
Windows 11には、パソコンが起動できなくなったときに、インターネット経由で修復策を探す「Quick Machine Recovery(クイックマシンリカバリー)」という機能があります。
Windows Updateやドライバーなどの影響で、同じ起動障害が複数のパソコンに発生した場合、Windows回復環境からMicrosoftの修復策を検索し、見つかれば自動的に適用する仕組みです。
これまでのように、起動しないパソコンを前にして、利用者が原因や対処法を一から調べなくても復旧できる可能性があります。
ただし、すべての起動トラブルを直せる機能ではありません。
この記事では、Quick Machine Recoveryの仕組み、利用できるWindows 11の条件、設定の確認方法、利用するときの注意点を初心者向けに解説します。
- 1 Quick Machine Recoveryとは?
- 2 QMRがWindowsを修復する流れ
- 3 QMRを利用できるWindows 11
- 4 Windows 11のバージョンとOSビルドを確認する方法
- 5 Quick Machine Recoveryの設定を確認する方法
- 6 QMRを利用するにはインターネット接続が必要
- 7 QMRで直せる可能性があるトラブル
- 8 QMRでも直せない場合がある
- 9 QMRで直らない場合に試す回復方法
- 10 起動しないときに最初に確認したいこと
- 11 QMRがあってもバックアップは必要
- 12 QMRについてよくある質問
- 13 まとめ:QMRは起動障害から復旧するための新しい選択肢
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Quick Machine Recoveryとは?
Quick Machine Recovery(以下、QMR)は、Windows 11が繰り返し起動に失敗したときに、Windows回復環境から修復策を検索する機能です。
Windowsが正常に起動できない場合、パソコンは「Windows回復環境(WinRE)」と呼ばれる修復用の画面へ移動します。
QMRが有効になっており、回復環境からインターネットへ接続できる場合は、Windows Updateを通じて、その起動障害に対応する修復策がないか確認します。
修復策が見つかれば、自動的にダウンロードして適用し、Windowsの再起動を試みます。
従来のスタートアップ修復を、インターネット経由の修復まで広げた機能と考えると分かりやすいでしょう。
QMRがWindowsを修復する流れ
QMRによる復旧は、次のような流れで行われます。
- Windows 11の起動に繰り返し失敗する
- パソコンがWindows回復環境へ入る
- 回復環境からインターネットへ接続する
- Windows Updateで対応する修復策を検索する
- 修復策が見つかればダウンロードして適用する
- パソコンを再起動し、Windowsが起動できるか確認する
対応する修復策が見つからなかった場合は、スタートアップ修復など、ほかの回復方法へ進みます。
そのため、QMRを有効にしていても、必ず自動的にWindowsが直るわけではありません。
QMRを利用できるWindows 11
Quick Machine Recoveryは、Windows 11 バージョン24H2のOSビルド26100.4700以降、およびそれ以降の対応バージョンで利用できます。
家庭で使用しているWindows 11 Homeと、会社などの組織によって管理されていないWindows 11 Proでは、クラウドから修復策を探す機能が既定で有効です。
初期設定では、起動障害が発生したときに修復策を1回検索するように構成されています。
一方、会社や学校によって管理されているパソコンでは、管理者が機能を有効にしていないと利用できない場合があります。
QMRの対象や既定の設定については、Microsoftの公式ページでも確認できます。
参考:Microsoft「Quick Machine Recovery」
Windows 11のバージョンとOSビルドを確認する方法
QMRの対象になっているか分からない場合は、現在のWindows 11のバージョンを確認してみましょう。
- キーボードの「Windows」キーと「R」キーを同時に押す
- 「ファイル名を指定して実行」に「winver」と入力する
- 「OK」をクリックする
- 表示された画面でバージョンとOSビルドを確認する
Windows 11 バージョン24H2の場合は、OSビルド26100.4700以降になっているか確認します。25H2など、それ以降の対応バージョンでもQMRを利用できます。
ビルド番号が古い場合は、「設定」→「Windows Update」を開き、利用できる更新プログラムがないか確認してください。
Quick Machine Recoveryの設定を確認する方法
Windowsが正常に起動しているうちに、QMRの設定を確認できます。
- 「設定」を開く
- 「システム」を選ぶ
- 「回復」を開く
- 「Quick Machine Recovery」に関する項目を開く
- QMRと、解決策を自動的に確認する設定が有効か確認する
Windowsの更新状況や表示言語によって、項目名が「クイック マシン回復」などと表示される場合があります。
設定項目が見つからない場合は、Windows Updateを実行したあと、Windows 11のバージョンとOSビルドをもう一度確認してみましょう。
会社や学校のパソコンでは、組織の管理者によって設定が変更されていることがあります。設定を自分で変更できない場合は、情報システム部門や管理者へ確認してください。
QMRを利用するにはインターネット接続が必要
QMRがMicrosoftの修復策を探すには、Windows回復環境からインターネットへ接続できる必要があります。
Microsoftが案内している対応方法は、次のとおりです。
- 有線LAN
- WPAまたはWPA2方式のパスワードで接続するWi-Fi
ネットワーク環境によっては、Windows回復環境で接続先の選択やWi-Fiパスワードの入力を求められる場合があります。
回復環境からインターネットへ接続できない場合、QMRによるクラウド修復は利用できません。その場合は、従来のスタートアップ修復などを使用します。
QMRで直せる可能性があるトラブル
