Windows 10 Pro バージョン22H2(OSビルド 19045.5854)をご利用中の方で、「Windows 11の要件は満たしているのにアップグレードがうまくいかない」というお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
今回は、Windowsインストールアシスタントを使っても再起動後にWindows 10のまま戻ってしまうというトラブルについて、原因とその解決策を詳しく解説します。
よくある原因と確認ポイント
以下の表は、Windows 11にアップグレードできない際に考えられる原因をまとめたものです。
原因 | 詳細 |
---|---|
マイクロソフトアカウント未連携 | ローカルアカウントのままではアップグレードが進まないことがあります。 |
一時ファイルやキャッシュの不具合 | 旧バージョンのインストーラーや中断データが影響している可能性があります。 |
インストールアシスタントのバージョンが古い | Microsoft公式から最新版を再ダウンロードしましょう。 |
システムファイル破損 | SFCやDISMでの修復が必要です。 |
アップデート関連サービスの停止 | Windows UpdateサービスやBITSが動作していないと、処理が進みません。 |
これらの原因は、見落とされやすいものも含まれています。とくにマイクロソフトアカウントとの未連携や一時ファイルの残留は、エラーとして表示されないまま処理が中断されることが多く、「なぜアップグレードできないのか分からない」と感じてしまう原因になります。
また、インストールアシスタントのバージョンが古いままだったり、Windows Update関連のサービスが停止している場合も、見た目上は正常でも裏で進行が止まっているケースが多いです。
この記事では、こうした“目に見えにくい原因”を丁寧に解消していく手順をご紹介していますので、ひとつずつ確認してみてください。
ステップ1:システムファイルの修復
アップグレードが止まる場合、まず最初に以下のコマンドを試しましょう。
- 管理者としてコマンドプロンプトを開く
- 以下のコマンドを順に実行
完了後、さらに以下も実行して下さい
これにより、破損しているシステムファイルやWindows Update関連の構成が修復されます。
ステップ2:Windowsインストールアシスタントを最新版にする
Microsoft公式サイトから、最新の「Windows 11 インストールアシスタント」を再度ダウンロードしてください。古いバージョンでは正常に動作しないことがあります。
公式サイト:https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11
ステップ3:一時ファイルの削除とクリーンアップ
不要なキャッシュや残留インストーラが原因となる場合があります。以下を試してください。
- 設定 → システム → 記憶域 → 一時ファイル →「Windows Updateのクリーンアップ」などを削除
- 「ディスククリーンアップ」ツールを使う
ステップ4:Windows 11 ISOファイルからアップグレード
インストールアシスタントがうまくいかない場合は、以下の手順で「ISOファイル」からのアップグレードが有効です。
- Microsoftのダウンロードページから「Windows 11のISO」をダウンロード
- ISOファイルを右クリックして「マウント」
- 中の「setup.exe」を実行
- 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択して進める
これでうまくいくケースが非常に多いです。
ステップ5:Windows Updateのサービスを確認
アップデートサービスが正しく動作していない可能性もあります。以下を確認してください。
- 「サービス」アプリを開く
- 次のサービスが「実行中」になっているか確認
サービス名 | 状態 |
---|---|
Windows Update | 実行中 |
Background Intelligent Transfer Service(BITS) | 実行中 |
Windows Installer | 手動(トリガー開始)でもOK |
それでもダメな場合:クリーンインストールという選択肢
どうしてもアップグレードが進まない場合、「クリーンインストール」を検討するのも一つの手です。
- 必要なデータをバックアップ
- Windows 11のISOをUSBに書き込む(Media Creation Tool使用)
- USBからPCを起動して新規インストール
初期化にはなりますが、不具合が一掃されるため、再構築には最適です。
クリーンインストールの手順記事はこちら>失敗しない「クリーンインストール」のやり方🍀
