
2025年8月のWindows Update適用後、イベントビューアーに「エラー ID 57」が繰り返し記録される現象が報告されています。
見慣れないエラーで不安になる方も多いですが、Microsoftは「影響はなく、対応不要」と公式に発表しています。
本記事では、このエラーの意味・原因・過去からの経緯・バージョン別の発生状況・Microsoftの見解・ユーザー別の対処方針を解説します。
エラーID 57とは?
- 発生場所:イベントビューアー → Windows ログ → アプリケーション
- 表示される主なメッセージ
- Windowsのイベントビューアーで「CertificateServicesClient-CertEnroll」のエラーID57が表示され、Microsoft Pluton Cryptographic Providerの初期化に失敗した旨が記載されている画面
:CertificateServicesClient-CertEnroll(証明書登録関連サービス) - 発生環境
- Windows 11 23H2 → KB5063878(2025年8月累積更新)、KB5062660(2025年7月プレビュー更新)
- 適用後
- Windows 11 24H2 → KB5063875(2025年8月累積更新)や一部Insider Previewビルド適用後
主な原因
- Microsoft Pluton Cryptographic Provider の初期化に失敗したため記録される
- Pluton非搭載PCや未構成の環境でも、WindowsがPluton機能を呼び出す仕様がある
- 不要な呼び出しによって失敗ログが記録される仕様的な不具合
- 実害はなし(暗号化機能やシステム動作への影響はない)
なお、このエラーはハードウェアやOSの破損が原因ではなく、Windowsの内部処理における呼び出し仕様が影響しています。 Plutonセキュリティプロセッサは将来的なセキュリティ強化機能の一部ですが、非搭載PCや未構成の環境では初期化に失敗し、その結果がイベントログに記録されます。 つまり、実際には機能が使われていないため、PCの動作や安全性に影響を与えることはありません。
過去からの経緯と今後の可能性
- このエラーID 57は、以前から一部Insider Previewや商用環境で発生していました。
- 2025年7月のプレビュー更新(KB5062660)適用後から23H2環境で件数が増加し、8月の累積更新(KB5063878)後には広く報告されるようになりました。
- 24H2環境でも一部発生しており、8月の累積更新(KB5063875)やInsider Previewビルド適用後に同様のログが確認されています。
- つまり、この事象は23H2限定ではなく、バージョンに関係なく条件次第で記録される可能性があるということです。
- Microsoftはこの事象を認識しており、今後のWindows Updateで修正版を配信予定。それまでは再起動や特定操作のたびに記録される可能性があります。
Microsoftの公式見解
- このエラーは認識済み
- 実際のシステム機能やセキュリティへの影響なし
- ユーザーによる手動修正は不要
- 修正版は今後のWindows Updateで配信予定
公式見解として「対応不要」と明言されているため、現時点でユーザーが設定変更や修復作業を行う必要はありません。 過去の類似事例でも、Microsoftは品質更新プログラムの中で自然に修正を行っており、今回も同様の流れになると考えられます。
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対策方針(ユーザー別)
一般ユーザー
- 対応不要(放置でOK)
- イベントビューアーを開かない限り目にすることは少ない
- 動作や安全性への影響なし
IT管理者
- 監視システムやSIEMでの誤検知対策が必要
- 一時的にイベントID 57を除外設定
- 修正版配布後に監視対象へ戻す
過去の類似事例
今回のエラーID 57は珍しいケースではなく、Windowsでは過去にも同様に「影響はないがイベントビューアーにエラーとして記録される」という事例がありました。 以下の表では、直近数年の代表的な事例とMicrosoftの対応状況をまとめています。
発生日 | イベント内容 | Microsoftの対応 |
---|---|---|
2025年6月 | Windows Firewall 関連のイベントが一部環境で誤って出力される | 翌月以降の更新で修正(ユーザー側の操作は原則不要) |
2024年秋 | タスクスケジューラの起動失敗イベントが誤記録されるケース | 数週間後の品質更新で解消(影響は実質なし) |
2025年7〜8月(本件) | Pluton Cryptographic Provider の初期化失敗が ID 57 として記録 | 今後の Windows Update で修正予定(実害なし・対応不要) |
※ 時期は代表的な発生時期の目安です。詳細は最新のリリースノートをご確認ください。
今後の見通し
- Insider Previewの一部ビルドで修正テスト中
- 正式な修正版配布は数週間〜数か月後の見込み
- 修正まではエラー記録が続く可能性あり
特に企業環境では、修正版が配布されるまでの間は監視システムの除外設定や、ユーザーからの問い合わせ対応方針を事前に決めておくと安心です。 修正後は除外設定を元に戻し、通常の監視運用へ戻すことをおすすめします。
まとめ
- エラーID 57は影響なし・放置OK
- 今回の事象は23H2が中心だが、24H2やInsider環境でも条件次第で発生する
- 不安であれば公式情報ページを定期的に確認
- 企業利用者は一時的な監視除外を推奨
今回のエラー ID 57 は、実害がないことが確認されているため、慌てて設定を変更したりシステムを再インストールする必要はありません。 特に企業や組織でPCを管理している場合は、監視システムでの誤検知を防ぐための一時的な除外設定だけ行い、修正版の配布を待つのが最も安全です。 Microsoftの公式サポートページや最新のリリースノートを定期的に確認し、修正アップデートが配信されたら早めに適用しましょう。
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