
Windows 11でアプリやファイルを探すとき、スタートメニューを開いて名前を入力している方も多いのではないでしょうか。
ただ、Windows検索では目的のファイルがなかなか見つからなかったり、検索結果にWeb情報が混ざったりして、少し使いにくいと感じることもあります。
そのようなときに役立つのが「Raycast(レイキャスト)」です。
Raycastは、キーボードからアプリやファイルをすばやく探せるランチャーアプリです。もともとはMac向けのツールとして知られていましたが、現在はWindows版も提供されています。
アプリの起動だけでなく、ファイル検索やクリップボード履歴、ウィンドウ整理、AIチャットなど、複数の便利機能をひとつの画面から利用できます。
この記事では、Windows 11版Raycastでできることやインストール方法、無料で使える範囲、利用前に知っておきたい注意点を初心者の方にもわかりやすく解説します。
Raycastとは?
Raycastは、パソコン上のさまざまな操作をキーボードから呼び出せる多機能ランチャーです。
ランチャーとは、アプリや機能をすばやく起動するためのツールのことです。
Raycastを呼び出してアプリ名や操作内容を入力すると、スタートメニューや設定画面を何度も開かなくても、目的の操作へ移動できます。
主な機能は次のとおりです。
- インストールされているアプリの検索・起動
- パソコン内のファイル検索
- 開いているウィンドウの移動・サイズ変更
- コピーした文章などの履歴確認
- 定型文の登録
- Webサイトやページへのショートカット作成
- 計算や単位変換
- AIによる質問・要約・文章作成
- 拡張機能による機能追加
すべての機能を使う必要はありません。
最初は「アプリを探して起動する」「ウィンドウを左右に並べる」など、わかりやすい機能から試すと使い方をつかみやすくなります。
RaycastのWindows版は正式版?
Raycastは長くMac向けアプリとして提供されていましたが、2025年11月にWindows版のパブリックベータが公開されました。
2026年9月現在は、公式サイトやMicrosoft StoreからWindows版を入手でき、継続的に機能追加と改善が行われています。
そのため、基本的な機能は利用できるものの、Mac版にある機能や拡張機能の一部がWindowsでは利用できない場合があります。また、アップデートによって画面や操作方法が変わる可能性もあります。
業務で欠かせない操作をすぐにRaycastへ置き換えるより、まずは補助ツールとして試すと安心です。
Raycastでできること
アプリをすばやく検索して起動できる
Raycastを呼び出してアプリ名を入力すると、インストールされているアプリを検索できます。
たとえば「Excel」「Edge」「メモ帳」などと入力し、検索結果から目的のアプリを選んで起動します。
よく使うアプリをタスクバーへ大量に並べなくても、キーボードから呼び出せるのが便利な点です。
アプリ名を完全に入力しなくても候補が表示されるため、Windowsのスタートメニューを開いて探すより早く操作できることがあります。
ファイルを検索できる
Raycastには、パソコン内のファイルを探す機能もあります。
保存場所を忘れてしまったPDFやWordファイルなども、ファイル名の一部から検索できます。
ただし、OneDrive上にだけ保存され、パソコンへダウンロードされていないファイルなどは、状態によって検索結果に表示されない可能性があります。
ファイルが見つからない場合は、エクスプローラーやOneDriveの検索もあわせて確認してみてください。
ウィンドウを見やすく整理できる
複数のアプリを開いて作業するときは、ウィンドウ管理機能が役立ちます。
たとえば、次のような配置を呼び出せます。
- ウィンドウを画面の左半分に配置
- 右半分に配置
- 画面いっぱいに最大化
- 中央へ移動
- 指定した大きさへ変更
- 別のディスプレイへ移動
ブラウザを見ながらWordへ入力したり、資料を確認しながらExcelで作業したりするときにも便利です。
Windows 11にもスナップレイアウトがありますが、Raycastではコマンド検索やショートカットから配置を実行できます。
クリップボード履歴を利用できる
Raycastでは、以前コピーした文章や情報をクリップボード履歴から探して、もう一度貼り付けられます。
Windows 11にも「Windowsキー+V」で呼び出せるクリップボード履歴がありますが、Raycastではほかの機能と同じ検索画面から利用できるのが特徴です。
ただし、クリップボードにはメールアドレスやパスワードなど、重要な情報が含まれる場合があります。
共有パソコンでは履歴の扱いに注意し、不要な情報は残さないようにしておくと安心です。
定型文をすばやく入力できる
Raycastの「Snippets」を利用すると、よく使う文章を定型文として登録できます。
たとえば、次のような文章に向いています。
- メールのあいさつ文
- 住所や連絡先
- よく使う返信文
- 商品説明
- HTMLコード
- SNS投稿で使う定型文
短いキーワードから長い文章を呼び出せるため、同じ内容を何度も入力する作業を減らせます。
有料プランではAIチャットを利用できる
Raycastの有料プランでは、文章の作成や要約、翻訳、質問への回答などを行えるAI機能も利用できます。
文章の作成や要約、翻訳、質問への回答などを、Raycastの画面から行えます。
2026年9月11日に公開されたRaycast v2.3ではAI機能が強化され、依頼された内容に応じて計画を立て、利用可能な機能を使いながら作業を進める仕組みが追加されました。
有料プランでは、対象となるChatGPTやClaudeの契約をRaycastへ接続して利用できる機能も提供されています。
ただし、RaycastのAI機能と、ChatGPTやClaudeの公式アプリは別のサービスです。利用できるモデルや回数、必要な契約はプランによって異なるため、申し込み前に最新の料金ページを確認しておくと安心です。
Raycastは無料で使える?有料プランの料金は?
