
はじめに
Windows 11(とくに24H2)でこの機能が使えない/消えたという報告が相次いでいます。2025年春~初夏にかけて、一部の更新プログラム適用後に「Print to PDF」が壊れる・仮想プリンターが一覧から消える事象が発生し、7月の更新でMicrosoftが修正した経緯があるのです。
このため「そもそも何の機能?」「印刷できない/0KBになる」「一覧から消えた」といった疑問やトラブル解決の検索が一気に増えています。
基本解説:「Print to PDF」は“仮想プリンター”
Microsoft Print to PDFは、紙に出力する代わりにPDFファイルを生成する“仮想プリンター”です。Word/Excel/ブラウザなど印刷できるアプリなら何でもPDF化できます。レイアウトは“印刷結果”に準じるため、リンクやブックマークは失われるなど「エクスポート(保存)としてのPDF」とは性格が違います。
「保存(エクスポート)としてPDF」との違い・向き不向き
- Print to PDF:紙面基準。余白・用紙サイズ・拡大縮小など“印刷設定”で見た目が決まる。リンク/ブックマークは基本的に無効。
- エクスポート(Save as PDF):アプリ側のレイアウトやリンクを保持しやすい。電子配布や編集を前提にするならこちら。
使い方:3ステップ(どのアプリでもほぼ共通)
- 対象アプリで Ctrl + P(印刷)
- プリンターを 「Microsoft Print to PDF」 に変更
- 印刷(Print) → 保存場所とファイル名を指定して完了
※Office、ブラウザ、メモ帳など共通。PDFの見た目は印刷設定(向き、余白、用紙サイズ、倍率)で調整できます。
いま起きている不具合(2025年)
- 2025年4月のプレビュー以降、一部の環境でPrint to PDFが壊れる/一覧から消える事象が発生しています。
- 2025年7月の非セキュリティ更新で修正(以降の累積更新にも含まれる)。最新のWindows Updateを適用すると改善する可能性があります。
補足:同系の不具合は24H2系で過去にも断続的に話題になりました(新規ISOや一部ビルドで欠落・再インストールが必要などの報告)。
トラブル別・最速の復旧チェックリスト
A. プリンター一覧から「Microsoft Print to PDF」が消えたとき
症状:印刷画面を開いても「Microsoft Print to PDF」が選択肢に出てこない。
手順1:Windowsの機能で再度ONにする
- キーボードで Winキー + R を押す
- 「ファイル名を指定して実行」に
optionalfeatures.exe
と入力 → OK - 「Windowsの機能」という画面が出るので、一覧から Microsoft Print to PDF を探す
- チェックを入れて「OK」 → 再起動
※すでにチェックが入っている場合は、一度外して再起動 → もう一度チェックを入れて再起動すると“再構成”になります。
手順2:コマンドで再インストールする方法(少し上級者向け)
- スタートボタンを右クリック → 「Windowsターミナル(管理者)」 を開く
- 以下のコマンドを1行ずつ入力し、Enterを押します。
dism /Online /Disable-Feature /FeatureName:"Printing-PrintToPDFServices-Features" /NoRestart dism /Online /Enable-Feature /FeatureName:"Printing-PrintToPDFServices-Features"
- 実行が終わったら再起動し、プリンター一覧に戻っているか確認
手順3:手動でプリンターを追加する
- 「設定」 → 「Bluetoothとデバイス」 → 「プリンターとスキャナー」を開く
- 上部の「プリンターまたはスキャナーを追加する」をクリック
- 少し待っても出てこない場合は、下部にある「一覧にないプリンターを追加する」をクリック
- 「ローカルプリンターを手動で追加」 → ポートは「PDF(Local Port)」を選択
- メーカーを「Microsoft」、プリンターを「Microsoft Print to PDF」にして追加
B. 「保存したPDFが0KBで開けない」とき
症状:ファイルは保存されるがサイズがゼロ。開こうとしても「破損している」などと表示される。
対処1:印刷スプーラーを再起動する
