
はじめに
2025年8月の Windows 11 24H2 累積更新 KB5063878 をめぐり、SNSやコミュニティで「SSDが認識されない」「インストールが失敗する」といった報告が散見されました。一方で、Microsoft および SSDコントローラーメーカー Phison は、一般向け最新ファームウェア環境で“広範に再現する不具合は確認できていない”と説明しています。企業配信では WSUS/SCCM 経由で 0x80240069 により失敗する既知問題がありましたが、8月14日(PT)時点で解消済みと案内されています。本記事では、現状の整理と実践的な対処をまとめます。
症状として報告されていること
一般ユーザー環境での問題
- SSDが突然認識されなくなる
- 起動できなくなる
- 大容量ファイルをコピーするとフリーズや強制再起動が発生
企業・組織環境での問題
- WSUS/SCCM経由の配信でエラー 0x80240069 が発生
- 更新ログに WUAHandler エラー が残る
svchost.exe_wuauservがクラッシュして更新処理が止まる
SSD破壊問題の真相
「KB5063878 を適用すると SSD が壊れる」との投稿が拡散しましたが、Phison と Microsoft の検証では一般向け最新FWで再現せずという結果です。報告の一部はレビュー用の試作FWや個別環境要因が絡んだ可能性が高く、全ユーザー共通の致命的バグとしては確認されていません。ただし個別条件での認識不良・不安定化は報告があるため、バックアップの徹底・FW更新の確認は推奨です。
WSUS/SCCM環境での更新失敗
一方、エンタープライズ環境では、KB5063878(2025年8月の累積更新)を WSUS/SCCM 経由で配布した際に、インストールが失敗するケースが確認されました。主な症状は次のとおりです。
- 0x80240069 で失敗
- イベントログに “Unexpected HRESULT” などの記録
- wuauserv(Windows Update サービス)の予期せぬ停止ログ
これらは Microsoft が既知の問題として公開し、2025年8月14日(PT)に解消済みと案内されています。影響は主として WSUS 配信経路で発生し、個人(Windows Update 直配)では再現しにくい傾向でした。
管理者向けの実務対処
- 最新のメタデータへ更新:WSUS で該当更新を「拒否→同期→再インポート→再承認」し、再配信をテスト。
- KIR(Known Issue Rollback)の適用:該当する環境ではポリシー反映で影響を緩和。状況が改善しない場合は一時的にカタログからのスタンドアロン適用で切り分ける。
- 失敗端末の基本整備:WUA リセット(SoftwareDistribution 初期化)、wuauserv のエラーログ確認後に再試行。
注:Microsoft の公開情報では「内部の特定コンポーネント不具合」を断定する説明は提示されていません。原因の技術的断定は避け、公式の“既知の問題→解消済み”の扱いに準拠するのが安全です。
ユーザーが今できる対策
個人ユーザー向け
- バックアップ徹底(外付けSSD/OneDrive)
外付けSSDやOneDriveなどクラウドに保存し、最悪の事態に備える。 - 大容量コピーは分割(報告例ベース)
50GB以上の連続コピーは避け、分割して行う。 - SSDのファームウェア更新確認
Phison搭載モデルはメーカーの最新情報を随時チェック。 - 症状が出る場合は更新の一時アンインストール→次回更新で再評価
KB5063878を一時的に削除して安定化を図る。
企業管理者向け
- KIR適用(該当ポリシー反映)
Microsoftは既にKIRを配信済み。グループポリシー経由で反映可能。 - レジストリでの一時回避
Feature Variantsを無効化する方法で一時的に復旧できる。 - カタログ経由テスト適用(WSUS/SCCMを介さず切り分け)
WSUS/SCCMを経由せずにテスト導入する場合に有効。 - 再インポート/再承認でメタデータを更新
更新を「拒否」→カタログから再インポート→承認で配布エラーを解消できる。 - 失敗端末は wuauserv 停止ログ確認→WUAリセット→再試行
※ 原因の詳細は公開範囲が限られるため、“Feature Management が原因”と断定する記述は避けるのが安全です
なぜ誤解が広がったのか