Raycastには、無料プランと3種類の個人向け有料プランがあります。
無料プランでも、アプリやファイルの検索、ウィンドウ管理、クリップボード履歴、定型文、Quicklinksなどの基本機能を利用できます。
一方、AIチャットやAIエージェント、クラウド同期などを利用するには、有料プランへの加入が必要です。
2026年9月時点の個人向け料金は次のとおりです。
| プラン | 月払い | 年払い | 毎月のAIクレジット |
|---|---|---|---|
| Free | 無料 | 無料 | なし |
| Pro | 月額10ドル | 年額96ドル | 500 |
| Plus | 月額20ドル | 年額192ドル | 3,000 |
| Max | 月額50ドル | 年額480ドル | 7,500 |
たとえば1ドル150円で計算すると、Proは月額約1,500円、Plusは約3,000円、Maxは約7,500円です。実際の請求額は為替レートやカード会社の手数料などによって変わります。
有料プランでは、AI機能のほか、クリップボード履歴の保存期間が無制限になり、クラウド同期や無制限のRaycast Notesなども利用できます。
なお、高性能なAIモデルはPlusまたはMaxが対象です。Proでは利用できるAIモデルに一部制限があります。
AIを使わず、アプリ検索や画面整理を中心に利用する場合は、無料プランでも十分試せます。まずは無料で使用感を確認してから、有料プランを検討するとよいでしょう。
※料金や機能は変更される可能性があります。申し込み前にRaycast公式料金ページをご確認ください。
RaycastをWindows 11へインストールする方法
RaycastのWindows版は、公式サイトまたはMicrosoft Storeから入手できます。
公式サイトからインストールする場合
- RaycastのWindows版公式ページを開きます。
- Windows版のダウンロードボタンを選択します。
- ダウンロードしたインストーラーを開きます。
- 画面の案内に沿ってインストールします。
- Raycastを起動し、初期設定を行います。
Microsoft Storeを利用できない環境でも、公式サイトからダウンロードできます。
検索結果に表示された非公式な配布サイトではなく、Raycast公式サイトまたはMicrosoft Storeから入手するのが安心です。
wingetを使ってインストールする場合
Windows Package Managerの「winget」を利用している場合は、ターミナルから次のコマンドでもインストールできます。
winget install raycastコマンド操作に慣れていない場合は、公式サイトまたはMicrosoft Storeからのインストールで問題ありません。
Raycastの基本的な使い方
Raycastをインストールすると、設定されたキーボードショートカットから検索画面を呼び出せます。
初期設定や使用環境によってショートカットが異なる場合があるため、画面に表示されるキーを確認してください。ほかのアプリと重複している場合は、Raycastの設定から変更できます。
基本的な操作の流れは次のとおりです。
- Raycastのショートカットキーを押します。
- 起動したいアプリや使いたい機能を入力します。
- 検索結果から目的の項目を選びます。
- Enterキーを押して実行します。
たとえば、ウィンドウを左側へ移動したい場合は「Left」、クリップボード履歴を開きたい場合は「Clipboard」など、機能名を入力して探します。
英語表記の機能もありますが、一度使った操作にショートカットキーや別名を割り当てれば、毎回長い名前を入力する必要はありません。
Windows検索やPowerToys Runとの違い
Windows 11には標準の検索機能があり、Microsoft PowerToysにも「PowerToys Run」というランチャー機能があります。
それぞれの主な違いは次のとおりです。
| 機能 | Windows検索 | PowerToys Run | Raycast |
|---|---|---|---|
| アプリ検索 | 対応 | 対応 | 対応 |
| ファイル検索 | 対応 | 対応 | 対応 |
| Web検索 | 対応 | 対応 | 対応 |
| ウィンドウ管理 | 別機能で対応 | FancyZonesで対応 | 同じ画面から呼び出し可能 |
| クリップボード履歴 | Windowsキー+V | 基本的になし | 対応 |
| 定型文 | 基本的になし | 一部機能で対応 | 対応 |
| AI機能 | Copilotなどを利用 | プラグインなどによる | AI機能を搭載 |
| 拡張機能 | 限定的 | プラグイン対応 | ストアから追加可能 |
アプリやファイルを探すだけなら、Windows検索でも十分です。
PowerToysをすでに利用している場合は、PowerToys RunやFancyZonesで同じような操作ができるため、無理にRaycastへ変更する必要はありません。
一方、アプリ検索、定型文、画面整理、AIなどをひとつのランチャーにまとめたい方には、Raycastが使いやすいでしょう。
Raycastを利用するときの注意点
Windows版は機能が変わる可能性がある
Windows版は頻繁にアップデートされています。
この記事で紹介した画面や機能の場所が、今後の更新で変更される可能性があります。