- スタートボタンを右クリック → 「Windowsターミナル(管理者)」を開く
- 以下のコマンドを順に入力してEnter
net stop spooler net start spooler
- アプリを閉じて再度PDF保存を試す
対処2:ファイル名に注意する
- 半角カンマ(,)や記号がファイル名に含まれていると、0KBになることがあります。
- 「test,2025.pdf」ではなく「test-2025.pdf」のように保存してみてください。
C. 更新後から有効化できない/エラーが出るとき
症状:Windows Update後に「機能の有効化」でエラーコード(0x800F0922など)が表示される。
解決の流れ
- 最新のWindows Updateを適用
- Microsoftが7月の累積更新で修正を配布済みなので、まずはWindows Updateを確認してインストールしてください。
- DISMコマンドで機能を再登録(手順A-2を参照)
- 手動でプリンターを追加(手順A-3を参照)
- 企業や学校のPCで改善しない場合は、管理者に依頼して「最新の更新を統合したインストールメディア」を使ってもらう必要があることもあります。
D. とりあえずPDFにしたいとき(代替手段)
「すぐにPDF化が必要!でも直す時間がない」場合は以下の方法を。
- WordやExcel → 「エクスポート」→「PDFとして保存」
- EdgeやChrome → 「印刷」→「送信先:PDFに保存」
- 一時的にサードパーティのPDFプリンター(CutePDF、PDFCreatorなど)を使う
代替ルート:それでも急ぎでPDF化したいとき
- Officeの「エクスポート→PDF」(Word/Excel/PowerPoint)
- Chromium系ブラウザの「印刷→送信先:PDFに保存」(ブラウザ内蔵のPDF出力)
- 一時的にサードパーティのPDFプリンター(CutePDF、PDFCreator、Foxit など)を使う手もあり。
ただし、セキュリティや広告同梱に注意。標準機能が直るまでの一時回避として使うのが無難です。
よくある疑問Q&A
Q1. Print to PDFと「PDFに保存(エクスポート)」はどっちを使えばいい?
A. 見た目を紙面基準で固めたい(印刷物と同じ仕上がりにしたい)ならPrint to PDF。リンク保持や再編集性を重視するならエクスポートを選ぶのが基本。
Q2. 0KB問題の再発を避けたい
A. まずは最新のWindows Updateを適用。症状が続く場合はスプーラー再起動や再構成(OFF→ON / DISM)、手動追加の順で。ファイル名は記号を避けるのも実務的なコツ。
Q3. 一覧にない・追加に失敗する
A. Windowsの機能とDISMで機能を再登録し、PDF(Local Port)を使って手動追加。企業展開環境では最新更新を統合したメディア利用を。
[PR] スポンサーリンク
Windows本のおすすめ(日本Amazon)
Windows 10/11の設定見直し・トラブル対応・最新機能のキャッチアップに役立つ定番の解説書です。
※価格・在庫・読み放題対象は変動します。リンク先で必ず最新情報をご確認ください。
※本ボックスにはアフィリエイトリンクを含みます(収益はサイト運営費に充当されます)。
まとめ
「Microsoft Print to PDF」は、Windowsに標準搭載されている便利な仮想プリンター機能です。WordやExcel、ブラウザから直接PDFを作れるため、仕事や学習、日常のちょっとした保存用途まで幅広く活躍します。
しかし、2025年のWindows 11アップデート以降、一部環境で「一覧から消えた」「0KBのファイルになる」といった不具合が発生し、検索が急増しました。現在はMicrosoftの累積更新で修正が進んでいますが、同じような症状が再発する可能性もゼロではありません。
重要なポイントは次の3つです。
- 最新のWindows Updateを適用することが最優先の対処法
- 消えた場合は「Windowsの機能」やDISMコマンドで再構成可能
- どうしても直らない場合は代替のPDF保存機能や外部ソフトを活用できる
この3ステップを理解しておけば、急に使えなくなっても慌てず対応できます。
おすすめ関連記事
・Windows 11でよくある不具合と自分で出来るカンタン解決法
・Windows 11のEcoモードと省エネ設定で電気代を節約する方法
・Windowsパソコンの動きが遅い!7つの原因と直し方(作業手順付き)