第一章:出会い
会議室に入ると、すでにプロデューサーやディレクターたちが席に着いていた。
あかりは緊張しながらも、高木先生の隣に静かに座った。
やがて、主役を務める超人気アイドルの堂坂瞬が部屋に入ってきた。
瞬は20代前半にして、すでに国内外で大人気のアイドルだった。
しかし、数ヶ月前から体調不良を理由に無期限の活動休止を発表していた堂坂瞬が
復帰することも、今日の会議の日程も、急に決まったものだったのだ。
あかりは堂坂瞬を一目見た瞬間、その背後に異様な気配を感じた。
それは人間のものではなく、暗い影のような存在だった。
あかりは一瞬戸惑ったが、すぐに気持ちを立て直し、会議に集中することにした。
だが、その異様な気配は会議の進行と共に強まり、
あかりの胸騒ぎも募っていった。
会議の途中、突然大きく弾ける音がしてその直後に瞬が硬直した状態で倒れてしまった。
会議室内が騒然とし、スタッフたちが一斉に瞬に駆け寄った。
あかりは直感的にその場から立ち上がり、瞬の元へ駆け寄った。
瞬の顔は蒼白で、苦しそうに息をしていた。
あかりはその瞬の姿を見て心の中で葛藤した。
今ここで自分の力を使えば、その秘密が明るみに出るかもしれない。
しかし、このままでは瞬の命が危ない。
意を決して、あかりはそっと瞬の手を取り、彼の体に両手をそっとかざした。
すると、暖かな光があかりの手から瞬の体へと流れ込んだ。
周囲の者たちは何が起きているのか理解できず、ただ見守るしかなかった。
数分後、瞬はゆっくりと目を開けた。
「僕はいったい…?」
瞬が弱々しく呟いた。
あかりはすぐに手を離し、冷静を装った。
気がついた瞬を見て、スタッフたちは一斉に声をかけ近寄ったのと同時に
あかりは慌ててその場を離れたのだった。
続く
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