うまく操作できない場合は、Raycastの更新状況や公式変更履歴も確認してみてください。
Mac版と同じ機能がすべて使えるとは限らない
インターネット上にはMac版Raycastの解説記事や動画が多くあります。
Mac版で紹介されている拡張機能や操作が、Windows版では利用できない場合もあるため、「Windows対応」と表示されているか確認が必要です。
AIへ機密情報を入力しない
AI機能を利用するときは、個人情報や業務上の機密情報をそのまま入力しないよう注意が必要です。
たとえば、次のような情報は入力前に削除または伏せ字にすると安心です。
- 氏名や住所
- 電話番号やメールアドレス
- パスワード
- 顧客情報
- 未公開の社内資料
- クレジットカード情報
会社のパソコンでは、外部AIサービスや拡張機能の利用が禁止されている場合もあります。勤務先のルールを確認してから利用してください。
拡張機能の権限を確認する
Raycastは拡張機能を追加することで、さまざまなサービスと連携できます。
ただし、拡張機能によっては外部サービスへのログインや、ファイルなどへのアクセス権限が必要です。
提供元や必要な権限を確認し、使わない拡張機能はむやみに追加しないほうが安心です。
Raycastが向いている人
Raycastは、次のような方に向いています。
- アプリを探す時間を短くしたい
- キーボード中心で操作したい
- 複数のウィンドウを頻繁に並べ替える
- 定型文を何度も入力している
- Windows検索が使いにくいと感じている
- AIや便利機能をひとつの画面から使いたい
- PowerToys Runとは違うランチャーも試してみたい
反対に、普段使うアプリが少なく、タスクバーやスタートメニューだけで困っていない場合は、急いで導入する必要はありません。
パソコンの操作に慣れていない方は、まずアプリ検索とウィンドウ整理だけ試してみるとよいでしょう。
Raycastが不要になった場合のアンインストール方法
Raycastが合わなかった場合は、Windows 11の設定から削除できます。
- 「スタート」を開きます。
- 「設定」を選択します。
- 「アプリ」を開きます。
- 「インストールされているアプリ」を選択します。
- 一覧から「Raycast」を探します。
- 右側の「…」を選択します。
- 「アンインストール」を選択します。
アンインストールしても、通常はRaycastから起動していた元のアプリやファイルまで削除されることはありません。
ただし、Raycast内に登録した設定や定型文などを残しておきたい場合は、削除前に同期やバックアップの設定を確認してください。
よくある質問
Raycastは日本語で使えますか?
日本語のアプリ名やファイル名を検索することはできます。
ただし、設定画面や一部の機能名が英語で表示される場合があります。日本語だけで使えるWindowsアプリを探している方には、少しわかりにくく感じる可能性があります。
Raycastを使うにはアカウントが必要ですか?
利用する機能によって異なります。
基本機能を試せる場合でも、設定の同期やAI、有料機能などではアカウントへのログインが必要になることがあります。インストール後の案内を確認し、必要な機能だけ設定するとよいでしょう。
Raycastを入れるとWindows検索は使えなくなりますか?
Raycastをインストールしても、Windows 11の検索機能は引き続き利用できます。
Raycastが合わないと感じた場合は、これまでどおりスタートメニューやタスクバーの検索を使えます。
PowerToysと一緒に使えますか?
基本的には併用できます。
ただし、PowerToys Runなどとショートカットキーが重複すると、片方が開かないことがあります。その場合は、どちらかの設定で呼び出しキーを変更してください。
Raycastは安全ですか?
Raycastは公式サイトやMicrosoft Storeから入手できますが、どのアプリにも情報の取り扱いや拡張機能に関する注意は必要です。
公式の配布元からインストールし、拡張機能の提供元や権限を確認しながら利用することが大切です。
ChatGPT Plusに入っていればRaycastでも使える?
2026年9月に公開されたRaycast v2.3では、有料のRaycastプランに加入している場合、対象となるChatGPTやClaudeの契約をRaycastへ接続できるようになりました。
ただし、ChatGPT Plusに入っているだけで、Raycastの有料機能が無料になるわけではありません。
Raycast上で契約中のAIサービスを利用するには、Raycast側でもPro以上の有料プランが必要です。契約が二重になる点は、利用前に確認しておきたいところです。
まとめ
Raycastは、アプリ検索やファイル検索、ウィンドウ整理、クリップボード履歴、定型文、AIなどをひとつの検索画面から呼び出せる便利なツールです。
Windows 11には標準検索やスナップレイアウトがあり、PowerToysにも似た機能があります。そのため、すべての方に必須というわけではありません。
一方で、複数の便利機能をまとめて使いたい方や、キーボード中心で効率よく操作したい方には選択肢のひとつになります。
Windows版は現在も機能追加が続いているため、まずは無料で基本機能を試し、自分の使い方に合うか確認してみてはいかがでしょうか。
【参考】
