
Windows PCでWebサイトに新規登録やログインをするとき、
ブラウザがこんなふうに聞いてくることがあります。
- 「強力なパスワードを提案します」
- 「このパスワードを保存しますか?」
- 「Edgeにパスワードを保存しますか?」
そこで、
「じゃあお願いします〜」
と保存を任せたのに ——
次にログインしようとしたら、なぜか何も出てこない。
「いや、そっちが『これ使いませんか?』って言ったやん……😡」
と、思わずツッコミたくなるやつです。
結論からいうと、これは あなたが悪いわけではなく、
- ブラウザ(Edge/Chrome)が
- サイト側のログイン画面の“挙動”をうまく読み取れず
- 「保存したつもりが保存されていない」
という 仕様+タイミングの問題 であることがほとんどです。
この記事では、
- なぜ「保存したはずのパスワード」が出てこないのか
- 二度と同じ目にあわないための具体的な対策
- すでにパスワードを忘れてしまったときのリカバリー方法
を、Windowsユーザー向けにわかりやすくまとめます。
1. あの「これ使いませんか?」の正体はなに?
まず、あの提案の正体から整理しておきます。
● Edgeの場合
Windows 11で標準のブラウザである Microsoft Edge には、
- 強力なパスワードの自動生成
- サイトごとのID/パスワード保存
- Microsoftアカウントとの同期
といった機能があり、
パスワード入力欄をクリックすると、
「このパスワードを使用しますか?」
「パスワードを保存しますか?」
といったダイアログが表示されます。
● Chromeの場合
Google Chromeでもほぼ同様で、
- 「強力なパスワードを生成」
- 「パスワードを保存しますか?」
といったメッセージが出ます。
つまり、
「これ使いませんか?」=各ブラウザのパスワードマネージャー機能
です。
2. 「保存したのに出てこない」問題のよくある原因
では、なぜ
「保存したはずなのに、次回ログイン時に何も出てこない」
という現象が起きるのでしょうか?
主な原因は、つぎのようなものです。
2-1. サイト側のフォームが“特殊”で、ブラウザが送信を検知できない
パスワードの保存は、
「フォームが送信された(ログイン or 新規登録された)」
というイベントをブラウザが検知することで行われます。
しかし近年のWebサイトでは、
- JavaScriptでログインボタンを処理している
- 画面遷移しないタイプのログイン(SPA)
- フォームの構造が独自実装
- iFrame内でログイン画面を表示している
といった ちょっと変わった作り になっていることが多く、
ブラウザ側が
「今、ログインが完了した!」
と認識できないケースが増えています。
その結果、
- ブラウザが強力なパスワードを提案する
- 入力まではできる
- しかし「送信された」と判断できない
- → 保存処理が動かない
という流れで、
「保存したはずなのに、保存されていない」問題 が起きます。
2-2. 既存のパスワードがあって“上書き保存”されない
すでにそのサイトのパスワードが
ブラウザに登録されている場合、
- 新しいパスワードを入力しても、
- “別のパターン”として保存されなかったり、
- そもそも「保存しますか?」が出ない
ことがあります。
特に、
- 同じメールアドレスを使っているのに
- 過去に違うパスワードで保存していた
といったケースでは、
古い情報だけが残り、新しいものが保存されない ことも。
2-3. URLやサブドメインが違っていて、紐づけに失敗
パスワードマネージャーは、
https://example.comhttps://login.example.comhttps://service.example.com
のような ドメイン情報 と
ID/パスワードをセットで覚えています。
登録したときとログイン時で
- サイトのURLが変わっていたり
- 別のサブドメインに飛ばされていたり
すると、
「あれ? 同じサイトだと判断できないな…」
となり、候補として表示されない 場合があります。
2-4. Microsoftアカウント/Googleアカウントとの同期遅延・不具合
EdgeやChromeで同期をONにしている場合、
- 別PCとの同期
- クラウド側の反映
のタイミングの問題で、
保存した直後には出てこない こともあります。
また、
- 同期自体がOFFになっている
- 職場PCなどポリシーで制限されている
場合も、思ったように保存されません。
2-5. ブラウザ側のバグ・一時的な不具合
身も蓋もない話ですが、
- ブラウザのバージョン不具合
- 一時的なクラッシュ
- 拡張機能との相性
などで
保存処理が途中で失敗する こともあります。
「自分で提案しといて知らん顔」
という現象は、実は珍しくありません。
3. 本当に保存されているか確認する方法
まずは「本当に保存されていないのか?」を確認してみましょう。
3-1. Edgeで確認する
- Edge右上の「…」メニューをクリック
- [設定] を開く
- 左メニューから [プロファイル] → [パスワード] を選択
- 「保存されたパスワード」の一覧から、
サイト名やURLで検索する
ここに出てこなければ、
Edgeには保存されていません。
3-2. Chromeで確認する
- Chrome右上の「︙」メニュー → [設定]
- 左メニューから [自動入力] → [パスワードマネージャー]
- 「保存されているパスワード」でサイト名を検索
同様に、ここに出てこなければ
Chromeにも保存されていません。
3-3. Windowsの「資格情報マネージャー」も一応確認
