
はじめに
2025年8月に配信された Windows 11 バージョン24H2向け累積更新プログラム KB5063878 に関して、「SSDが壊れる」「更新が失敗する」といった深刻な不具合報告が相次ぎました。SNSや海外フォーラムでは「SSDが認識されなくなった」「起動しなくなった」といった声も広がり、多くのユーザーが不安を抱えている状況です。
また、企業や組織内で広く使われる WSUS(Windows Server Update Services)やSCCM(Microsoft Endpoint Configuration Manager) 環境では、エラーコード 0x80240069 により更新配信が失敗するケースも報告されています。
本記事では、これらの不具合の現状を整理しつつ、信頼できる最新情報をもとに、ユーザーや管理者が取るべき具体的な対策を丁寧に解説します。
症状として報告されていること
一般ユーザー環境での問題
- SSDが突然認識されなくなる
- 起動できなくなる
- 大容量ファイルをコピーするとフリーズや強制再起動が発生
企業・組織環境での問題
- WSUS/SCCM経由の配信でエラー 0x80240069 が発生
- 更新ログに WUAHandler エラー が残る
svchost.exe_wuauserv
がクラッシュして更新処理が止まる
SSD破壊問題の真相
最も注目を集めたのが「KB5063878を適用するとSSDが壊れる」という報告です。特に Phison製コントローラ搭載SSD(Corsair MP600/510、Kioxia Exceria G4、SanDisk Extreme Pro など)で発生しやすいとの情報が拡散しました。
一部ユーザーは「50GB以上の大容量ファイルを書き込むと不具合が発症する」と具体的な条件を示しています。
しかし最新検証では…
その後、Phison自身や複数のハードウェア系メディアが検証を実施した結果、致命的な不具合は再現できなかったと報告しています。つまり「全ユーザーに共通するバグ」ではなく、一部環境固有の要因(ファームウェア、ドライバ、個別ハード不良など)が絡んでいる可能性が高いというのが現時点での見解です。
Microsoftからも「SSD破壊を引き起こす広範な不具合」としての公式アナウンスは出ていません。
WSUS/SCCM環境での更新失敗
一方、エンタープライズ環境では深刻な更新失敗が発生しました。
- 対象更新:KB5063878(2025年8月累積更新)
- 対象OS:Windows 11 バージョン24H2
- 主な発生環境:WSUS / SCCM 管理下
エラー内容は以下のとおりです。
- 「0x80240069」でインストールが失敗
- イベントログに「Unexpected HRESULT」と記録
- 更新サービス(wuauserv)が異常終了
原因
Microsoftはこの現象について「Windows Update Agent(wuauserv)内のFeature Management機能の不具合」が原因と説明しています。Homeユーザーや個人環境では影響が小さく、主に組織内配信で問題化しました。
ユーザーが今できる対策
個人ユーザー向け
- 重要データのバックアップ
外付けSSDやOneDriveなどクラウドに保存し、最悪の事態に備える。 - 大容量書き込みを控える
50GB以上の連続コピーは避け、分割して行う。 - SSDのファームウェア更新確認
Phison搭載モデルはメーカーの最新情報を随時チェック。 - 不具合が続く場合は更新をアンインストール
KB5063878を一時的に削除して安定化を図る。
企業管理者向け
- KIR(Known Issue Rollback)の適用
Microsoftは既にKIRを配信済み。グループポリシー経由で反映可能。 - レジストリでの一時回避
Feature Variantsを無効化する方法で一時的に復旧できる。 - Microsoft Updateカタログからの直接適用
WSUS/SCCMを経由せずにテスト導入する場合に有効。 - WSUSでの再インポート
更新を「拒否」→カタログから再インポート→承認で配布エラーを解消できる。
なぜ誤解が広がったのか
今回「SSDが壊れる」という言葉が一人歩きしました。その背景には:
- 一部ユーザー環境での障害がSNSで拡散
- 不具合がストレージ関連であるため「破壊」という表現が使われやすい
- 過去にも特定更新でSSD性能低下の事例があった
といった要素があります。
重要なのは、現時点で「全ユーザー共通の致命的バグではない」という点です。ただし、個別環境で深刻な障害が出る可能性は否定できません。
今後の展望と予防策
- Microsoftは引き続き不具合調査を継続中
- SSDメーカー各社もファームウェア更新で予防的な改善を進める見込み
- 今後の累積更新で安定化が図られる可能性が高い
ユーザーができる予防策としては:
- 更新前のフルバックアップ
- BIOS/ファーム更新
- セキュアブートとTPMの有効化確認
- 適用直後のシステム動作チェック
こうした基本的な備えをしておけば、不具合に直面しても被害を最小限に抑えられます。
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【裏技】困ったときに試せる追加テクニック
通常の方法で解決できない場合でも、ちょっとした工夫で更新が通ることがあります。ここでは「裏技的」な応急処置を紹介します。
- オフラインインストールで突破
Microsoft Updateカタログから該当KB(例:KB5063878)をダウンロードし、ネットワークを切断した状態でインストールを試すと成功するケースがあります。WSUSやSCCMのポリシーに邪魔されず、純粋にパッケージだけを適用できるのがポイントです。 - 一時的にドライバ更新を止める
ストレージドライバやチップセットドライバの自動更新が競合の原因になることがあります。デバイスマネージャーで「自動更新を無効化」してから更新を実行すると安定する場合があります。終わったら必ず元に戻してください。 - セーフモード+クリーンブート更新
Windowsをセーフモードで起動し、不要な常駐アプリを止めた状態で更新を実行すると、バックグラウンド干渉を避けられます。特にウイルス対策ソフトや監視ツールが強く動いている企業PCでは有効です。 - 外付けSSD/USBからログ保存
失敗の原因を特定するにはログが欠かせません。専用USBメモリや外付けSSDにログを出力すれば、サポートにそのまま提出でき、解決が早まります。
これらはあくまで「公式推奨」ではありませんが、現場の管理者や上級ユーザーの間では実際に効果が確認されているテクニックです。
※補足:KB5063878のSSD問題は「完全には終わっていない」ものの、MicrosoftおよびSSDコントローラーメーカーのPhisonが実施した大規模なテストでは、破損の再現性は確認されていません。現在は、限定された環境での一時的・断続的な認識不良の報告があるだけです。
特に影響を受けやすい条件として、Phisonコントローラ搭載モデル・ドライブ使用率が高い・50GB以上の大容量ファイル転送・更新経路が WSUS/SCCM 管理下である等が挙げられています。
現在の推奨事項としては、
- 更新前にデータのバックアップを徹底すること
- 大容量ファイルのコピーなど高負荷処理を控えること
- Phisonのファームウェアおよび最新 Windows アップデート(修正済みのもの)が適用されているか確認すること
- 問題が継続する場合は、Microsoftの Release Health ページや SSD メーカーのサポートアナウンスを定期的に確認すること
これらを行うことで、万が一のリスクを抑えつつ安心して更新を進められるようになります。
まとめ
KB5063878は、
- 一部環境で「SSDが認識されない」との報告がある
- ただし再現性は低く、公式に「広範なバグ」とは認められていない
- WSUS/SCCM環境ではエラー0x80240069が確認され、KIRでの対応が進んでいる
という状況です。
結論として、過度に恐れる必要はありませんが、バックアップの徹底と最新情報の確認は必須です。とくに企業環境では、KIRの適用や回避策の導入を早めに行いましょう。
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