QMRは、Microsoftが修復策を用意できる広範な起動障害を想定した機能です。
たとえば、次のような状況で役立つ可能性があります。
- Windows Update後に同じ起動障害が多数のパソコンで発生した
- ドライバーなどの影響でWindowsが起動できなくなった
- Microsoftが問題を特定し、Windows Updateで修復策を配信している
- Windows回復環境が正常に起動できる
- 回復環境からインターネットへ接続できる
QMRは、パソコンの中にある情報だけで修復するのではなく、Microsoftが配信する修復策を探せることが大きな特徴です。
QMRでも直せない場合がある
QMRは便利な機能ですが、すべての起動トラブルに対応できるわけではありません。
次のような場合は、QMRだけでは復旧できない可能性があります。
- SSDやHDDが故障している
- メモリや電源などの部品に問題がある
- Windows回復環境が正常に起動しない
- 回復環境からインターネットへ接続できない
- Microsoft側に対応する修復策が用意されていない
- 個別にインストールしたアプリや設定が原因になっている
電源を入れてもメーカーのロゴが表示されない、UEFI画面にも入れないといった場合は、Windowsよりもパソコン本体の故障が疑われます。
その場合は、メーカーのサポートや修理窓口への相談も検討してください。
QMRで直らない場合に試す回復方法
QMRで対応する修復策が見つからない場合は、Windows回復環境から従来の回復方法を試します。
主な方法は次のとおりです。
- スタートアップ修復
- 更新プログラムのアンインストール
- システムの復元
- スタートアップ設定からセーフモードを起動
- 「このPCをリセット」でWindowsを初期化
Windows Updateの直後から起動できなくなった場合は、「更新プログラムのアンインストール」で改善する可能性があります。
ただし、初期化を行うと、設定やアプリが削除されます。「個人用ファイルを保持する」を選んだ場合でも、重要なデータは事前にバックアップしておくと安心です。
起動しないときに最初に確認したいこと
Windowsが起動しないと、焦って何度も電源を切りたくなりますが、更新処理の途中で強制終了を繰り返すと、状態が悪化する可能性があります。
Windows Updateの直後で画面が黒い場合は、ストレージのアクセスランプなどを確認しながら、まずはしばらく待ってみましょう。
長時間待っても変化がない場合は、USBメモリ、外付けストレージ、プリンター、ドッキングステーションなどを取り外し、必要最小限の構成で起動を試します。
周辺機器やそのドライバーが原因で、Windowsの起動が止まることもあるためです。
ただし、USBのキーボードやマウスは、回復操作に必要であれば接続したままで構いません。
QMRがあってもバックアップは必要
Quick Machine Recoveryは、Windowsを起動できる状態へ戻すための機能です。写真や書類などを保存するバックアップ機能ではありません。
QMRやスタートアップ修復で直らず、Windowsの初期化やストレージの交換が必要になる場合もあります。
万一に備えて、次の内容を確認しておきましょう。
- 大切な写真や書類を外付けストレージなどへコピーする
- OneDriveを利用している場合は、必要なフォルダーが実際に同期されているか確認する
- BitLockerまたはデバイス暗号化の回復キーを確認する
- 必要に応じてWindowsの回復ドライブを作成する
OneDriveは、設定したフォルダーを同期するサービスです。OneDriveを利用していても、パソコン内のすべてのデータが保存されているとは限りません。
重要なデータがどこに保存されているか、Windowsが正常に動いているうちに確認しておくと安心です。
QMRについてよくある質問
Q. QMRを有効にすれば、起動トラブルは必ず直りますか?
必ず直るわけではありません。
QMRは、Microsoft側に対応する修復策があり、Windows回復環境とインターネット接続が正常に利用できる場合に機能します。
部品の故障や個別の設定によるトラブルなどは、修復できないことがあります。
Q. QMRを使うと写真や書類は消えますか?
QMRはWindowsの初期化ではないため、写真や書類を削除するための機能ではありません。ただし、起動障害と同時にストレージの故障などが発生している可能性もあるため、日頃から大切なデータをバックアップしておくと安心です。
ただし、ストレージの故障など別の問題が起きている可能性もあるため、大切なデータのバックアップは必要です。
Q. QMRが表示されないのはなぜですか?
Windows 11のバージョンやOSビルドが対象条件を満たしていない可能性があります。
「winver」で、Windows 11のバージョンとOSビルドを確認してください。24H2の場合は、OSビルド26100.4700以降が目安です。
また、会社や学校のパソコンでは、管理者によって機能が制限されている場合があります。
Q. QMRを自分で起動する必要がありますか?
Windowsが繰り返し起動に失敗すると、Windows回復環境が起動し、設定に応じて修復策の検索が行われます。
通常の家庭用パソコンでは、起動障害が発生したときに利用できるよう、クラウド修復が既定で有効になっています。
まとめ:QMRは起動障害から復旧するための新しい選択肢
Quick Machine Recoveryは、Windows 11が繰り返し起動に失敗した場合に、Windows回復環境からMicrosoftの修復策を検索して適用する機能です。
Windows 11 バージョン24H2のビルド26100.4700以降で利用でき、家庭で使われているWindows 11 Homeや、組織管理されていないProでは、クラウド修復が既定で有効になっています。
ただし、QMRはすべての起動トラブルを修復できる機能ではありません。
Microsoft側に修復策がない場合や、インターネットへ接続できない場合、パソコンの部品が故障している場合は、スタートアップ修復や更新プログラムのアンインストール、修理など、別の対応が必要になります。
QMRの設定とWindows 11のバージョンを確認するとともに、大切なデータのバックアップやBitLocker回復キーの保管も済ませておくと安心です。

