。
1. Machine SIDの重複
クローン作成やイメージ展開で複数台のPCを構築した場合、SIDが重複することがあります。KB5065426適用後、このSID重複が原因でファイル共有やプリント共有に失敗するケースが確認されています。
2. Windows Updateコンポーネントの不具合
アップデート関連の一時ファイルやキャッシュが破損している場合、正常にインストールできずに 0x800f0991 エラーが出る可能性があります。
3. システムファイルの破損
OSの重要なファイルに不整合があると、更新プログラムを適用する際に失敗することがあります。
4. アップデート自体の不具合
一部の環境特有の構成(特定のセキュリティソフト、ネットワーク設定、グループポリシーなど)が原因で、更新プログラムのインストール処理が妨げられることも考えられます。
考えられる対処法
ここでは、ユーザー報告や技術フォーラムで効果があったとされる対処法をまとめます。すべての環境で有効とは限りませんが、順に試すことで改善する可能性があります。
1. Windows Updateトラブルシューティングツールを実行
- 「設定」→「システム」→「トラブルシューティング」→「その他のトラブルシューティング」→「Windows Update」を選択
- 自動診断と修復を行い、更新関連サービスのリセットを試みます
2. SFC・DISMでシステムを修復
コマンドプロンプト(管理者権限)で以下を実行
sfc /scannowDISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
破損したシステムファイルを修復し、更新適用の成功率を高めます。
3. Windows Updateのキャッシュをリセット
- サービス「Windows Update」「Cryptographic Services」を停止
C:\Windows\SoftwareDistribution
とC:\Windows\System32\catroot2
フォルダをリネームまたは削除- サービスを再起動してから再度更新を試みる
4. 手動インストールを試す
Microsoft Update Catalog から KB5065426 のスタンドアロンパッケージ(.msuファイル)を直接ダウンロードし、手動で適用する方法です。
ただし、こちらでも失敗する例が報告されているため万能ではありません。
5. Update AssistantやMedia Creation Toolを使う
「このPCを今すぐアップグレード」を選択し、Windowsを上書きインストールする方法です。ユーザーファイルやアプリを保持しながら最新ビルドに更新できます。時間はかかりますが、最終手段として有効です。
6. Machine SIDを修正する
もしクローン環境を利用している場合は、SID重複を解消することで共有機能が回復する可能性があります。
専用ツール(例:SIDCHGなど)を利用してSIDを再生成し、再度共有を設定してください。
エラーと対処法の対応表
エラー・症状 | 想定される原因 | 主な対処法 |
---|---|---|
0x800f0991でインストール失敗 | 更新ファイル破損 / Updateコンポーネント不具合 | Windows Updateトラブルシューティング、SFC/DISM、キャッシュリセット |
アップデートが途中で止まる / 繰り返しループ | 更新コンポーネントの不具合 | Updateキャッシュ削除、手動インストール、Update Assistant |
ファイル共有できない | Machine SID重複、認証処理不具合 | SID修正ツールで変更、更新適用前に検証 |
プリンタ共有がオフライン化 | ネットワーク認証の不具合 | プリンタ再追加、資格情報マネージャー再登録 |
更新後も改善しない | OS全体の破損 | Media Creation Toolで上書きインストール |
この表はあくまで代表的な症状と対処法の整理です。実際の環境によって原因は複雑に絡み合うため、複数の方法を組み合わせて試す必要があります。特に業務用PCや共有環境では、適用前にバックアップを取り、影響範囲を検証してから実施することをおすすめします。
注意点
- KB5065426はセキュリティ更新を含むため、無効化やアンインストールを行うと脆弱性が残る可能性があります。
- 企業や組織で複数台に適用する場合は、まずテスト環境で動作確認を行うことをおすすめします。
- Microsoftは調査中であり、今後修正版や追加のガイダンスが提供される可能性があります。
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まとめ
2025年9月配信の累積更新「KB5065426」では、エラーコード 0x800f0991 を中心としたインストール失敗や、共有機能の不具合が多数報告されています。特にクローン環境でのSID重複によるトラブルが目立っています。
現時点での有効な対処法は、Windows Updateのトラブルシューティングやシステムファイル修復、キャッシュリセット、手動インストール、そして必要に応じてSID修正です。
公式の修正版が出るまでは、バックアップを確実に取り、重要な環境への適用は慎重に進めることが推奨されます。
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