Windows 10 Pro バージョン22H2(OSビルド 19045.5854)をご利用中の方で、「Windows 11の要件は満たしているのにアップグレードがうまくいかない」というお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
今回は、Windowsインストールアシスタントを使っても、再起動後にWindows 10のままインストールが「途中で止まる」「再起動後にWindows 10へ戻る(ロールバックする/0xC1900101)」場合でも、準備と手順で解消するケースが多数あるので、その原因と対策を詳しく解説します。
よくある原因と確認ポイント
以下は、Windows 11 へアップグレードできないときの“実際に多い”原因の一覧です。
原因 | 詳細 |
---|---|
マイクロソフトアカウント未連携 | 環境によってはローカルのみだと途中で止まる・設定引き継ぎに失敗する例があります。まずは一時的にでもMSアカウントでサインインを推奨。 |
空き容量不足 | Cドライブの空きが不足しているとロールバック(元に戻る)が発生しやすい。目安として少なくとも20GB以上を確保。 |
ブート方式がレガシー(BIOS/MBR) | UEFI+GPTでないと失敗しやすい。msinfo32 で「BIOSモード=UEFI」を確認。 |
一時ファイルやキャッシュの不具合 | 旧インストーラや中断データが悪さをする。Updateキャッシュや$WINDOWS.~BT の残骸をクリア。 |
インストールアシスタントが古い | 最新版をMicrosoft公式から再ダウンロード。 |
システムファイル破損 | SFC/DISMで修復。 |
Update関連サービスの停止 | Windows Update/BITS/CryptSvcなどが停止・不整合だと進まない。 |
周辺機器・常駐アプリの干渉 | 外付けHDD/プリンタ、サードパーティ製AV、VPNは一時的に外す/無効化。 |
これらの原因は、見落とされやすいものも含まれています。とくにマイクロソフトアカウントとの未連携や一時ファイルの残留は、エラーとして表示されないまま処理が中断されることが多く、「なぜアップグレードできないのか分からない」と感じてしまう原因になります。
また、インストールアシスタントのバージョンが古いままだったり、Windows Update関連のサービスが停止している場合も、見た目上は正常でも裏で進行が止まっているケースが多いです。
この記事では、こうした“目に見えにくい原因”を丁寧に解消していく手順をご紹介していますので、ひとつずつ確認してみてください。
ステップ1:システムファイルの修復(SFC/DISM)
①「スタート」→「cmd」を検索→「管理者として実行」。
② 次を実行します。
③ 完了後、さらに以下も実行して下さい
④ 破損したシステムファイルやUpdate構成を修復します。完了したらPCを再起動。
これにより、破損しているシステムファイルやWindows Update関連の構成が修復されます。
ステップ2:Windowsインストールアシスタントを最新版にする
Microsoft公式サイトから、最新の「Windows 11 インストールアシスタント」を再度ダウンロードしてください。古いバージョンでは正常に動作しないことがあります。
公式サイト:https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11
ステップ3:一時ファイルの削除とクリーンアップ
必要に応じて、Updateサービスを停止したうえで以下の残骸を削除します。C:\Windows\SoftwareDistribution\
(中身のみ)/C:\$WINDOWS.~BT\
(存在する場合)
「設定」→「システム」→「記憶域」→「一時ファイル」でWindows Updateのクリーンアップ等を削除。
「ディスククリーンアップ(管理者)」で「システムファイルのクリーンアップ」を実行。
ステップ4:Windows 11 ISOからアップグレード
1. Microsoft公式ページからWindows 11のISOをダウンロード。
2. ISOを右クリック→「マウント」。エクスプローラーで仮想DVDが開きます。
※右クリックに「マウント」が出ない場合は、いったんエクスプローラーを再起動するか、ISOのプロパティで「エクスプローラーで開く」を既定に設定。
3. 中の setup.exe
を実行→「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択。
インストールアシスタントで失敗しても、ISO経路だと成功する例が多いです。
ステップ5:Windows Update関連サービスをチェック/リセット
サービス画面で「Windows Update」「BITS」「Cryptographic Services」が実行中か確認します。改善しない場合は、以下のリセットを管理者コマンドで実施します。
net stop wuauserv net stop bits net stop cryptsvc ren C:\Windows\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old ren C:\Windows\System32\catroot2 catroot2.old net start cryptsvc net start bits net start wuauserv
その後に再起動→アップグレードを再試行します。
上記以外にも、次の対処で改善するケースがあります。
・外付けHDD・プリンターなどの周辺機器をすべて取り外してから再試行する
・Windows Update と BITS(バックグラウンド インテリジェント転送サービス)を一度停止→再起動する
・C:\Windows\SoftwareDistribution
フォルダ内を削除して更新キャッシュをクリアする(※サービス停止後に実施)
・SFC(システム ファイル チェッカー)と DISM を実行してシステムの破損を修復する
まずは上記を確認・実施してから、あらためてアップグレードをお試しください。
それでもダメな場合:クリーンインストールという選択肢
どうしてもアップグレードが進まない場合、「クリーンインストール」を検討するのも一つの手です。
・必要なデータをバックアップ
・Windows 11のISOをUSBに書き込む(Media Creation Tool使用)