今回「SSDが壊れる」という言葉が一人歩きしました。その背景には:
- 一部ユーザー環境での障害がSNSで拡散
- 不具合がストレージ関連であるため「破壊」という表現が使われやすい
- 過去にも特定更新でSSD性能低下の事例があった
といった要素があります。
重要なのは、現時点で「全ユーザー共通の致命的バグではない」という点です。ただし、個別環境で深刻な障害が出る可能性は否定できません。
今後の展望と予防策
- Microsoftは引き続き不具合調査を継続中
- SSDメーカー各社もファームウェア更新で予防的な改善を進める見込み
- 今後の累積更新で安定化が図られる可能性が高い
ユーザーができる予防策としては:
- 更新前のフルバックアップ
- BIOS/ファーム更新
- セキュアブートとTPMの有効化確認
- 適用直後のシステム動作チェック
こうした基本的な備えをしておけば、不具合に直面しても被害を最小限に抑えられます。
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【裏技】困ったときに試せる追加テクニック
通常の方法で解決できない場合でも、ちょっとした工夫で更新が通ることがあります。ここでは「裏技的」な応急処置を紹介します。
- オフラインインストールで突破
Microsoft Updateカタログから該当KB(例:KB5063878)をダウンロードし、ネットワークを切断した状態でインストールを試すと成功するケースがあります。WSUSやSCCMのポリシーに邪魔されず、純粋にパッケージだけを適用できるのがポイントです。 - 一時的にドライバ更新を止める
ストレージドライバやチップセットドライバの自動更新が競合の原因になることがあります。デバイスマネージャーで「自動更新を無効化」してから更新を実行すると安定する場合があります。終わったら必ず元に戻してください。 - セーフモード+クリーンブート更新
Windowsをセーフモードで起動し、不要な常駐アプリを止めた状態で更新を実行すると、バックグラウンド干渉を避けられます。特にウイルス対策ソフトや監視ツールが強く動いている企業PCでは有効です。 - 外付けSSD/USBからログ保存
失敗の原因を特定するにはログが欠かせません。専用USBメモリや外付けSSDにログを出力すれば、サポートにそのまま提出でき、解決が早まります。
これらはあくまで「公式推奨」ではありませんが、現場の管理者や上級ユーザーの間では実際に効果が確認されているテクニックです。
※補足:KB5063878のSSD問題は「完全には終わっていない」ものの、MicrosoftおよびSSDコントローラーメーカーのPhisonが実施した大規模なテストでは、破損の再現性は確認されていません。現在は、限定された環境での一時的・断続的な認識不良の報告があるだけです。
特に影響を受けやすい条件として、Phisonコントローラ搭載モデル・ドライブ使用率が高い・50GB以上の大容量ファイル転送・更新経路が WSUS/SCCM 管理下である等が挙げられています。
現在の推奨事項としては、
- 更新前にデータのバックアップを徹底すること
- 大容量ファイルのコピーなど高負荷処理を控えること
- Phisonのファームウェアおよび最新 Windows アップデート(修正済みのもの)が適用されているか確認すること
- 問題が継続する場合は、Microsoftの Release Health ページや SSD メーカーのサポートアナウンスを定期的に確認すること
これらを行うことで、万が一のリスクを抑えつつ安心して更新を進められるようになります。
※ 一部の報告では大容量(約50GB以上)の連続書き込み時に不安定化が見られたとされますが、公式の再現条件としては確定していません。症状が出る場合は、分割コピーや一時的な更新アンインストールで安定化するケースがあります。
まとめ
KB5063878は、
- 一部環境で「SSDが認識されない」との報告がある
- ただし再現性は低く、公式に「広範なバグ」とは認められていない
- WSUS/SCCM環境ではエラー0x80240069が確認され、KIRでの対応が進んでいる
という状況です。
結論として、過度に恐れる必要はありませんが、バックアップの徹底と最新情報の確認は必須です。とくに企業環境では、KIRの適用や回避策の導入を早めに行いましょう。
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