上級者向けの追加手段(*自己責任で行なって下さい)
1. レジストリを使ってアップグレード制限を解除
企業ネットワークやレジストリの設定が影響していることがあります。
①以下の場所を確認してみます。
②TargetReleaseVersion が 1、TargetReleaseVersionInfo に「21H2」などが指定されていると、Windows 11に固定されていないことになります。
→指定されていた場合は、適切な値に変更して下さい(もしくは削除)
2. インプレースアップグレードの裏技
Windows 10のISOをマウントし、「アップグレードインストールを再実行」してからWindows 11を上書きすると成功するケースも見受けられます。
→これにより、破損した構成を上書き修復した後にWindows 11へ移行しやすくなります。
3. デバイスドライバの完全更新
グラフィック、ストレージ、セキュリティ系ドライバが古いと、途中でブラックアウトや巻き戻しが発生します。
①デバイスマネージャから最新ドライバに更新して下さい
②メーカー公式サイトからで手動インストールしてみるのも有効です。
④最終手段としての「新規ユーザー作成」
現在のアカウントに何らかの制限や破損がある場合は、新しいMicrosoftアカウントでサインインし、そこからアップグレードを試すと成功することがあります。
⚠️注意点
Windows 10でうまくアップグレードできない場合、現在使用中のユーザープロファイルに破損や制限があるケースがあります。
その場合、新しくMicrosoftアカウント連携済みのユーザーを作成し、そのアカウントからアップグレードを実行すると成功することがあります。
ただし、この方法にはいくつかの注意点があります。
▪️データは自動で引き継がれない
新しいユーザーを作成すると、デスクトップやドキュメントなどの個人フォルダは別の場所になります。
また、必要なファイルは元のユーザーアカウントのフォルダから、手動でコピーする必要があります。
▪️アプリや設定は再構築が必要になる
アプリケーションによっては、ユーザーごとに設定が保存されており、新規ユーザーで再インストールや再設定が必要になる場合があります。
特に、OfficeやAdobe製品、Zoom、ブラウザのブックマークなどは事前に確認が必要です。
● 管理者アカウントに設定すること
新しいユーザーは必ず管理者権限で作成してください。そうでないとアップグレードや設定変更ができません。
①「設定 → アカウント
②→ 家族とその他のユーザー → ユーザーの追加
③「このユーザーに管理者権限を付与する」を忘れずに。
● 作業後に元のアカウントは削除可(慎重に)
新規ユーザーでアップグレード後、問題がなければ元のユーザーアカウントは削除できますが、必要なデータをすべて移動してからにしましょう。
削除後は復元できません。
🔍 補足:Microsoftアカウントとの連携を確認
- 新しいユーザーでサインインしたら、必ずMicrosoftアカウントでサインインしてからアップグレードを行ってください。ローカルアカウントのままではエラーになる可能性があります。
この方法は、Windowsの構成ファイルやユーザープロファイルの破損が原因でアップグレードが止まっている場合に、特に効果があります。
どうしてもアップグレードできないときの「裏技」として、ぜひ選択肢の一つにしてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q:ローカルアカウントのままでもアップグレードできますか?
A:できる場合もありますが、失敗の原因になることが多いため、Microsoftアカウントに一度切り替えるのがおすすめです。
Q:セキュアブートやTPMの設定は関係ありますか?
A:はい。BIOSでセキュアブートとTPM 2.0が有効になっている必要があります。
【補足】アップグレード作業は、たとえ要件を満たしていても必ず一度で成功するとは限りません。特に、ドライバやソフトウェアの相性、セキュリティ設定、BIOSの状態など、PCごとの細かな環境差が影響します。
この記事で紹介した方法は、多くのユーザーのアップグレード成功例をもとに整理したものですが、環境によっては個別の調整が必要になる場合もあります。
「なぜ自分のPCだけできないのか…」
と悩まずに、順番に確認を進めていけば、きっと解決につながります!!
最後に
Windows 11のアップグレードは、一見単純そうでいて、細かい設定や状態によって思わぬトラブルが起きることもあります。今回紹介したステップを順に試していただければ、多くのケースで問題が解消できるはずです。
それでもうまくいかない場合は、コメント欄や公式サポートに相談してみてください。
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