EdgeやChromeとは別に、
Windows本体にも「資格情報マネージャー」があります。
- 検索バーに「資格情報マネージャー」と入力
- [Windows 資格情報] または [Web 資格情報] を開く
- 該当サイトがあるか確認
※ ただし最近はChrome/Edge内にだけ保存されているケースが多く、
ここに無くても不思議ではありません。
4. 二度と同じ目にあわないための対策
ここからが本題です。
「もう二度と、あのイラつきを味わいたくない」 という方は、
次の対策を習慣にしておくのがおすすめです。
4-1. 自動提案パスワードは、まず「自分でコピーしてメモ」に退避する
一番確実でシンプルな対策です。
- EdgeやChromeが提案したパスワードを
右クリック → コピー(または[コピー]ボタン) - メモ帳/OneNote/自分用のパスワードメモなどに貼り付けておく
- その後、サイトで登録やログインを完了
- ブラウザの「パスワードを保存しますか?」が出たらOKを押す
💡 ポイント
- 「保存できなかった」ときでも、
メモ帳に控えが残っているので 大事故にならない - あとからパスワードマネージャーに
手動で登録することも可能
4-2. 保存直後に、パスワード一覧で“本当に入ったか”確認する
登録作業が終わったら、その場で一度、
- Edge → [設定] → [プロファイル] → [パスワード]
- Chrome → [設定] → [自動入力] → [パスワードマネージャー]
を開き、該当サイトが登録されているか確認しておきましょう。
もしこの時点で、
「あれ? 一覧にない……」
という場合は、保存に失敗しています。
そのときは、
- メモしておいたパスワードを使ってもう一度ログイン
- 一覧画面の「パスワードを追加」で
サイトURL/ユーザー名/パスワードを手動登録
としておけば安心です。
4-3. Microsoftアカウント/Googleアカウントの同期をONにする
PCを複数台持っている場合や、
あとでスマホからも同じパスワードを使いたい場合は、
同期機能をONにしておく ことをおすすめします。
Edgeでの同期設定
- Edge右上のアイコン(アカウント)をクリック
- 「同期」または「アカウント管理」を開く
- 「パスワード」の同期をONに
Chromeでの同期設定
- Chrome右上のユーザーアイコンをクリック
- [同期を有効にする] → Googleアカウントでログイン
- 「パスワード」の同期をONに
4-4. 専用パスワードマネージャーを使う(上級者向け)
どうしてもブラウザの保存に不安がある場合は、
- Bitwarden
- 1Password
- KeePass派生ツール など
の パスワード管理専用アプリ を使う方法もあります。
これらは、
- 自動生成パスワードの保存精度が高い
- サイトとアカウントの紐づけも安定
- バックアップやエクスポートも行いやすい
といったメリットがあります。
※ 有料のものもありますが、
重要なアカウントが多い方は検討の価値ありです。
4-5. 大事なアカウントだけは「自分でルールを決めたパスワード」にしておく
全部を自動生成パスに任せると、
どれがどのサイトだったのか混乱しがちです。
そこで、
- 金融機関
- メールアドレス
- Apple ID/Microsoftアカウント
- 仕事で使う重要アカウント
など 絶対に失いたくないものだけは、
- 自分で作ったルール(例:単語+記号+数字)で
- 覚えられるレベルの強度高めパスワード
にしておくのも1つの考え方です。
もちろん、
これも最終的にはパスワードマネージャーに保存しておきます。
5. すでにパスワードがわからないときのリカバリー手順
「そんなこと言われても、もう忘れちゃったんですが……」
という場合は、落ち着いて次の手順を試してみてください。
- ログイン画面を開く
- 「パスワードを忘れた」「Forgot password」などのリンクをクリック
- 登録メールアドレスまたは電話番号を入力
- 届いたメールのリンクからパスワードリセット
このとき、新しく設定するパスワードは必ずメモしておき、
- ブラウザのパスワード一覧
- できれば専用パスワードマネージャー
にも登録しておきましょう。
6. それでも「自動提案パス使いたい!」という方へのコツ
- 自動提案されたパスワードは、必ず1回どこかにコピーして退避
- 登録が終わった直後に、保存一覧で確認
- 「保存しますか?」ダイアログが出なかった場合は、
手動でパスワードマネージャーに追加
この3ステップを習慣にしておくだけで、
「保存したはずなのに出てこない!」
という事故をほぼ防げます。
7. まとめ:イラっとするけど、あなたのせいではない問題です
最後に、ポイントを整理します。
- 「これ使いませんか?」と自動提案しておきながら
保存されていないのは、仕様+タイミングの問題 - サイト側のフォーム構造や同期不具合などで、
ブラウザが保存処理を実行できないことがある - 自分のミスというより、ブラウザとサイトの相性の悪さ に近い
- 二度と困らないためには、
- 提案されたパスワードを まず自分でもコピーして控える
- 保存直後に 一覧で登録を確認
- 必要に応じて 手動でパスワードマネージャーに追加
自動提案パスワードは、とても便利な反面、
「100%ブラウザ任せ」はまだ少し危ういところがあります。
この記事を読んだ方には、
「任せっぱなしではなく、一歩先回りして守る」
という感覚を持っていただけたら嬉しいです。
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