・USBからPCを起動して新規インストール
初期化にはなりますが、不具合が一掃されるため、再構築には最適です。
クリーンインストールの手順記事はこちら>失敗しない「クリーンインストール」のやり方🍀
上級者向けの追加手段(*自己責任で行なって下さい)
1. レジストリを使ってアップグレード制限を解除
企業ネットワークやレジストリの設定が影響していることがあります。
①以下の場所を確認してみます。
②TargetReleaseVersion が 1、TargetReleaseVersionInfo に「21H2」などが指定されていると、Windows 11に固定されていないことになります。
→指定されていた場合は、適切な値に変更して下さい(もしくは削除)
2. インプレースアップグレードの裏技
Windows 10のISOをマウントし、「アップグレードインストールを再実行」してからWindows 11を上書きすると成功するケースも見受けられます。
→これにより、破損した構成を上書き修復した後にWindows 11へ移行しやすくなります。
3. デバイスドライバの完全更新
グラフィック、ストレージ、セキュリティ系ドライバが古いと、途中でブラックアウトや巻き戻しが発生します。
①デバイスマネージャから最新ドライバに更新して下さい
②メーカー公式サイトからで手動インストールしてみるのも有効です。
最終手段としての「新規ユーザー作成」
現在のアカウントに何らかの制限や破損がある場合は、新しいMicrosoftアカウントでサインインし、そこからアップグレードを試すと成功することがあります。
⚠️注意点
Windows 10でうまくアップグレードできない場合、現在使用中のユーザープロファイルに破損や制限があるケースがあります。
その場合、新しくMicrosoftアカウント連携済みのユーザーを作成し、そのアカウントからアップグレードを実行すると成功することがあります。
ただし、この方法にはいくつかの注意点があります。
データは自動で引き継がれない
新しいユーザーを作成すると、デスクトップやドキュメントなどの個人フォルダは別の場所になります。また、必要なファイルは元のユーザーアカウントのフォルダから、手動でコピーする必要があります。
アプリや設定は再構築が必要になる
アプリケーションによっては、ユーザーごとに設定が保存されており、新規ユーザーで再インストールや再設定が必要になる場合があります。
特に、OfficeやAdobe製品、Zoom、ブラウザのブックマークなどは事前に確認が必要です。
管理者アカウントに設定すること
新しいユーザーは必ず管理者権限で作成してください。そうでないとアップグレードや設定変更ができません。
①「設定 → アカウント
②→ 家族とその他のユーザー → ユーザーの追加
③「このユーザーに管理者権限を付与する」を忘れずに。
● 作業後に元のアカウントは削除可(慎重に)
新規ユーザーでアップグレード後、問題がなければ元のユーザーアカウントは削除できますが、必要なデータをすべて移動してからにしましょう。
削除後は復元できません。
🔍 補足:Microsoftアカウントとの連携を確認
・新しいユーザーでサインインしたら、必ずMicrosoftアカウントでサインインしてからアップグレードを行ってください。ローカルアカウントのままではエラーになる可能性があります。
この方法は、Windowsの構成ファイルやユーザープロファイルの破損が原因でアップグレードが止まっている場合に、特に効果があります。
どうしてもアップグレードできないときの「裏技」として、ぜひ選択肢の一つにしてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q:ローカルアカウントのままでもアップグレードできますか?
A:できる場合もありますが、失敗の一因になりやすいため、いったんMicrosoftアカウントへ切り替えるのをおすすめします。
Q:セキュアブートやTPMの設定は関係ありますか?
A:はい。BIOSで「セキュアブート有効」「TPM 2.0有効」、Windows上でUEFI/GPTになっていることを確認してください。
【補足】アップグレード作業は、たとえ要件を満たしていても必ず一度で成功するとは限りません。特に、ドライバやソフトウェアの相性、セキュリティ設定、BIOSの状態など、PCごとの細かな環境差が影響します。
この記事で紹介した方法は、多くのユーザーのアップグレード成功例をもとに整理したものですが、環境によっては個別の調整が必要になる場合もあります。
「なぜ自分のPCだけできないのか…」
と悩まずに、順番に確認を進めていけば、きっと解決につながります!!
[スポンサーリンク]
インストールUSBの作成・バックアップに必須です。迷ったらこの2つから。
最後に
Windows 11のアップグレードは、一見単純そうでいて、細かい設定や状態によって思わぬトラブルが起きることもあります。今回紹介したステップを表にまとめてみました。
補足項目 | 内容 |
---|---|
クリーンブート | 常駐アプリやセキュリティソフトの影響を排除 |
ログ解析 | setupact.log / setuperr.log をチェック、SetupDiagの活用 |
ドライバー再インストール | 特にGPU関連は完全アンインストール後に最新版を導入 |
BIOS/UEFI確認 | UEFI+GPT化、TPM有効、Secure Bootなど設定必須 |
SFC / DISM | 破損ファイルを修復し、Updateエラーを防ぐ |
Update コンポーネントリセット | キャッシュ削除+サービス再起動で修復 |
ISO を使ったアップグレード | Update経路を回避し、USBからインプレース更新 |
2025年現在、Windows 11のアップグレード失敗の原因は、ドライバの互換性・構成ファイルの不具合・セキュリティ設定など多岐にわたります。
記事で紹介した基本的な対処法に加えて、「SetupDiag」の活用や不要な周辺機器の取り外し、セキュリティソフトの一時無効化なども効果的です。
それでも改善しない場合は、USBインストールメディアを使った手動アップグレードや、重要データをバックアップした上でのクリーンインストールも検討してください。
あなたにおすすめ関連記事
▶︎【裏技あり】「シャットダウンします」から動かないPCを安全に復旧する方法
▶︎Windows11 24H2アップデート後にブルースクリーンが出たときの対応法
▶︎Windowsが動かない!買い替えしかない?と諦める前に試したい回復方